桜田さんにクリスマスプレゼントを送りたいが何がいいだろう
さて、クリスマスのデザートの試行錯誤をしつつ、俺は別のことも考えていた。
今年は桜田さんには本当にいろいろ世話になってる、
だから何かクリスマスのプレゼント送りたいと思うんだ。
何を送れば喜んでくれるかな?
いきなりネックレスとかアクセサリーとかだとちと重い気もするし……な。
「まずは適当に探してみるか」
この季節ならそごうにいろいろあるだろうしな。
パラディーゾに行く前にちょっと横浜そごうに入って見てみることにした。
入ってすぐの一階は化粧品売り場。
「化粧品か……桜田さんが何使ってるかわかんないし、ここはパスかな」
二階はエルメスとかグッチとかシャネルとかプラダとかティファニーなどのインポートブティックやジュエリーアクセサリーと時計のフロア。
「インポートブティックは……やっぱなしだな」
うん、貧乏な俺には無理だし、いきなりプラダとか無しだろ。
「カルティエの時計も3万から5万かぁ……ちょっちきついな」
パラディーゾのバイトや賄いの御陰でそれなりに予算はあるが5万はきつい。
もうちょっと安めならネックレスとかブレスレットはありか。
三階は若い女性向け婦人服やハンドバック財布などの売場。
夏場の水着もこの階だったな。
「夏は水着だったけど冬だとマフラーとかがおいてあるのか、でも意外と高いんだな」
ストールやマフラー、手袋でも3万円とか5万円とかするものもあるんだな。
探せば5千円くらいのもあるけど。
後はバックや財布、キーケース、パスケースもありか。
四階は本來のミセス向け婦人服、五階は紳士服なのでパス。
六階は雑貨・家具・寝具・呉服など。
「ああ、これ可愛くていいな」
雑貨屋にあったアニマルひざ掛けはデフォルメされたされた羊・兎・犬・猫・猿・熊・アライグマなどのひざ掛けで畳むとぬいぐるみ型になるものらしい。
3500円位だから値段もお手頃だ。
「でも逆にちと安すぎるかな……」
あと桜田さんがぬいぐるみを好きでないといまいちかもしれない。
あとはテーブルライト兼アロマディフューザーとか、クッション、置き時計、手帳も良さげだな。
この上は本屋とかおもちゃ屋とかレストランとかなのでとりあえず今回はパスしよう。
「候補としてはネックレス、ブレスレットみたいなアクセサリー。
ストールやマフラー、耳あて、手袋みたいな防寒具。
ひざ掛けや置き時計、クッションなんかの雑貨あたり。
バックや財布、キーケース、パスケースみたいな実用品なんかかな」
それからパラディーゾへ向かう途中で見かけたのは花屋。
「花を送るのもあり……かな?」
ちょっとキザな気もするけどな。
まあ、取り合えずある程度はプレゼントするものの候補は掴んだと思う。
後は桜田さんの好みとかを調べないとな。
と言っても流石に当人に聞くわけにも行かないしどうしようかな。
「笠羽さんなら同じ女性同士好みとかもわかるか?」
俺はバイトの空き時間に笠羽さんをちょいちょいと手招きをして呼んでみた。
「ん、何かな?」
「あー、もうすぐクリスマスだから桜田さんにプレゼントを渡したいと思ってるんだけど、桜田さんの好みとか笠羽さんならわかるかなって」
「おやおや、もう冬なのにアツアツですね。
まあ、かがりちゃんには私もお世話になってるから協力はしますよ」
そう言って笠羽さんは笑う。
「あつあつ、かなぁ」
「それはもう。
それはそれとして、よほど変なものじゃない限り心がこもってたら、かがりちゃんは喜ぶと思いますけどね」
「よほど変なものって?」
「例えば下着とか寝間着とか?
服もあんまりおすすめしませんね」
「ああ、そりゃそうだ。
いきなり下着とかパジャマを贈るなんてHENTAIだと思われるだろ。
結婚でもしてればまた別だろうけど」
ウンウンとうなずいて笠羽さんは続ける。
「指輪とかも大きさがわからないと合わないかもしれないですし、あんまりおすすめしませんね」
「いきなり指輪はおもすぎだと思うよ」
「そうですね。
ですから実用的なところだと、やっぱりストールとかマフラーとか手袋やひざ掛けは嬉しいと思いますよ。
寒い時期ですから」
「やっぱり防寒具が無難なところなのかな」
「そうですね。
腕時計やブレスレット、ペンダントなんかも複数持っててもそんなに邪魔じゃないのでいいとおもいます」
「腕時計やアクセサリーもありか」
「雑貨も悪くないのですけど選んだものがかがりちゃんの趣味と合うかどうかでしょうか。
ぬいぐるみとかだと女の子は誰でも好きと思うかもしれませんけど、案外そうでもないですしね」
「ぬいぐるみは微妙なのか。
たしかに大きさによっては置き場所に困るだろうしな」
「なのであまり大きくないもののほうがいいと思います。
バッグよりはポーチとかパスケースやお財布のほうがいいんじゃないでしょうか」
「雑貨とか実用品なら小物がベターと」
「あとできれば捨てたりするのに困らないもののほうがいいと思います」
その言葉を聞いて俺は愕然とする。
「え、プレゼント送るのに捨てられることまで?」
「ええ、身につけるものもあんまり流行遅れになったら捨てざるを得ないこともありますしね」
「な、なるほど、あんまり古臭くなったらいつもでもとっておくわけにも行かないか」
プレゼントと言ってもなかなか考えることが多いな。
結局いろいろ悩んだ末にラムウール100%の赤と緑のチェック柄、クリスマスカラーのマフラーと安めのピンクゴールドのシンプルなネックレスにしてみた。
「これならどうかな?」
笠羽さんにみせたところ彼女はニコリとしていってくれた。
「無難でいいと思いますよ。
頑張ってくださいね」
「おう、笠羽さんもな」
桜田さんが喜んでくれるといいな。