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揚げ物とタレのレパートリーを考えてみよう、学祭は大盛況だった

 さて、俺たちのクラスは和洋中菓子の”揚げ物”メニューで行くことになった。


 天ぷらや唐揚げ・とんかつなどの和食、各種のフライやフリッターフライドポテトなどの洋食、揚げ餃子や揚げワンタン等の中華、ドーナッツなどの製菓と色々種類はある。


 クラスでメニューを分担し俺や桜田さん、笠羽さんは洋食の揚げ物だ。


「揚げ物と言えばタレやソースも工夫してみたいな」


 俺がそういうと桜田さんがうなずく。


「例えばカキフライだったらウスターソースやタルタルソースが普通よね」


 それに対して俺は答える。


「うん、でもラビゴットソースなんかを出してみたら面白くない?」


 ラビゴットソースは、酢、食用油、野菜のみじん切りをベースとしたソースの一種と言うかドレッシングに近いものだ、魚や貝などにかけて食べるものだがさっぱりしていてなかなか美味しい。


 笠羽さんは賛成してくれた。


「それはいいですね、あまり一般の人に知られていないと思いますし」


 桜田さんも賛成のようだ。


「バルサミコ酢を使えばイタリア風になるわね、きっと」


「じゃ牡蠣とオヒョウの白身フライでちょっと試してみるか」


「いいわね、やってみましょう」


 オヒョウはカレイの仲間だが雌は3メートル近くになるとてもでかい魚、ただし雄は1.5メートル前後までしかならないらしいが。


 この魚の旬は不明だが、まだ産卵期前なので多分うまいと思う。


 手に入りやすくて意外と安くクセのまったくない淡白な白身なので、ムニエルやフライのような油を使った料理のほうがいいらしい。


 オヒョウは皮をはぎ小骨を探してとり除き、適度な大きさに切り分けて塩をふりなじませるために10分ほど放置した後、キッチンペーパーで水気を完全にふき取ってこしょう少々をふって、小麦粉を薄くまぶし、溶き卵、パン粉の順につけ、そのまま約5分おく。


  カキはまとめてボールに入れ、薄い塩水を加えて、そっとかき回しながら丁寧に洗い、ザルに上げて水気を切り、ひとつずつキッチンペーパーで水気を完全にふき取って、それをキッチンペーパーを敷いたバットにカキを並べ、やはり振るった小麦粉を薄くまぶし、溶き卵、パン粉の順につけ、そのまま約5分おく。


 その間に油を加熱して約180℃の揚げ油に衣をつけたオヒョウとカキを入れ、浮いてきたパン粉をすくいながら、途中でヒックリ返して全体がこんがりときつね色に色づくまで2~3分揚げ、熱が通ったら、皿に盛る。


「よしできたぞ」


 その間に桜田さんたちにはキャベツの千切りとラピゴットソースを作ってもらう。


 トマト・玉ねぎ・きゅうりなどとオリーブオイルにバルサミコ酢・塩・こしょうを用意し、トマト、玉ねぎ、きゅうりを細かく刻み、オリーブオイル・バルサミコ酢・塩・こしょうを混ぜたものにた野菜のみじん切りを混ぜてできあがり。


「こっちもできたわよ」


「んじゃかけてくれ」


「はーい」


 揚がったオヒョウの白身フライとカキフライを並べてキャベツの千切りを添えて、ラピゴットソースをかける。


「じゃあみんなで試食して見るか」


「そうしましょう」


「いただきます」


 ラピゴットソースは野菜の色が混ざり合い見た目が華やかでさっぱりとした味になる。


「なるほど、この味カルパッチョっぽい味かもしれないな」


 俺がそういうと二人もこくりとうなずいた。


「そう言われてみるとそうね」


「でも美味しいですよ」


「これで一品はいけるかな」


 やっぱり俺がいうと二人は賛成してくれる。


「うんきっと大丈夫」


「そうですね、ちょっと変わってるしいいと思います」


「まあ普通にタルタルソースも用意しよう、こってりした味が好きなやつも多いだろうし。

 フライとは別にイカやエビのフリッターも出してみるか」


 まるごと買ってきたイカをまずは足を持って胴から引き抜き、胴は軟骨を取って皮をむき、輪切りにしてリング状にする。


 ゲソは目とくちばしを取り、足先から長さを揃えて切り、皮をむいて2本ずつに切り離す。


 小エビは解凍しておき、アスパラガスとオニオンリングも包丁で切って作っておく。


 それからボウルに卵白を入れ、泡立て器でしっかり角が立つ位まで泡立てメレンゲを作り、別のボウルで卵黄、マヨネーズ、オリーブオイル、塩コショウを混ぜ合わせ、炭酸水を加え、均一に混ざったら小麦粉を加えてサッと混ぜ合わせ、そこにメレンゲをくわえて、サックリ混ぜ合わせる。


 それにイカとエビ、アスパラガスとオニオンリングを入れて衣をつけてやはりその間に油を加熱して約180℃の揚げ油に衣をつけたイカとエビを入れ、浮いてきた衣のカスをすくいとりながら、途中でヒックリ返して全体がこんがりときつね色に色づくまで2~3分揚げ、熱が通ったら、皿に盛って、レモン、プチトマトパセリを添える。


「ん、いい感じじゃないか」


 タレはさっぱり大根おろしヨーグルトとトマトケチャップ。


「大根おろしとヨーグルト?」


「ああ、その他もちょこちょこはいってるけど結構うまいんだぜ、これが」


 これは大根をすりおろしてざるにあげて汁気を切ってヨーグルト、おろししょうが、しょうゆを加えて混ぜたもの。


 実際にフリッターに付けて食べてみる。


「うん、結構いけるな」


 桜田さんも恐る恐る食べてみた。


「あ、意外と美味しい?」


 桜田さんはあんま信用してなかったぽい?


「だろ?大根おろしにめんつゆをかけてもうまいけど、それだと和風になっちまうからな」


 笠羽さんが感心したように言う。


「ヨーグルトなら洋風って感じですものね」


「ああ、フライはアジやサバ、フリッターは鳥の胸肉やささみでも美味しいはずだぜ」


 メニューができたら価格設定だがやっぱり一品500円程度が無難かな。


 教室を店舗にするためにカーテンやテーブルクロスなどの内装や外装もそれらしくしたり、メニュー表などもパソコンを使って手分けして作らなければならない。


 もちろん当日の食材の仕入れ・料理・提供・接客まで学生が担当する。


「そう考えると、学校のレストランで、自分たちが実際に現場を体験できるのは助かるよな」


「野菜も学校や契約農場の菜園で育てたりしてるしね」


 ここでは料理の関しての技術や知識だけでなく、大田区内の農園農家と契約をして、地場の新鮮な野菜を実習で使ったり、実際に野菜を育てたりもするし、食材や調理器具などの衛生管理、調理だけでなく仕入れなどの際の価格から利益などのコスト計算も考えるようにできている。


 昔と違ってシェフも、料理の腕だけでなくて、コストを考えたメニュー作りまで考えないと生き残れないから厳しいよな。


 バイトもしながらだとその厳しさもよくわかる。


 そして学祭当日は結構盛況で目の回る忙しさだった。


 安くてうまくて珍しいタレの揚げ物が食べられると評判だったよ。


 片付けなんかはすごく大変だったけどな。

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