続いて行われる体育祭は秋の学校行事の定番イベントだな
さて、豊洲の市場見学が終わると次は体育祭だ。
普通の学校と同じような競技種目もあるが料理専門学校っぽい種目もあるらしい。
体操着はないので各自でTシャツやハーフパンツ、ジャージなどの好きな格好で参加するのはここらしいけどな。
開会式・選手宣誓・準備体操などを行ってからまずは短距離走。
「いきなり出番か」
そう、俺は短距離走の選手になってるのだ。
まあ長距離走よりはいいけど。
老若男女が混ざりあったクラスでもやはり短距離は若い人間が出るクラスが多い。
「よし頑張るか」
「よーい、スタート!」
「相田くん頑張れー」
「おーはやいぞー」
とはいえ体育の授業があるわけでもない調理専門学校の学生は皆運動不足であったりして100メートル競争も微妙に遅かったりする。
クラスメイトの応援を受けて俺も必死に走って2位になったけど、俺が早いと言うより周りが遅いのが実情だった気はする。
「いやー惜しかったね、もうちょっとで一位取れそうだったのに」
桜田さんが笑いながらそういう。
「応援してくれたのにな、ごめん」
「でも2位なんてすごいですよ」
笠羽さんも笑ってそう言ってくれた、あーあ1位を取りたかったぜ。
その次はビーチフラッグならぬリバーサイドフラッグ。
旗を差して選手はフラッグから20メートル程離れ、顔をフラッグと反対側に向けうつぶせに寝た状態でスタートしてスタートのピストルと共に起き上がって、フラッグに向けて走り、フラッグを掴んだらゴール。
旗の数は3つで腕を使った妨害や激しい接触は失格。
「よーい、スタート!」
判断力や瞬発力が勝負をわけるこの競技で俺は一番に旗を取って一位になれた。
「おー、やるじゃない、一位なんてすごいわ」
「本当ですね」
「私達も負けてらんないわね」
「ええ、がんばりましょう」
桜田さんや笠羽さんも気合が入ってきて彼女らの出るムカデ競争になった。
「二人共がんばれ~」
なかなか練習時間などが取れないせいでタイミングが合わないでつまずくチームも多い中でゆっくりだけど上手くタイミングを合わせてトップでゴールイン。
「おおー、一位じゃんやったな」
「焦らないでタイミングを合わせて行くことに集中したからね」
「うまくいってよかったですね」
その他綱引きや大玉転がしと言った普通の競技に混ざって調理学校らしい種目も混ざる。
「次は男女混合サンドイッチ競争です」
「あ、俺達が出る種目だな、行こうぜ桜田さん」
「う、うん行きましょうう」
「二人共頑張ってくださいね」
笠羽さんの応援を受けつつ俺たちはスタート地点へ向かう。
男女混合サンドイッチ競争は男女ペアで白い布団を胴体にまいた二人が間に黄色いクッションを挟んでサンドイッチに見立てた状態で走ってゴールを目指すものだ。
「さてうまく走らんとな、横向きのカニ歩きだからたいへんだけど」
「そうね、うまく落とさないように走りましょう」
布団を巻くからピッタリくっつくわけじゃないにせよ、正面からクッションを体で挟んで走るのはちょっとドキドキする。
「よーいスタート!」
「行こうぜ、いちにいちに」
「いちにいちに」
お互いに脚を動かすタイミングを合わせるために掛け声を掛け合って走る、なんだかんだで息があってたのはいっしょに何かをすることも増えてるからかもな。
俺たちはトップでゴールしたのだ。
「おおっし、一位だ」
「やったわね」
俺たちはハイタッチでお互いをほめあったんだ。
笠羽さんは調理器具限定借り物競争にでてる。
「誰か寸胴鍋をお持ちの方はいませんかー」
寸胴鍋を探すのは大変だな。
ようやく借りられたようだけど3位以内には入れなかったみたいだ。
「おつかれさん、借り物が寸胴鍋は大変だったな」
「そうよね」
「えへへ、すみません、3位以内に入れませんでした」
昼食の後に応援合戦があり騎馬戦・玉入れ・大縄跳び・障害物競走のあとにラストの葱バトンリレーだ。
葱バトンリレーはその名前のとおり普通のバトンじゃなくて葱をバトンにしたリレー。
そして俺は最終ランナーだ。
若いからって走る競技ばっか出させすぎだろ。
「よーい、スタート!」
1番目から三番目のそうしゃで俺のクラスの順位は3位。
「頼むぞ」
「任せろ」
後先を考えずにもう全力で走る、一人追い越し、二人追い越し、そのままゴール!
「やった、私達のクラスが優勝決定ね」
「すごいです」
「やったぜー、もうヘトヘトだけどな」
俺たちのクラスが優勝で来てよかったぜ。