真夏の鎌倉もいいものだなその2
さて、昼飯をたっぷりの鎌倉野菜とカレーで堪能した俺達が次に向かうのは鎌倉のシンボルの一つである、浄土宗の寺院である「高徳院」の大仏さまだ。
江ノ電に乗って長谷駅で下車し10分ほど歩いたら到着。
「そういや中学の時の修学旅行で奈良の大仏様は見たことあるけど、鎌倉の大仏様は見たことなかったな」
桜田さんがうんとうなずいていく。
「たしかに私もそうね」
「やっぱり微妙に近い方がむしろなかなか足を運ばないものなのかも?」
笠羽さんがやっぱり小さくうなずいていった。
「そういうものかもしれません」
門をくぐって大仏さんが目の前に現れる瞬間はなんというか感動するものがあった。
この大仏様は阿弥陀如来の像で、鎌倉時代の建長四年(1252年)に作られたらしい。
奈良の大仏よりは新しいけど、鎌倉が政治の中心になったんがその時代だからとうぜんとも言えるな。
拝観料を払って中に入るが結構外国の観光客も多いみたいだ。
そして大仏さんだが実際に見てみるとたしかにでかい。
「んー10メートル以上あるだけに、さすが大仏さんて感じだな」
俺が大仏さんを拝んでいると桜田さんが言った。
「せっかくだし大仏さまの胎内に行ってみましょ」
「胎内?」
「そ、中に入れるのよ、別途20円かかるけど」
「20円なら全然やすいしいい感じだな」
20円を払って階段を上がり大仏さんのお腹に入る。
「中は意外と涼しいな、あとは背中に開いた窓から案外光が入ってくるんだな」
笠羽さんがウンウンうなずきながらいう。
「逆にそこからしか光が入ってこないから中に入れるのは16時までなんですね」
「なるほど、そうしないとたしかに危ないもんな」
鎌倉の大仏さんを十分堪能したら院内の売店に立ち寄ってみる。
「ミニチュア仏像かぁなんか御利益ありそうだな、そんなに高くないし」
400円のやつを一つ買ってリュックに入れる。
次ぐに向ったのは比較的近い場所にある長谷寺、あじさいや紅葉の時期だとそれこそ鎌倉を代表する絶景スポットとしても有名なお寺だ。
まずはご本尊の十一面観音様を拝観する。
そして桜田さんが言ったのだ。
「長谷寺って言えば良縁地蔵よね」
「良縁地蔵?」
「そ、良縁地蔵がある3ヵ所全て訪れると、良縁に恵まれるんだって」
「へえ、そうなんだ」
「せっかく出し、男女二人組で別れて探しましょ。
パパとママ、お兄ちゃんと笠羽さん、あたしと相田君んでどうかな?」
オーナーがウムと頷いて、桜田さんのお母さんもうなずく。
「うん、いいね」
「それでいいのではないかしら?」
チーフは笠羽さんと目を合わせていう。
「俺はいいけど」
「あ、私もそれで大丈夫です」
おんや傘場さんって実はチーフのことが好きだったりするのかな?
俺もうなずいていう。
「じゃ、そうしましょうか」
「じゃ、早速別れて探しましょう」
俺たちは二人組で三手に分かれて良縁地蔵を探すことにしたのだった。
分かれる前に桜田さんのお母さんが桜田さんに小さく手を振っていた。
そして俺は桜田さんといっしょに境内を歩いている。
「三箇所の良縁地蔵のなまえはそれぞれ”石んこ地蔵三人うたごえ””石んこ地蔵三人家族””石んこ地蔵三人日だまり”っていうんですって」
「へえ、三人組なんだ」
そんな事を言っていたらまず1つが見つかった。
美しい緑の中に左が一番大きく真ん中が一番小さい三体が寄り添ってなんとも言えない和やかの表情をしている。
「なるほど、これは確かに歌を歌ってる感じだね」
「そう、ここは歌声のお地蔵様なの」
そして更に歩いていくと眺望散策路の途中に海の見えるばしょに良縁地蔵があった。
「これが三人ひだまりかな」
「夏だとちょっと暑くて大変そうね、お義父さんとお母さんが汗を拭ってるように見えなくもないし」
更に竹林の中で最後の良縁地蔵をみつけた。
「これが3人家族か」
「ここだけ子供の地蔵様が前にいるのね」
「じゃあ、写メを撮ろうか」
「うん」
このお地蔵さんを写メにとって待ち受けにすると幸運になれるらしい。
早速写メをとっておく、これで良縁・縁結びのご加護をえられるらしいしな。
そして皆で集合して水かけ地蔵の、お地蔵様に水をかけて供養をする。
「こういう暑い時は水をかけられると気持ちいいんだろうな」
「うん、そうだね」
それから大黒堂と弁天窟で金運・仕事運アップをお願いする。
「どうかこれからもお客さんが途切れませんように」
奉納弁財天に名前を書き込んで願い事も書き記して奉納すればその願いが叶うという。
そして江ノ電にのって腰越で下車し、しらすや腰越漁港前店で新鮮な生しらす丼としらすのかき揚げを食べる、ここは新鮮な魚介類の刺し身や天ぷら等がうまいのだ。
「んー、しらすのかき揚げ意外とうまいな」
桜田さんもホクホク顔。
「新鮮な生しらすもいけるわねー」
笠羽さんも美味しそうに食べてる。
「サザエのつぼ焼きも美味しいですよ」
そして、今日泊まるかきや旅館新館にチェックイン。
ここは旅館で江の電が目の前を通るし駅からも近い、なおかつそこそこ安くて小奇麗な旅館だ。
浴衣に着替えて天然温泉の大浴場で疲れを取って、明日は海水浴だな。
ちなみに部屋は男3人女3人で別れて取ってるが十分な広さがある。
「明日が楽しみですね」
オーナーが笑顔でいう。
「うん、みんながよろこんでくれてなによりだよ」
チーフもいう。
「たまには店を休んで皆で旅行というのも悪くはないな」
家族でのんびり旅行することも今までは少なかったみたいだし、オーナー家族もきっと楽しいんだろうな。