さあ慰安旅行に出発だ!真夏の鎌倉もいいものだなその1
さて百均で必要そうなものを買い揃え、そごうで水着も買ったし後はリュックに荷物を詰め込んでいく。
でかいボストンバッグが必要なほどの荷物にはならないのは衣類の圧縮袋と言う便利アイテムのおかげだろう。
「中学校のときの修学旅行の荷物はもっとデカかったもんな」
まあ修学旅行は三泊四日で日にちも長いということもあるかもしれないけど、最近はなんでもコンパクトに出来るようなものがあるのはありがたいよな。
「よしこれで準備オッケーだ。
そう言えば鎌倉に観光に行くのは初めてかな。
中学の修学旅行のときは京都・奈良・伊勢志摩だったし、高校のときは北海道スキーだったし。
意外と遠くない場所のほうが行かないもんかもしれないな」
荷物をまとめて寝たら翌朝はまずパラディーゾに集合。
ついでにおばちゃんのシフォンケーキを買っていこうか。
「ん、おばちゃん、今日は何がおすすめ?」
「今日はコーヒーとブルーベリーとプレーンかな?」
「んじゃそれを2つずつと生クリームちょーだい」
「はい、いつもありがとうね」
「だって俺おばちゃんのケーキのファンだもん」
「嬉しいことを言ってくれれるわね」
そんなやり取りをしつつケーキと保冷剤が一緒のビニールに入った生クリームを受け取って俺はパラディーゾに電車で向かった。
そしてパラディーゾに到着するとオーナー一家の四人に笠羽さんもすでに来てた。
「ありゃ?もしかして俺一番最後?」
ふふっと笑って桜田さんが言う。
「そのとおりだよ、別に遅刻じゃないから安心していいけど」
「うむむ、そうだったか」
それと今回はじめてみた妙齢の女性は桜田さんににてるし彼女の母親かな。
「さすが桜田さんのお母さん、桜田さんに似てきれいな人だね」
「ばかねえ、ママが私ににてるんじゃなくって、私がママに似てるのよ」
「え、どっちでも同じようなものじゃないの?」
「違う違う」
そんなアホなやり取りをしながら横浜駅へ向かい総武線快速のグリーン車に乗り込む。
「へえ、案外とすいてるものだね」
「通勤時間の通勤方向とかは結構こんでいるけどそうでない時間や方向だと、案外すいてるみたいね」
グリーン車の席を180度回転させて対面で話し合えるようにしつつ、席を取り桜田さんと笠羽さんが隣どうし、俺とチーフがやっぱり隣どうし、オーナー夫妻が隣同士というまあ無難な席順になった。
「じゃあ、暇つぶしにウノでもしましょ」
「そうね、そうしましょう」
「うし、いっちょうやるか」
「じゃ、俺も負けないようにしないとな」
ちゃちゃっと買ったばかりのウノを開けて各自に配る。
そして始まりドロー地獄。
「ドローツー」「ドローツー」「ドローツー」
「ぎゃー、嫌なんで皆がドローツーとか持ってるのさ」
「そりゃそういうものだし」「うんうん」「お前だけ運なさすぎじゃないか?」
「うー」
まあ横浜から鎌倉は25分位でつくので大した回数はできなかったけど。
結果?聞かないでほしい。
そして桜田さんがひょいと網棚からバックをおろして言った。
「さてついたから降りるよ」
駅を出たらオーナーが言う。
「まずは鎌倉八幡宮から行こうか、鎌倉と言ったらここは外せないからね」
「はい」
鎌倉と言ったらたしかに鶴岡八幡宮は外せないんだろう。
京都と言ったら清水寺、浅草と言ったら浅草寺みたいなもんだよな。
鎌倉と言えば鎌倉幕府の源頼朝ゆかりの地で鶴岡八幡宮は頼朝が創建した鎌倉幕府を象徴する歴史ある建築物だ。
そのために勝負運・仕事運・出世などのご利益があると言われてるし仕事運があがるように是非お祈りしたい。
神社の境内に入ってすぐの場所の両脇には源平池と呼ばれる池があり、その左右の池にかけらている橋は太鼓橋と呼ばれ「かながわの橋100選」にも選ばれているらしい。
もっとも実際に渡ることはできないのは残念だけど。
境内を進むと大石段が見えて、若宮が見えそこでかるく参拝を済ませてから大石段を登る。
「ほー、これはすごいな」
大石段を上がったところにある本宮は建物の朱色とそれを取り囲むかのように生い茂る木々の色とのコントラストが大変素晴らしい。
そして意外と人も多い。
「どうか料理がうまくなってちゃんとしたコックになれますように」
「へー、うちでずっと働くつもりはあるのね」
「そりゃパラディーゾより条件がいい職場はそうそうないとおもうぜ」
俺がそういうと桜田さんはニヘラと笑う。
「そうなんだ、そうおもってるんだ、うん、それはいいことよ」
そういって隣で祈ってる桜田さん。
「桜田さんは何をお祈りしたの?」
「えへへ、秘密だよ」
そんな感じでまずは鎌倉の鶴岡八幡宮でのお祈りをしたあとに向かったのは八幡宮と由比ヶ浜の間にある鎌倉市農協連即売所、通称「レンバイ」。
「すげー新鮮な野菜がいっぱいですね」
オーナーが微笑みながらうなずいた。
「うん、よい野菜だね、少し買っていこうか」
ここには新鮮で珍しい「鎌倉野菜」を求めて、それこそプロのシェフもわざわざ訪れるらしいし地元の人も観光客も買っていく。
その後は鎌倉駅と八幡宮の間の飲食店等が集う小町通りに向かう。
そのなかの杉養蜂園のちみつソフトクリームをみんなで頼んで食べる。
「暑い日にはこういう冷たいものはホントお美味しいわよね」
「甘すぎないし上品な味でスッキリしていますね」
桜田さんと笠羽さんがニコニコしながら食べてるけど柚子蜜なんかも結構行けるな。
「蜂蜜の味はするけどそれが主張が強すぎないのがいいな」
俺がそういうとチーフが笑っていう。
「お、なんか評論家みたいだな、でもたしかにうまいとおもう」
そのまま小町通りで昼飯を取ることに。
鎌倉野菜カレーかん太くんで昼飯だ。
「俺はキーマカレーかな」
「私はチキンカレーにするわ」
「じゃあ私も」
お値段は1200円とちょっとお高めだがカレーとともに供される野菜プレートがいいらしい。
実際に出てきた鎌倉野菜の素揚げやマリネ・ピクルスとフレッシュサラダは茄子・ゴーヤ・ピーマン・ししとうなどの彩り豊かな鎌倉野菜を堪能できるしカレーもうまかった。
「うん、なかなかいい店だな」
「野菜が充実してるのはいいわよね」
「そうですね」
とりあえずお腹もいっぱいになったし午後にはどこに行くのか楽しみだ。