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一日体験入学の手伝いをすることになっちまった

 さて、パラディーゾのウエイトレスのバイトの笠羽さんがコック志望という話は俺にとってちょっとプレッシャーだ。


 なにせ、こういった業界は実力主義だからな。


 俺がぼやぼやしてたらあっさり追い抜かれてしまうかもしれん。


「せっかく頑張ってドルチェが作れるようになってきたのに、手強そうなライバル出現だぜ」


 おれのことばにコクコクうなずく桜田さん。


「全くもって手強いライバル出現よねー」


「オーナーとかチーフとかが料理の腕とか姿勢とかとか認めたら本当に追い抜かされかねないからな」


「そうよね、あのこも可愛いし、追い抜かされかねないわよね。

 私も頑張らないと」


 なんか言ってる意味合いが微妙に違ってる気がしないでもないけど桜田さんにとっても笠羽さんはライバルらしい。


 そんなことを言い合っていたらメールで学校の先生に呼び出しを食らった。


「お前さんの技術考査の結果を見込んで頼みたい。

 夏休みの一日体験入学でデモンストレーションのオムレツを焼いてくれないか」


「え、俺が体験入学のデモンストレーションをやるんですか?」


「ああ、やはり見た目や味がいいやつがデモンストレーションしたほうが学校の評判もあがるしな」


「ちなみバイト代みたいなのは出るんでしょうか?」


「いや、すまんバイト代は出ないが」


「バイト代は出ないんですか……」


「そのかわり、打ち上げで多少いいもんは食えるぞ」


「じゃあやります!」


「そうしてくれると助かるよ」


 まあ、オムレツも食えるしいいか。


 そして当日、ばったり桜田さんと笠羽さんに出会った。


「あれ、二人も駆り出されたの?」


 笠羽さんが苦笑していく。


「そうなの、人手が足りないって受付を頼まれまして」


 桜田さんもいう。


「私は相田くんの手伝いだよ。

 卵を溶いたり、試食してもらった皿を洗ったり、なんでよろしくね」


「お、おお、それは助かるよ、桜田さん」


「あ、じゃあ私は受付でスケジュール表やパンフレットを渡さないといけないのでここで」


「うん、頑張って笠羽さん」


 俺と桜田さんは調理実習室に向かう。


  今頃は学校の学校のカリキュラムや就職の説明などをして、その後の班分けなどをしてることだろう。


 俺は洋食のデモンストレーションだが中華や和食・パティシエのデモンストレーションもあるはずなんでできればパティシエの方をやりたかったな。


「さて、準備しないとね」


 嬉しそうに桜田さんは笑いながらいう。


「失敗できないし、責任重大だよなぁ」


「ダイジョブダイジョブ、私も付いてるんだから」


 ”さて、皆様ここが調理実習室です”


「おっと来たみたいだね」


 ”和洋中のすべての調理において卵料理は基本となる料理ですがここでは洋食のオムレツの作り方をお見せしましょう”


「では始めますね」


 俺は桜田さんにボールに入った溶き卵に牛乳、塩、こしょうを混ぜてもらいながら、合いびき肉とみじん切りにした玉ねぎをまずフライパンで炒めてそれを一旦別皿におろして、フライパンを火にかけて温め、バターを入れて広げ、溶けきる直前に溶き卵を流し入れ半熟になるまで火にかけた後、炒めたひき肉などを真ん中に乗せた後、耐熱ゴムべらを使って寄せていき、フライパンの縁を利用して形を整えてみせた。


 なんかみんな食い入る様に見てるな。


 皿に載せてケチャップで彩りを添えれば完成だ。


「はい、出来上がりです」


 見ていた体験入学の人たちが


「うわ、さすがプロだなー」


 いやまだ俺調理師免許も取ってないけどな。


「焦げ目もないしすげー」


 うん焦げたら間違いなくアウトだしな。


 そして試食もしてもらう


「うわー、お店みたいにふわふわねーおいしー」


 そうならないと技術考査クリアできないしな。


 俺はなるべくスマイルで答える。


「みなさんも入学すればすぐ出来るようになりますよ」


「本当ですか?」


「実習体験もありますから試してみてくださいね」


「わかりました!」


 その他の班にもデモンストレーションをしたら、実際にみんながオムレツを作る体験実習だ。


「あれー焦げちまった?」


 という声から


「やった、うまくできたー」


 という喜びの声まで様々。


 試食の声も様々なようだ。


 そしてなんとか無事一日体験入学は終わって俺は打ち上げでいきなりステーキを食わせてもらったんだ。


 女性はどこか別の居酒屋らしいけどいやステーキなんて超久しぶりに食ったからかうまかったぜ

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