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銀座に行くためのセミフォーマルな服を買おうか

 さて、桜田さんと約束したイデミ・スギノは世界のトップパティシエもその才能を認める日本洋菓子界の巨匠だ。


 前にやっぱり桜田さんと一緒にいったアン・プチ・パケのオーナーもすごい人だったが、イデミ・スギノは1991年以降、パテシエ業界の最先端を常に走ってきた、間違い無く日本ケーキ界を代表するの巨匠の一人だ。


 俺もアン・プチ・パケにいったあとで少しは勉強したんだけど、いまでもトップを走ってるのはすごいと思う。


 もっともイデミ・スギノが嫌いという人は彼の自己流を貫きたいというその精神に威圧感を感じて、ただ高飛車なだけではないかという人も結構多いらしい。


 それはそうとして俺は困っていた。


「しかし銀座に行くための服がないがどうしようか……」


 桜田さんは笑いながらいう。


「確かに銀座に行くならちょっとおしゃれじゃないと浮くかもね」


「ですよねー」


「Gパンとかじゃちょっとまずいかもね。

 セミフォーマルな服とか持ってる?」


「いんやもってません」


「じゃあ、買っておいたほうがいいかもね」


「じゃあ買うとしますか」


「じゃあ一緒に買いに行こうか」


「そうしてくれると助かります」


「オッケー、じゃ行こうか」


 横浜だってそれなりにショッピングが出来る場所はある。


「駅前だとそごうが手軽かな?」


「手軽かなぁ」


「手軽な方じゃない?とりあえず行きましょ」


「お、おう」


 というわけで俺は桜田さんと一緒に服を買う事になったがセミフォーマルとか言われてもいまいちわからん。


 まずは紳士服を扱ってる階まで上がって店を見て回る。


「なんかどれも対して変わらないような気がするんだけど結構高くない?」


「いやいや、ぜんぜん違うから。

 スラックスは白とグレーだとどっちがいいかな?」


「白って着るのが結構難しい気がするけどどうだろ?」


「じゃあジャケットも合わせて試着してみたらどうかな?

 ジャケットはこのキャメルカラーかワインレッドなんてどう?」


「うーん……とりあえず試着してみるよ」


 女の子は簡単に試着してみたらとか言うけどそうしたらなんかそれを買わないといけない気がするのは俺だけだろうか?


 女の子は試着して戻してを繰り返しても気にならないのかな?


 とりあえず買うのは確かなので白とグレーのスラックスとキャメルとワインレッドのジャケッドを手にとって試着室に入ろうとすると店員さんが寄ってくる。


「まあまあ、どちらもお似合いでしょうしぜひ試着してみてください」


 嬉しそうに笑顔をみせてそういう店員さん。


「ああ、はい、そうしてみます」


 試着室に入ってまずは白とワインレッドで合わせてみた。


「どうかな?」


「いいんじゃないかな、セミフォーマルでもカジュアル寄りで動きやすそうだし」


「じゃあこっちでいいかな?」


「せっかくだからもう一方も試してみればいいいんじゃないかな?」


「じゃあそうしてみる」


 今度はグレーとキャメルであわせてみる。


「どうだろう?」


「さっきよりシックでセミフォーマルな感じでいいね」


「じゃあこっちの方が良いかな?」


 そこへ店員さんが声をかけてくる。


「せっかくスマートカジュアルな組み合わせとセミフォーマルな組み合わせで両方お似合いになる物を身につけられたのですからどちらも買っていかれてはどうですか?」


「それもいいかもしれないわね」


「いやいや、両方買ったら予算オーバー」


 そこで店員さんがにこやかに言ってきた。


「でしたらクレジットでの分割払いもお使いになれますよ」


「分割払い?」


「はい10回分割とかでしたらそれほどお支払いも大変ではないと思います」


「分割払いか……」


 そして桜田さんが言う。


「今持ってないならお呼ばれの時に着たり出来るだろうし買っても無駄にはならないと思うよ」


「そうか……じゃあ分割のクレジット払いで」


「はい、ありがとうございます」


 店員さんが極上の笑顔で裾上げだとかなんとかの説明をしているが俺としては本当に買ってよかったのかちょっぴり後悔してたりする。


「ま、いいかきっとこれも経験として役に立つんだろうし」


「ん、前向きなのはいいことよ」


 そう言って笑う桜田さんの服を今度は見に行く。



「どれがいーかなー?」


「うーん」


 ぶっちゃけ、どれがいいかというふうに悩むほど差があるような気がしないのは多分俺が男だからなんだろう。


「これとこれどっちがいいと思う?」


 桜田さんが両手に持ってるのは薄いレモンイエローのワンピースと薄い桜色のワンピース。


「薄いピンクの桜色のほうが桜田さんには似合いそうかな?」


「そーお?」


 あれ不正解だったかな?


 次はトップスでラベンダーとパステルグリーン。


「これとこれどっちがいいと思う?」


「パステルグリーンのほうかな?」


「そーお?」


 やっぱり微妙にずれてるのかな?


 桜田さんならどんな色でも綺麗に着こなせそうだし色の差とかあんまり意味ない気もするんだけど、言ったら怒られそうだ。


「これとこれ下さーい」


 結局俺がいいんじゃないと言ったほうを桜田さんは買ったみたいだけどそれでよかったのかなとちょっと持ってしまった。


 別に俺の好みに合わせないでも桜田さんが好きなものを買ってくれてよかったんだけど。


「銀座デート楽しみだね」


 笑いながら桜田さんがいう。


「イデミ・スギノもきっとすげーうまいんだろうな。

 本当に楽しみだね」


「あーうん、きっと美味しいよね」


「じゃあ、当日はよろしく」


「こっちこそ」


 買い物も多分うまくできたと思うし、今度の休みが楽しみだな。

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