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学校の前期期末試験をなんとかクリアしたぞ

 さて球技大会での優勝は嬉しいが、そろそろ学校の前期の期末試験と技術考査があるのでそっちにも力を入れないといけない。


 調理師学校を卒業すれば調理師免許が手に入るけど、自動車の免許を取るのにペーパーと実技の試験があるけど教習所に行けば実技試験はうけなくていいのと同じようなものだな。


「あーテストやだなー」


 俺がそういうと桜田さんが苦笑いしていう。


「そうは言っても調理師免許を取るためだから仕方ないよ。

 がんばってクリアしないと」


「そうだよなぁ、はぁ」


 期末試験は筆記試験、技術考査は実技試験で和洋中それぞれの基礎的な技術が身についているかテストとされる。


 そしてその試験に合格しないと後期の授業はうけられない。


 専門学校の試験は高校なんかと違って赤点でもとりあえずはいいと言うわけではないので大変だ。


 や、赤点だと補習は有った気はするけどな。


 なのでその前の実習の時間は技術考査の練習に当てられるのだな。


 実技考査の評価はS/A/B/CにわかれSなら合格、Aは惜しい、Bまだまだ、Cは問題外でやり直し。


 和洋中の卵料理であるだし巻き卵・カニ玉・オムレツ作りと包丁をつかったキャベツの千切りや中華のホアと呼ばれる飾り切り、大根の桂剥きなどが実技試験の内容で、俺達は試験に向けて練習したり復習をしたりしてる。


「うーむ、技術考査の洋食のオムレツは自信あるけど大根のかつらむきはあんまり自信ないなぁ」


 俺が大根の桂剥きをやってると桜田さんが笑いながらいう。


「大丈夫、大丈夫、ぶっちゃけ相田くんは結構うまいほうだからね」


「そうかな?」


「今まであんまり包丁を使ってない割にはちゃんと出来てるからね」


 そういう桜田さんの桂剥きもなかなかにうまい。


「桜田さんもすごいよね」


「ま、レストランの娘だしね。

 小さい頃からパパやママに憧れて包丁は触ってたの。

 もっとも鯛とか烏賊みたいな寄生虫がいるのは駄目だったけど今はもう大丈夫になったし?」


 そういう桜田さんにニッと笑っていう。


「なるほど俺のおかげだな」


 桜田さんもニッと笑って言い返してきた。


「そうね、相田くんのおかげだし感謝してるわ」


「およ、だいぶ素直だね」


「え、まあ、事実だしね。

 パパもお兄ちゃんも相田くんには期待してるのよ」


「うー、そこまで言われると逆にプレッシャーがかかるんだけど」


「お店も変な人間はいれられないからね。

 最近はブラックだってやめてく人も多いし」


「ブラック?そうなの?」


「基本的に祝日とか土日が休みじゃないからね。

 土日祝が休みじゃないだけでブラックって思われる世の中なのよ」


「まあ、そうかもな」


 土日祝日は休めて当たり前、そうなると飲食業界はたいていブラックだ。

 ビジネス街でサラリーマンが出勤する日だけ店を開けてるとかだとまた別だけどな。


 そして試験当日になりまずは筆記試験。


「ん、だいたい分かるな」


 ペーパーテストとはいえバイトで実践もしてる分そんなに難しくは感じない。

 採点をしてもらって無事合格。


「さてと後は実技考査だな」


 まずは得意なオムレツからだ。

 卵料理は貧乏人の味方だから良く作ってるし大丈夫だろう。


「これは大丈夫だろ……できました評価をお願いします」


 皿に見た目良く盛り付けて先生へ提出する。


「どれ、ほうなかなかいいじゃないか」


 先生が見た目や味・食感などを総合して判断する。


「うむ、評価Sだ」


「よっしゃ」


 同じように中華のカニ玉、和食のだし巻き卵にもチャレンジして提出する。


「うむ、どちらも評価Sだ、卵料理に関しては問題はないな」


「ありがとうございます先生」


 周りからは”うわー焦げた”だの”うわ、こぼしたー”だの”まずい、やり直し”など”評価Bやり直しだ”などの声が上がっている。


 卵料理はシンプルなんだが案外侮れんのだな。


 さて問題の包丁の方だ。


「さって集中集中」


 大根をまずは薄刃包丁で上下を平行に切り、上下を同じ太さで綺麗な円になるよう丸くむく。


 これができないとそもそも均一な厚みなどにならないので大事だったりする。


 あとはむく大根の中心に包丁の刃があたるようにして包丁を入れて、刃を大根にあてて、刃が大根に入ったら刃の上をおさえながら表面を薄く滑らすように大根を包丁側におくって回してかつらむきを切り進めていく。


 これはりんごの皮やじゃがいも芋の皮を剥くのとかでも応用できるが包丁を切り進めるのではなく野菜や果物を固定した包丁に入れていくというのが大事なのだな。


 なんとか途中で来れずに最後まで切り進めることができた。


「これは大丈夫かな?……できました評価をお願いします」


「ふむふむ、厚みも均一で薄く切れているな評価Sだ」


「やったぜ」


 残りのキャベツの千切りと中華のホアと呼ばれる飾り切りもなんとかS評価をもらってなんとか日が暮れる前に終わった。


 こっから長い夜を過ごすやつもいるんだろうけど頑張ってほしい。


「けっきょくあっさり合格したわねー」


「そういう桜田さんもあっさり合格してるじゃん」


「そりゃトラットリアの娘ですもの」


「ま、バイトに無事行けそうなのは助かったけど」


「じゃ一緒に行きましょ」


「了解ですともお嬢様」


 こうして試験をクリアした俺たち二人はバイトのためにパラディーゾに向かうのだった。

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