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対神話機動部隊のエグゼクターズ  作者: 綾野彩乃
北欧の血刃龍
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第零話【プロローグ】

 人だけでなく草木も寝静まっているような、真夜中。

 月明かりに照らされた森林の中、一人の人影が立っている。

 それは華奢(きゃしゃ)体躯(たいく)を、白い装束(しょうぞく)で覆っている少女。



『……以上が今回の作戦内容です。不明な点はありますか?』



 少女が手に持つ携帯端末から聴こえてくる真面目そうな女性の声に、少女は()ねたように唇を尖らせる。



「大丈夫よ緒川(おがわ)さん。けれど、私がテレポートした直後にテレポーターが壊れるなんて……私ってつくづくついてないわよね」


『現在整備班が修理を行なっていますが、何せ長年研究を行っても、未だ未知な部分が多い"アークレリック"。修理にはそれなりの時間を有するそうですが、終了次第Α(アルファ)小隊をそちらへテレポートさせる予定です』



 携帯端末越しの女性ーー緒川の言葉に少女は嘆息(たんそく)する。



「私はテレポーターが復帰して隊員達が到着するまでどうすればいい? ここに留まって夜営でもしてる?」


『もし山中で"ファンタジスト"と遭遇(そうぐう)してしまった場合は、炎系"アークレリック"使いのα(アルファ)小隊嘉陽(かよう)結花(ゆいか)隊長では枯れ葉や樹木など燃焼物の多い山中での戦闘は高確率で大規模な山火事を発生させる可能性があります。今すぐ(ひら)けた場所に移動して待機して下さい』



 緒川の言葉に少女ーー嘉陽は腰に帯剣している刺剣(レイピア)を苦虫を噛んだような表情で見つめる。

 その視線に苛立(いらだ)っているかのように刺剣のシルエットが揺らめき、慌てて視線を(そら)らす。



「そ、そうね……。私が今いる場所から一番近くて拓けた場所は? すぐに移動を開始するわ」


『……西に五キロの地点に市街地が。さらにその先には大型商業施設があるので、その屋上で人()け結界を展開して、周囲の変化に警戒しつつ待機して下さい。……ポイントまでナビゲーターは必要ですか?』


「見ない間に結構様変わりしているけどまだ大まかな地形は覚えているから、大丈夫よ」


『……そうですか。では、α小隊嘉陽結花隊長、お気をつけて』



 その言葉を最後に、プツリと通信が切られる。

 嘉陽は手に持っていた携帯端末を左肩のホルスターに仕舞う。



「さてと、言われたとおり西に行きますか! ……五年ぶりの長崎、そして五年ぶりのあーくんか……」



 その名前の懐かしさを噛みしめるようにポツリと(つぶや)くと腰の刺剣(レイピア)の柄を()でて、再び月夜の森の中を進んでいった。




      *




『これが血刃龍の鱗甲ブラッド・ソー・スケイルの力。この一撃………手向(たむ)けとして受け取れッ!』



 両腕を赤黒い刃を(たば)ねたような鱗甲(りんこう)で覆うと、左手で柄も刀身も赤黒い刀を構える。

 ドゴンッ!

 後方に地面が(えぐ)り飛ぶ程の脚力で踏み込むと、赤、青、緑、茶の異形が混在する群れに向かって飛び出していく。






「……だいたい六万文字書いてようやく戦闘開始のところか……」



 俺はマウスを動かし、数回左クリックをすると文書ファイルを保存する。


 執筆欲によって一時的に無効化されていた疲労感が睡眠欲へと変換され、意識を侵食してくる。

 俺はベッドに倒れるように入ると天井に向かって右手を(かざ)す。

 手の平の延長線には就寝灯(しゅうしんとう)の黒と山吹色が混ざった夕焼けのような照明だけが白い天井にあるだけ。



「ふぅ~……」



 まさか『中二病ノート』を改めて見直して小説を書くなんて……執筆した身ながらかなり恥ずかしいことをしているよな、俺って。

 このまま恥ずかしさを(まぎ)らわすために意識を手放したいけれど、まだ寝ている場合じゃない。

 (ほほ)を手の平でパンッと叩いて気付けするとベッドから出て、椅子に深く腰かけ直す。

 視線は生まれかけの新たな黒歴史を真っ正面から見据(みす)える。


 さてと、まだ完成はしてないけどこれをどうするか……思いついた案は三つ。

 案その一、パソコンのフォルダ内に放置。

 案その二、八万から十六万文字を書いてどこかの大賞に応募する。

 案その三、小説投稿サイトに投稿してみる。


 案その一は俺自身としては即除外だな。

 勿体無いからとまでは言わないけど、せっかく数日、何十時間もかけて書き上げたんだ。誰かに見てもらって評価してほしい。



「と、なると……」



 残ったのは応募と投稿……か。

 これは片方を実行するよりもサイトに投稿をしてみて評価が良ければ応募する、ってのもいいかもしれないな。評価が悪くても最後まで書ければこいつも本望だろうしそうしよう。



「あと二万で応募出来る最低文字数八万だから、プラス三、四万文字くらいで書き上げれば上々かな」



 俺は先ほど保存した文書ファイルを開くと、小慣(こな)れた動きでキーボードを叩いて文字を連ねていった。

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