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香記  作者: 鏡春哉
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Ⅳ 金木犀⑧

 さすが、重力の加速度である。若槻の姿も、一瞬にして豆粒サイズになっていく。周囲にある空気の抵抗力が激しく背に当たり、俺は再び吐き気を催した。

「ひゃっほーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」

 少し遠くの方から、天真爛漫な薫の叫び声が響いてくる。同時に、宙ぶらりんに放り出されていた俺が、薫の胸元まで引き寄せられる。

 それまで空気に切り裂かれて冷えていた俺の頬が、薫の体温で温められていった。嗅覚から件の金木犀の香りが漂ってくるとともに、聴覚からは彼女の心臓の音が規則的に聞こえてきた。

 図らずも、緊張してしまっていた。抱かれるのに慣れていないというのもあるが、人の心臓の音を、こんなに間近に聞いたのは、初めてだったからだ。

 それに、だ。神業を為したり、悪魔を主食としたりなど、到底人間とは思えないような薫にも、人間と同じ鼓動が胸に秘められているという事実を知ったこともまた、俺を緊張させているのかも知れない。

「じゃ、行っくよー!」

 薫の叫び声がするや否や、急激に落下速度が遅くなり、一瞬だけ止まった。何をしているのかと思えば、薫は建物の壁面に足をつけ、方向転換を試みていたのだ。

 すぐに強力な負荷が体にかかる。薫はどれ程強いか知れない脚力で壁を蹴り、作用反作用の力を利用して、斜め45°上方向に飛び出した。強い空気抵抗によって、俺と薫の髪が後方に勢いよく流れていく。

 まるで、空を飛ぶ鳥のような感覚がした。実際に飛んではいるのだけれども、こうして人間の脚力だけで空中を飛ぶなどという経験は、恐らく普通に生活をしていてはできないことだろう。というか、薫がいなければ殆ど不可能であるはずだ。

 薫は時折建物の屋上に降り立ち、余力を付けて再度空中を飛んだ。警察庁の壁を蹴った時ほどの速度は出なかったものの、それでも異常な距離を空中で移動できるというのは、たいそう面白かった。

 飛んでは足を着き、飛んでは足を着きという動作を繰り返すこと数十回。俺たちは既に渋谷区の上空までやって来ていた。

「これ、地下鉄より速いんじゃないのか!?」

 思わず、下を見ながら叫び声を上げてしまう。薫は満足げな表情から不可解そうな表情に顔を変え、

「うーん、それはないかなぁ」

 と至極当たり前な返事を溢した。俺は半眼になった目を薫に向ける。

 人間の脚力と電車のスピードを比較して、電車の方が勝るなどということなど、分かり切った話である。だから俺はそういう話がしたかったのではなくて、気分的に爽快になる速さであったと言いたかっただけなのだ。所謂、比喩的表現という奴である。

「でも、まぁ、楽しいよね。上空は混雑なんかしないし」

「なんだ、人混みが苦手なのか」

「うーん、人混みというか、においがちょっとね」

「におい? あぁ、そういえばこの前、洗濯には柔軟剤を使わないと言っていたな。人工的な香りが嫌いなのか?」

 無言。薫は進行方向を向いたまま、人混みの上を跳び続ける。真っ昼間に人が空を飛んでいるにもかかわらず、街を行く人々は俺たちに一向に気づきはしない。

「……どうなんだろう。僕は嗅覚が鋭敏だから、通常の人が匂うくらいの香りがきついなって思う程度だからね。嫌いかどうかは、よく分からないや」

 薫が下降を始めた。さすがに着地場所は、人気のないところを選択するようだった。器用にも建物と建物の間に入り込み、壁を蹴りながら徐々に下へ降りてゆく。

 狭い路地に降り立つと、薫は腕に抱えていた俺を地面に降ろした。久々に地に足が着き、どこか安堵感を覚える。

 薫が何も言わずに歩き出したので、俺は仕方なく彼女の後ろについて行った。路地を抜けると、渋谷区の中心部よりは混雑していないものの、わりと賑わっている通りに出た。薫はそこから左に曲がり、迷いもせずにとある喫茶店へと足を踏み入れた。俺も慌てて薫の後を追う。

 店内はアンティーク調にまとめられ、小洒落た雰囲気を醸し出していた。先日薫の知人である田中教授との待ち合わせになった、あのキノコ尽くめの喫茶店よりは落ち着いた印象を受けた。あれはあれで興味深かったのだが、やはり精神安定という点では、こちらの店の方が良いのかも知れない。

 薫が席に着くや否や、店の奥から多量のレースをあしらったメイド服姿の女が現れた。彼女は「薫さぁん!」と目を輝かせながら、お盆を持って薫のいるテーブルまで小走りにやってくる。ツインテールに結んだオリーブ色の髪が、ゆるりふわりと上下に揺れた。

「新作できましたよ! 四種ベリーのミルフィーユです! 食べてみます?」

 そう言って、彼女はお盆の上に載せられたスイーツを机上に置く。薫はすかさずフォークを手に取り、一口分口に含む。暫く咀嚼しつつ、薫は目を伏せた。次第に頬が緩み、とろけるような表情になる。

「うにゃー、ラゼベリーのパンチが効くなぁ。こう、口の中で無惨に弾ける感じ。その後に来る、クルアンベリーの酸味と、甘味はクスベリーと……、クングレベリーかな?」

「全問正解です! さすが薫さん、見事な味ききです!」

「……でも、もう少しパンチを強くしても良いかも。ブラッドベリーは今年不作なの?」

「そうなんですよぉ。スカーレット地方で黒雨が降っちゃって、ブラッドベリーが全滅したんです」

「あぁ、そう言えば、紅雨じゃないと育たないんだっけ」

「はい、結構栽培が大変な品種ですからねぇ。土にも日にもうるさい植物なんですよ」

 目の前で、意味不明な会話が繰り広げられている。ラゼベリー? スカーレット地方? 黒雨や紅雨はともかくも、聞いたことのない字面ばかりである。

 俺が一人だけ蚊帳の外になっていると、他の店員が近くまでやって来た。彼女は「あなたにはこちらを」と控えめに言い、俺の目の前にミルフィーユを置いた。「あなたには」と言うくらいだから別のスイーツが来るのかと思っていたが、どう見ても、薫が食べている物と同じものである。

 店員の方を見遣ると、彼女は苦笑をしつつ、お盆を握り締めた。彼女は俺の疑問を察したらしく、小声で返答をしてくる。

「あちらは店長の奇天烈商品なので、通常のお客様には提供しておりません。ただ、こちらの食材を使った似せ商品の方を、この様にご提供させていただく事はございます」

 丁寧な言い様だが、あちらこちら指示語が多すぎてイマイチ内容が頭に入ってこない。

「えっと、こちらの食材って、何だ?」

 店員はうっすらと目を開き、怪訝な表情を見せた。それでも丁寧な対応を崩す気はないらしく、律儀に答えてくる。

「『この世界』の食材、という意味で言ったのですが。もしかして、あちらのミルフィーユが何処のもので出来ているのか、ご存じないのですか?」

 ご存じないも何も、この世界以外に、どの世界があるというのか。悪魔がいるというのならば、魔界でも存在しているのだろうか。

 店員は納得したように薄ら笑い、「そうです」と肯定した。俺は反射的に顔を顰めそうになったが、すんでの所で顔に出ずにすんだ。

「魔界の食材です。この喫茶店、『raw umber』では、人間のお客様は勿論、人外のお客様にもご利用いただいております。人間の方々には食せない食材も取り扱っております故、こうしてメニューを並行して作っているのです」

 店員に説明をされて粗方理解は出来たが、一つ解せないことがある。

「わたくしが、あなたの考えていることを言い当てていることですか?」

 今度こそ、俺は顔を顰めた。彼女は特にそれを隠そうとは思っていなかったらしい。ならば、遠慮なく訊くまでである。

「あんたも悪魔なのか?」

 店員はゆっくりと首を横に振り、「違います」と冷静に否定する。

「こちらの店長はそうですが……、わたくしは悪魔ではありません。実際、魔界に行ったこともないし、行ける気もいたしません」

「行ける気がしないって、魔物ではないということか?」

 彼女は仄かに首を傾げる。

「魔物、は魔物なのでしょうか。しかし、多様な日本語で表現すれば、妖怪、と言ったところだと思います」

「……(サトリ)か?」

 彼女は薄い笑みを浮かべ、「半年前に美濃から上京してきました」と付け加えた。

「勿論、パティシエール希望で、ですよ。ここ最近、人間の文化が人外のモノの間でブームになっているんです。その先駆けが、こちらの芹沢薫さんなんです」

 それを聞いた俺は、ちらりと薫の方を見た。彼女と、店長とか言うツインテール女は、未だに新作菓子の話で盛り上がっていた。

 一体、薫は何がしたいのだろうか。人間と人外生物の橋渡しにでもなるつもりなのだろうか。はたまた、ただ楽しいから、何でもかんでも手を出しているだけなのか。

「それは……、わたくしにも理解しかねます」

「薫の心は読めない、という訳か」

「お恥ずかしい限りです」

 覚は痛ましそうに目を伏せる。

「しかし、既存の常識が崩れつつあることは事実です。それまで人間は弄ぶものだという認識であったものから、共存できるものであるという認識に、です。お陰で、密かに人間の文化に憧れを抱いていた者共――わたくし達にとっては、願ってもない風潮が訪れたわけです」

 過去を懐かしむような、柔和な表情になる。

 薫の得体は未だ知れない。しかし弱い立場のものに対しては、彼女は頗る優しいようである。以前、ボティスが薫のことを「人間には至って優しい奴」と表現していたことも、これで納得がいく。

 こうした点を踏まえれば、薫の奇行も許せるのかも知れない。あの黙静課メンバー達も薫の人柄に触れているからこそ、許容しているのだろう。……まぁ、他の理由としては、彼、彼女ら自身が変人であるから、というものが挙げられるが、それはさておき。

「何故、薫はこの店に寄ったんだろうな」

「……唐突ですね。でも、わたくしに訊かれても困ります」

「分かっている」

 俺と覚は薫の方を見遣る。いつの間にか、皿の上のミルフィーユはすっかり平らげられていた。薫の分だけでなく、俺の分も、だ。

 本当にいつの間に、と言いたいところだが、そこまでスイーツに固執しているわけでもないから、そこは黙っておくことにした。

 薫は俺たちの視線に気付いたようで、横目でこちらを見てから首の方向を変えた。

「どしたの? 僕が佑磨の分も食べたの、マズかった?」

「いや、それはどうでもいい。何故、薫がこの店に来たのか、少し気になっただけだ」

 質問を投げ掛けられた薫は、あぁと声を漏らし、ニッと笑った。

「メインディッシュの後は、やっぱデザートでしょ」

 薫の表情からして、ふざけている様子はない。ならば、彼女の言うメインディッシュとは、あの時に食した悪魔のことなのだろうか。そうなると、これはあれからわりと時間が経った後のデザートだと言うことになる。

「……暇そうにしていながら、実は忙しかったのか?」

 彼女の無垢な笑みが、途端に嫌らしいものになる。

「そりゃもうね。僕には休む暇がないんだ」

「だから、寝溜めしているのか」

「あっはは、そうそう。と言うか寧ろ、そっちの方が僕の体内時計に合ってるんだけどね」

 薫はメニュー表を開き、上から五つほどケーキを頼んだ。了承した店長は、すぐさま奥の方へ引っ込んで行く。彼女の後を追うようにして、覚が空になった二枚の皿を持って、店内の奥へと消えていった。暫くして、店長がお盆にケーキを盛ってテーブルへ戻ってくる。

 目の前に並んだパステルカラー調のケーキを見た薫は、舌なめずりをして再びフォークを手に持った。始めに手を付けたのは、フルーツケーキに見えるケーキである。

 俺は薫がケーキを食べる様子を見ながら、ふと疑問に思ったことを口にした。

「薫は、本当に人間なのか?」

 純粋な疑問だった。薫は暫く咀嚼してから、唇に付いた生クリームを舐め取った。

「人間だよ。君の母親が言っていた通りだ」

 彼女の言う母親とは、草薙靜音のことだろう。彼女は確か、人間には出来ないことをするにもかかわらず、それでもやはり、薫は人間であると断言していた。

 それでも、と重ねると、やや往生際悪くなってしまうが、悪魔を喰らうことと言い、空を飛べる程の脚力を持っていることと言い、明らかに並以上の人間でさえ不可能なことをやって見せているのは事実なのである。ならば、薫は人間ではあれど、人間の中でも特殊な体質を持ち合わせた者なのではないかと、嫌でも想像してしまうのは仕方のないことではないか。

 俺が腑に落ちない表情をしていることに気付いたのか、薫は興味なさげに付け加えた。

「特殊、と言ったら、特殊かもね。そもそも、僕の両親がまず、変な人たちなんだもん」

「確か、亡くなった、と言っていたな」

 薫はフルーツケーキを食べ終え、次にガトーショコラに手を付ける。

「亡くなったのは、母方の伯父夫婦だよ」

 さらりと言ってから、早々とガトーショコラを平らげる。彼女は次に、イチゴタルトにフォークを差し込んだ。

「ちょっと待て。親は随分前に亡くなったんじゃなかったのか?」

「いや、実の親はまだ生きてるよ?」

 沈黙。陶器と金属がカチカチと擦り合う音だけが響いてくる。

 俺の頭の中には、絶賛、数多のクエスチョンマークが降り注がれていた。

 田中教授は確か、薫の伯父と同期だと言っていた。その時、その伯父のことを「薫の父親」と言いかけていたこともきちんと記憶している。その後、薫から随分前に両親が亡くなったと聞いたから、実の親が亡くなった故に、伯父夫婦に引き取られたのではないかと俺は理解をしていた。

 しかし、だ。亡くなったのは父母と呼んでいた伯父夫婦の方で、実の両親は実は生きています、という展開は、最早理解に苦しむ領域である。

「そんなに深く考えなくても良いよー? さっきも言ったけど、僕の両親は変な人たちだから、お約束通り、変なことをやってくれちゃったのよ」

 フォークの先を空中でフラフラとさせながら、薫は遠い目をする。

「変なことって、自分たちが生きているにもかかわらず、薫を伯父夫婦に預けた、という行為のことか?」

 薫は無言でタルトを平らげる。俺はそれを肯定のサインと受け取り、話を進めた。

「それは、何のために?」

「それが分かっていたら、僕は幼少時からあんなに振り回されることなんて無かったよ」

 俺の好奇心という名の蝋燭に、ぱちりと火が灯る。

「薫でも、振り回されることがあるんだな」

 薫はチーズスフレの端をフォークで切り取りながら、大きく溜息を吐いた。

「そりゃ、師匠が弟子を凌駕しているように、親も子を凌駕しているんだよ。時々逆転することもあるけどさ。……ほんと、ぶっ飛んだ母親なんだよねぇ」

「母親限定なのか」

「父親は母親に甘いから。やること為すこと全部に肯定しているだけ。だから、ぶっ飛び思考をしているのは、実質母親の方なんだ」

 彼女はスフレを口に含み、左手のひらで額を隠す。

「僕が三歳くらいの時に、弟がマフィアに誘拐されたんだよね。その後いきなり母親が『隠居するわ!』って叫びだして、僕を伯父夫婦に預けたんだ」

 再び脳内が混乱の渦に塗れる。

「なんか、新たな情報が入ってきたんだが。あんた、弟がいたのか?」

「うん、双子の弟がね」

「しかも双子!」

 ツッコミが尽きない。前々から思っていたのだが、ヘビーな話をさらりと話すことは、本当にやめて欲しいものである。

「それで、なんかいろいろあった後、弟――(みちる)って言うんだけど、満が日本に帰ってきたのね。何年前だったかな。僕がまだ、高校生の頃の話だから、五年以上は前の話だね。その時に、久々に家族四人が揃ったものだから、両親の隠居先の山小屋で誕生日パーティーを開いたんだ」

「誰のだ」

「勿論、僕と満のだよ」

 スフレを食べ終わった薫は、最後の皿に載ったキルシュトルテに取りかかった。

「……あんたの弟は、誘拐されてから運良く無事に戻ってこられたんだな」

 俺の問いを聞いた薫は、口に含んだフォークをゆっくりと出しながらうーんと唸った。

「運良く、なのかな。あの子、誘拐された先で絵画の才能に目覚めちゃってさ。そうこうしているうちに海外で人気が出て、わりと有名な画家になったんだ。つまり、収入が膨大になった故に、マフィア内での満の発言力が強くなったわけさ。それで、皆さんは満に逆らえずに、まんまと日本に帰したってのが事の顛末だよ」

 俺は唇をへの字にしながら聞き返す。

「それにしても、誘拐されて海外にまで連れて行かれて、十年以上は経っていたんだろ?」

「まぁね。でも、満は運動神経良いし、精神も図太いから、難なく生きてこられたんでしょ。結果オーライだよ」

 薫の目の前にある皿の上は、全て綺麗さっぱり無くなっていた。俺は長く深く溜息を吐く。

「家族の一大事なのに、なんだか話し方が軽いな」

「それは、佑磨が言っちゃ駄目な奴だよ。君だって、ついこの間蘇芳家のごたごたに巻き込まれた当の本人じゃあないか」

「別に、あの出来事を軽く見ているわけじゃない。寧ろ、転機だと思った分、他の出来事よりも強く記憶に残ると俺は思っている」

 薫は右手に持っていたフォークを皿の上に置き、ニタリと笑った。

「つまり、記憶に残るだけであって、悼ましいとも何とも思っていないわけだね?」

 俺が反論できないでいると、薫がクスクスと笑い始めた。

「良いんだよ、今はそんなのでも。これから感情を養っていけばいいんだ。……佑磨のことだから、いつまで経っても記憶は鮮明なんだろう?」

 俺は顔を顰め、薫を睨んだ。「薫に言われたくない」と呟くと、彼女はハハッと乾いた声で笑った。

「残念ながら僕は、君ほど感情に欠けてはいないんだよ。満の件だって、大丈夫だと分かっていたからこそ、そのくらいの反応に留まっているに過ぎないしね」

 薫は頬杖を付き、ねっとりとした笑みを浮かべた。

「それに、これでも満には感謝しているんだ。――あの子からマフィア幹部の情報がわんさかと入ってくるからね」

 ケタケタと嫌な笑い方をした後、薫は広げられた五枚の皿を順に重ねていった。俺はその様子を見ながら、心の奥底からくる呆れの視線を彼女に送ってやった。

「お前、最低最悪だな」

 薫は嗤うだけだった。


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