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白い珠忢

作者: 碧井 さくら

ココロに珠忢(たまご)があると気がついたのは、何度目かの恋を知った時だったと思う


ひとりはとても寂しくて

ふたりはとても気持ちいい

珠忢か割れることもなくそのまま私の中にあった


さらに何度目の恋をした時、彼は言った

「貴女のココロが見えない。貴女は人を愛することなどできない。それは偽りでしか無い」

珠忢が割れた

彼が割ったのだ

不安と恐怖の渦巻く中、彼はココロを抱きしめ、本当の私が『碧井さくら』が生まれた


さくらは強く、感情を露わにすることは無い。というか感情そのものだった。

怒り、喜び、悲しみ、楽しさ、そして愛をそのままに感じそのままさくらの行動となる

ココロに感じたままに生きているである

霧が晴れた爽快感に近かった


しかし、それはさくらには諸刃の剣でしかなかった

ココロの強さが足りなかったのだ

ぬくぬくと珠忢の中に護られたココロは簡単に壊れた

こんなに愛しているのに、なぜ怒る?

嘘偽りなく言葉を綴っているのに、なぜ避ける?

なぜ言葉をかけてもらわないとこんなに不安になる?

なぜ束縛するの?

なぜ?なぜ?なぜ?


ひとりは寂しい

ひとりは怖い

真っ白な何も無い音もない空間に居る

身体が震える

もうひとりにはなれない

おかしくなっちゃっうょ


もう珠忢が無いのにココロは誰が護るの?

さくら?

どうやって?

言葉をきいても理解ができない

なぜ怒るの?

なぜ、さくらを見てくれないの?


言葉を受けるココロがとても萎縮していく

でもね、ココロは誰にも見えないんだょ


「貴女がわからない。なにがココロ?バカじゃないの。わけわからない。」


その恋もココロも終わった


強くなれと言っていた

もっと自信をもて

いい女だ

なんて言っておいてなぜ捨てられる?


ココロ?わけわかんない?

さくらのなにがいけなかったの?

ココロ?

ココロは普通はないの?

珠忢なんてないの?


さくらはおかしいんだ

さくらの言葉がいけないんだ

ココロのある言葉が彼を傷つけていったんだ

ココロのある行動がまた彼を傷つけていったんだ


さくらのココロさえなければ

彼はずっといてくれた

ココロなんて要らないんだょ

さくらなんて要らないんだょ

だからさくらは要らないんょ


ココロはもうボロボロだった

なんの感情ももてず

なんにも感じられなかった


何日かたったとき

ココロに安らぎを感じた


さくらの中にはもうひとりの桜がいる

双子の様な桜はココロを抱きしめてくれていた

身体が軽くなる

お腹が空く

喉が渇く

トイレに行きたい

当たり前の感情が湧いてきた


でもなんにも感じられない

生活はできそうだった


彼からの連絡は途絶えた

今はとても静かだ

なんにもない空間に寝ている様だ

懐かしい気もする

そう珠忢の中の様だ

ここはココロの癒し場所

怖いことも寂しいこともない

さくらはひとりじゃない

桜がいる

桜が珠忢を作ってくれる

桜がさくらを抱いてくれる

そういえば小さい頃から桜はいた

さくらが辛いときに冷静にいられたのは

桜が表に出ていたからだ

なんでわすれてしまったのだろうか?

強くて冷静でとても優しい桜

でも桜はさくらが表の方をとる

それでいいのだろうか?


気がつくと

良く入れ替わっていることがあるとわかった

だから桜のしたい様にして欲しいと思った


その桜がココロを護り

さくらを抱いてくれている


また感じられない感情もあるけれど

ココロは珠忢の中でいて

さくらがそれを感じてそのまま生きればいい

ココロのままに生きればいい

それがさくらとなるのだから


「嘘偽りない貴女が見たい」


彼には見えてたのかわからない

彼から教わったことは

さくらを作る基盤になった


今ではココロも時々出てきて

さくらを翻弄している

さくらはそれはとてもいいことと感じている

桜もよく出てきている

さくらはそれもまた嬉しい


ただまだ愛だけは戻らない

しばらくは無理だと感じられる


さくらはココロがダメージをうけても

やはりココロのままに感じて生きて行きたいと願っている




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