第九話 今回初めての同世代
全話と大分時間が空いてしまいすいません・・・。
隣の家の門の前には二人の門番が立っていた。
そのうちの一人に父さんが話を付けると、その人は急いで家の主を呼びに行き、10分ほどするとダンディなおじ様を連れて戻ってきた。
この人が父さんの旧友とやらなのだろうか。
何かとつも懐かしい空気を持っている。
しかし懐かしいといっても、落ち着く感じではなく…こう、同志に会ってテンションの上がるような、そんな感じだ。
「やあやあ久しぶりだねマルス君。いつか君がうちに泊まってくれると信じていたよ。私は君達を歓迎しよう。近所の人々も誘ってパーティーでも開こうか。そうだ、それがいい。早速招待状を出さなければ。すまないが今日中には準備が終わりそうにない。明日になるが構わないかな。おや? その女性は君の奥さんかな? ジョネス・フランケットと申します。貴女はまるで山の山頂で気高く咲く鈴蘭のようなお人だ。よければ今夜二人きりのダンスパーティーを開きませんか? コルセットは多少きつく締めてくださって構いません。私が緩めて差し上げましょう。勿論私のベットの上で…。いやいや冗談だよ。そんなに怒らないでくれたまえよマルス君。あまり嫉妬深いと奥さんに逃げられてしまうよ。それでこの食べちゃいたいくらい可愛い女の子…嘘嘘年相応に可愛い女の子が君と奥さんの夜の営みの結果なのかな」
「…とりあえず黙ってくれないかな? 子供に悪影響なので」
父さんがやっと口を開いた。
この人、口を挟む間もなく喋り続けるから睨むくらいしか抵抗のしようがない。
だが、その父さんのやっとの言葉も。
「心配は無用さ。こんな幼い子供に下ネタが分かる訳がなかろう。我が息子にしてもそこらへんの言葉を全然理解してはいないのだから。そういえばこの少女はあやつと同い年だったのではないか。将来うちに嫁に来るかい? あやつと結婚してくれれば私も君を姑という立場からイロイロ命令できて嬉しいのだが。いや、むしろ私の新妻にはならぬか? 私はろりぃな幼女も愛でられるからね。これはこれで美味なのだ…よ!」
ついに父さんに殴られた。
意味の分かっていない幼女に下ネタを連発するとは、なかなかいい趣味をしているな。
実は僕もしていたことがある。
その時は変質者扱いされて色んな場所に似顔絵を張り出された。
いやー、だってみんな頭の上にクエスチョンマークを浮かべて首を傾げるという最高に可愛い反応をしてくれるんだもん。
ちなみに幼女を犯したことはない。
残念ながら。
僕は相手の同意を得てから…というか、相手から言ってこなければ何もできないたちなので。
ヘタレとか言わないで。
だって嫌がられたら悲しいんだもん。
ダンボールに一週間くらい引きこもるくらい。
これ実話。
にしてもこの人って凄い女好き?
しかもどんなタイプもいけるくちのよいだ。
いつか語り合いたいな。
まあ実際にそんな機会はこないだろう。
この人とふたりきりで話すのは危険だ。
僕の中のなけなしの女としての本能がいっている。
そんなものに頼らなくても大丈夫なくらい露骨に危険な人だけど。
父さんもよくこの人と友達になったな。
僕が言うのもなんだけど。
父さんとジョネスさん…だっけか? なんか聞き覚えのある名前だな。まあこの二人ってどういう経緯で仲良くなったんだろう。
旧友とか言ってたけど、どちらかといえば悪友って感じだな。
父さん、この人に会ってから疲労が倍増している気がする。
ため息とかついてるし。
父さん的に、あまり自分から友達になりたくないタイプだと思うんだけど。
「申し遅れました。父・マルスの娘のレインです。一つお尋ねしたいのですが、お二人はどのような経緯でご友人になられたのでしょうか」
僕が話しかけるとジョネスさんは目を丸くした。
「おや。随分礼儀の正しい子だね。お父様に調教されたのかい? 私にも一人、まだ赤ちゃんだが娘がいるのだが、あの子を私好みに調教するのも悪くない。さて、どのような女の子に育てあげるかな? ぜひ『大きくなったらお父様と結婚するの〜』と言わせたいものだな。ああ、試しに君も言ってくれないかい? ほら! さあ!」
一人で暴走し始めたジョネスさんを無視して、父さんが説明してくれた。
「私とジョネスは魔法学園での同級生なんだよ。こいつとはよく学年一位の座を奪い合っていた。ライバルと言うのが正しいかな。その時に色々あって友人となったんだ。こう見えて少しいい奴なんだよ、こいつは」
少しかー。
照れ隠しなのか真実なのかよく分からないな。
「とりあえず中に入れてもらえないかな。長旅でつかれているんだよ」
「おお、そうだな。さあさあ入りたまえ。といってもここから大分の距離であるがな」
ジョネスさんの屋敷は驚くべきものだった。
大きさはさっきの家の二倍——僕たちの実家と同じくらいだから、驚くというほどではない。いや、大きいのは大きいのだが。
問題はデザイン。
まるで城のような…しかし、あの歴史を感じさせるようなもの(といってもこの国の歴史自体400年ちょいと浅いんだけど)ではなく、真っピンチで塗り固められそこらにハートの紋様が散らばっている、ハッキリ言ってこの時代に無いはずのラブホの様な外装だ。
「わあー。素敵」
お母様が溜息をついた。
乙女は喜びそうなデザインだよなー。
いつかの前世の幼なじみの子があのデザインを見てここに泊まろうと言い出した時はマジで焦った。
それにその時はまだ子供の姿だったから、知っているのも何かおかしい気がするし。
結局その時は可愛いホテルだねと言うに留めた。
ちなみに実際に入ったことはない。
そんな露骨な真似はしない。
実は入ってみたかったけど。
このことをその時の友人に言ってみたらムッツリとか言われたなあ…。
しかしこんな形で入ることになるとはおもわなかった。
いや、これはラブホではないけどさ。
「ようこそ、我がフランケットの屋敷へ」
そう言ってジョネスさんは扉を開けた。
その先には、ずらりと大勢のメイドさんが並び、僕らが足を踏み入れた瞬間、一斉にお辞儀した。
「「「ようこそおいでなさいました」」」
うおー、すげー。
こんなにメイドいっぱい見たのこの時代では初めてー。
うちより金持ちなのかなこの家は。
こんな数雇えるなんて。
なんかジョネスさんの趣味も感じるな。
みんな肌露出してるし。
ミニスカに半袖もしくはタンクトップ。
しかもみんな一様に美人。
誰が一番タイプかなと見ていると、中央にある大きな階段から足音が聞こえてきた。
「父さま、どうかしたの? お客さ…ま…?」
声と共に現れたのは、僕と同い年くらいの、くりくりな栗色の髪をした可愛らしい顔立ちの少年。
少年は僕と目があった瞬間、動きを止めてしまった。
どうした?
惚れたか?
だよな〜。可愛いもんな、今の僕。
僕も僕じゃなかったら惚れてたぜ。
にしてもこの子、どっかで見たことあるような…。
前のこの時代の時に会ったことあるのかな?
にしてもいつまで固まってんだこの子。
仕方ない、僕から自己紹介してやるか。
「お初お目にかかります。レイン・ウ゛ィアルートと申します」
しかし私はその言葉を言い切る事が出来なかった。
なぜならその少年が僕に向かって、大声でプロポーズしたのだから。
何だかみんなキャラが安定しません・・・。
あと主人公のキャラが自分でもよくつかめない(汗
とりあえず女好きということで頑張ってます