第19話 拾われた手紙と幼馴染の思い出
ナタリーが捨てた手紙が、雪が降る街のゴミ箱の中で次第に雪に埋もれていく。
そんな時、母親と手を繋いで道を歩いていた少女が母親に話しかけた。
「お母さん、ゴミ箱の中にお手紙が落ちてるよ」
「え? あら、そうね」
母親は、ゴミ箱から手紙を拾い雪を手で払った。
「名前も書いてあるし、切手も貼ってあるし、あら、お城への手紙じゃない」
「ポストに入れてあげようよ、お母さん」
「そうね」
母親と少女は、近くのポストまで手紙を持っていく。
「お城にちゃんと届きますように!」
少女はそう言いながら、雪で少しインクが滲んでしまった手紙をポストに入れたのだった__。
☆
私は、『煌光の剣』の調査が再び始まるため、サミュエルから執務室に呼び出されていた。
コンコン
「おはようございます!」
私が執務室に入ると、サミュエルは目を通していた書類から顔を上げる。
「元気になったようだな」
「はい。ルーシーさんにとてもお世話になりました。サミュエル様のおかげです。ありがとうございました」
私が頭を下げようとすると、サミュエルはそれを手で制する。
「俺は何もしていない。何があったかは知らんが、今日からまた頼むぞ」
「はい!」
私とサミュエルがそんな挨拶を交わしていると、執務室のドアがノックされた。
すると、サミュエルの返事を待たずにルーシーが部屋に入ってくる。
「おはよう。今日は調査に行くんでしょ? 私も同行するわ」
「は? お前何を言っているんだ。遊びに行くんじゃないんだぞ」
「遊びの延長みたいなもんでしょ? ね、レイカ?」
「え? あはは……」
ムスッとしているサミュエルを尻目に、ルーシーは調査にいく準備を進める。
私は、そんな二人の間で苦笑いするしかなかったのだった__。
☆
昨夜の雪が残る公園の道を三人で歩く。
よく晴れた青い空と澄み切った空気が心地良い。
小さな森を抜けると、そこには先日見た滝が相変わらず美しい青い水を湛えてそこにあった。
「『アクア グレイス』じゃない! 懐かしいわね! 昔よく遊びに来たわよね、サミュエル?」
「そうだったか?」
「覚えてないの? ひどい!!!」
ルーシーは、少し怒ったふりをしながら懐かしそうに滝の周辺を探索し始めた。
その様子をサミュエルは呆れ顔で見ている。
「お二人は幼馴染なんですか?」
私は、そんなサミュエルの横に並んでそう尋ねた。
「ああ。あいつが初めて城に来た時、俺の後をずっとついて歩いていたと俺の執事から聞いたことがある」
「そうなんですね。可愛いですね」
「俺は覚えてないんだがな。それ以降も、なんだかんだ俺に絡んでくるな」
サミュエルはそう言って、滝を見つめているルーシーを見ながら笑った。
(ルーシーさん、サミュエル様のことが大好きなんだな)
二人の思い出話をほっこりしながら聞いていると、ルーシーが私とサミュエルを呼んだ。
「ねえ! 思い出したことがあるんだけど! こっちに来てくれない?」
その声に、私とサミュエルは顔を見合わせてルーシーの元に向かった。
「どうした?」
「私、思い出したんだけど、『アクア グレイス』の裏側に何かなかった?」
「は?」
「昔、『アクア グレイス』の周辺を二人で探索したじゃない。その時、サミュエルが裏側に何かを見つけたのよ」
サミュエルは、当時を思い出すように考え込んだ。
「裏側に行ってみるぞ」
そう言って、滝の裏側に続く道を歩き出したサミュエルを、私とルーシーは追いかけたのだった__。
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