第11話 ブリオッシュ国立自然公園
自分を占って欲しいと言うルーシーを、私はしばらく見つめていた。
「えっ? ルーシーさんを占うんですか?」
正直、サミュエルの部屋で見たルーシーは、占いなど信用していないタイプの人間だと思っていた。
私の訝しむ様子に、ルーシーは観念したように言った。
「そうよ。私、本当はすごく占いが好きなの。だから……」
そう言って、ルーシーは私にグッと近づく。
「私の未来、まぁなんて言うか……結婚? とか?」
「あ、わかりました! ルーシーさん、好きな方がいらっしゃるんですね?」
私の言葉に、ルーシーは焦ったように素早く反応する。
「そ、そんな人いないわよ! ごちゃごちゃ言ってないで早く占いなさい!」
恋愛相談を長くやってきた私には、ルーシーに好きな人がいることぐらいわかるのだ。
私は、そんなルーシーを微笑ましく思いながらタロットカードを取り出した。
「では、占ってみますね」
ルーシーから得た情報を元に、カードを丁寧にシャッフルする。
そして、一枚のカードをテーブルに置いた。
「節制の正位置のカードですね。家族のような関係で、同じ価値観を持っており、ちょうどいい距離にいるみたいです。素敵なご関係ですね」
私が微笑みながらそう言うと、ルーシーは少し嬉しそうな顔を隠すように立ち上がった。
「そんな関係の人はいないけど、どこか近くにいるかもしれないってことよね? ふーん、わかったわ。占ってくれてありがとう」
ルーシーは、私の顔を見ず早口でそう言うと、足早に食堂から出て行く。
そんなルーシーの後ろ姿を見送った後、また食事を再開しようとテーブルを見ると、そこにはランチ分のお金が置かれていたのだった__。
☆
ブリオッシュ国立自然公園は、広大で豊かな自然あふれる場所である。
美しい湖や壮大な渓谷、そして数々の動植物が暮らしており、ブリオッシュ王国が誇る観光地として国内外から毎日たくさんの観光客が訪れている。
そんな自然公園に、私はサミュエルと共に調査に来たのだった。
「わぁ、広いですね〜! 綺麗な公園!」
「我が国が誇る自然公園だ。ちょうど園内を見て回るいい機会だからな。見回りしながら剣も探すとしよう」
サミュエルはそう言うと、私に園内の色々な場所について説明してくれる。
私は、その度に感心してサミュエルの説明に聞き入った。
そして公園を全て見回る頃には、夕日が辺りを赤く染め始めていたのだった。
「どうだ。この公園の素晴らしさがわかっただろう?」
「はい。とても素敵な公園ですね!」
「そうだろうそうだろう。ところで、ひと回りしてレイカが気になった場所はあったか?」
公園を褒められて上機嫌なサミュエルが、私に尋ねた。
そんな時、私とサミュエルの後ろを観光客たちが通り過ぎていく。
「ねえ! 雑誌で見たパワースポットってこの辺りじゃない?」
「あ、そうかも! 行ってみよう!」
観光客たちが向かった先が気になり、私はサミュエルに逆に尋ねた。
「パワースポットがあるんですか?」
「ああ。いつからそう呼ばれ始めたかは不明だが、確かにパワースポットと呼ばれる場所がある。陽が落ちる前に行ってみるか?」
「ぜひ!」
笑顔で答える私にサミュエルはうなづくと、先程の観光客たちが向かった場所に歩き出したのだった__。
【登場人物紹介①】
月花レイカ 27歳
タロット占い師
ブリオッシュ王国に過去の記憶があるまま転生。
そこで知り合ったパン職人のハリスのことが好き。
目標はブリオッシュ王国1番の占い師になること。




