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03 ―邂逅― 雪




とにかく少女を砦に連れて行くことにして、

さりげなく砦と、魔物の森の位置を確認した。


この位置ならもし今、魔物が現れても砦にいる仲間の援護が受けられる。

そう判断した俺は、少女を促しゆっくりと歩き出した。


少女の歩幅と、魔物の話で震えていた様子から考えての判断だった。

急かせばまた怖がらせるだろうと思ったのだ。

足がすくんでしまうかもしれない。



名前がないのは不便なので、少女は俺が《フィンリー》と名付けた。


フィンリーはトコトコと俺の後を少し離れてついてきた。


寒いだろうと貸した俺の外套は、フィンリーには大きくて。

頭から被せてやったので、まるで外套を連れて歩いているみたいだった。



その外套が喋った。


「……ねえ」


「なんだ」


「どこに行くの?」


「俺の仲間のところ」


「仲間?」


「ああ」


「……どんなところ?」


「行けばわかる」


「……ねえ」


「なんだよ」


「名前は?」


「《フィンリー》って決めただろ」


「私じゃなくて」


「ああ。なんだ、俺のか」


俺はふう、と息を吐いて足を止めた。


「リアンだ」


「リアン」


「ああ。よろしくな、フィンリー」


「……よろしく、リアン」


気持ちがほぐれたのだろうか。

フィンリーは俺に駆け寄ってくると、外套の下から嬉しそうに笑った。


そして


「あ。――雪。綺麗ね」


降り出した白い雪を、そう言って微笑んで迎えたフィンリーを見て

《こいつは本当に遠くから来たんだな》と思った。


雪は《魔物が現れる季節が来た》と告げるものだ。

この辺境の地に住む者は誰もが疎む。




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