◆フロッティーナハイル、王城最寄りの教会④
「ライムー、終わった……ライム?」
ライムがしかめっ面でいると仕分けの終わったナツが元気に駆け寄ってその表情に怪訝そうに首を傾げる。
「どうかしたの?」
瀕死の人間も治療が終わっており、ライムが悩むような事など無さそうなのにな、と言うようにナツの顔が心配そうに曇る。
「ライム、おつかれー……って魔力切れかい?」
「いくら金剛級でも上級魔法の連発はきついよなぁ、どっかで休むか?」
自分の担当分を終わらせたセンとキーも合流し、しかめっ面のライムと心配げなナツを見てセンはおや?と首を傾げ、キーもどこか座れそうなところあったかな、と辺りを見回す。
「あ、いえ……魔力残量的には全く問題は無いですので心配無用です。
先程まで漆黒が来て騒いでいたのでちょっと疲れてしまっただけですよ」
「その漆黒?さんって人の事はよく分かんないけどちょっと話したくらいでライムが疲れるような人、仲間にして大丈夫?」
ライムの回答にこれからその人のところに行くんだよね?とセンが難しい顔で首を傾げる。
「魔王戦において漆黒の殲滅能力は必須です、なんとしてでも引きずり出します。
元々パーティを組んでいましたが、あんなに一方的な会話をする子ではなかったはずなんです……恐らくは薔薇の国で何かあったのでしょう」
そんなセンに力無く首を振ったライムがどちらにしても会ってから考えます、と返す。
「まぁ、確かに魔物の大侵攻をほぼ単独で片付けられる戦力があるのにそれをパーティに加えずに魔王城に殴り込むのは無理があるよなぁ……」
ライムの言葉にセンも困ったねぇ。と言いたげに肩を竦めて溜息をこぼす。
「ライムがそんな子じゃなかった、って言うならきっとなにかあったんだよ、勇者じゃ役に立たないかもしれないけど何があったのか話を聞くくらいは勇者でもできるし」
ライムも怒ると怖いけどと笑ってからナツはそれに。と言葉を続ける。
「漆黒さんは、何回も勇者のピンチを助けてくれた人だからね!」
困ってるなら今度は勇者が助ける番だよ。と笑顔で親指を天に向けて立てる。
「勇者を助ける実力者、ってこと……?
最近流行りのなれる小説みたいじゃん」
ナツのセリフにキーが私この前タブレットで読んだぞ、と小さく呟く。
「なれる小説?」
「小説家になれる、って言う小説投稿サイトに猫も杓子も書いてるようなありがちな設定の話、ってことだよ」
「あぁ、なれる系ってやつです?」
「そうそう」
キーの呟きを拾ったセンの疑問と横に合流したゐぬの声にキーがそのまま簡易的な説明と同意を示す。
「そう言われれば最近流行りの主人公の手助けする脇役転生者の話とかそんな感じです?」
「本当に異世界からの転生者だったりして」
「まさか、現実にそんなことありえませんよ
未来や過去を視る魔道具はありますが、異世界の観測もされてませんし、無いものからの転移なんてありえません」
ゐぬの言葉を茶化すセンの言葉をライムがあれはフィクションですよ、と肩を竦めた。




