◆フルール連合国⑨
「勇者達が食料調達?
まかせて!勇者こう見えて家で家畜のお世話もしてたし、畑のお世話もしてたから〆るのもできるよ」
「……食べられる野草の知識は?野生動物の捕まえ方は?そもそも野営したことあるんですか?」
森の入口で休憩とし、馬車から出て一通り体を伸ばしたナツ達に今後の方針を伝えたライムに力こぶを作って見せながら役に立ってみせるよと気合いを入れているナツと何が食べられるかな。とはしゃぐセンをキーとゐぬが先行き不安だと言いたげな顔で遠くを見つめ、ライムはこれだから貴族は。と言いたげに頭を抱える。
そんな勇者一行を苦笑気味に見守りながらテキパキと役割をこなす騎士団が手網を外した馬達が魔法で用意した水桶にたっぷりと注がれた水を飲んだり、近くの草を食んだりとそちらは緩みきってはいないもののどこかのんびりした空気が漂っている。
「すみませんが少し狩りに出ます、会議は後ほど」
「承知いたしました、お気をつけて」
各騎士から報告を受けるガリウスに声をかけたライムに物腰柔らかく一礼して見送るガリウス達と別れてライム達は森へと分け入る。
「罠作りとか分かんないけど、勇者頑張るね」
「いざとなったら私がバズーカで獲物を追い立てるから安心してくれ」
「……期待してますね、キーさん」
「なんで私……?」
「あの調子の2人に狩りが出来ると思うんです?」
意気揚々と森に入るナツとセンの背を追いかける形になっているライムの言葉にキーがやだよ、めんどくさい。と言いたげに顔を顰めついて行く相手間違ったかな。という雰囲気を隠しもしないゐぬがあれ見て。と言うように2人の背を指さし、キーはそれを見てそれはそう。と言いながらスン、と真顔になる。
「いや、でも私も狩りとかしたことないんだけど……」
「そこは……何とかします」
なんとも言えない顔でどうにか回避出来ないかと一縷の望みを込めたキーの言葉にですよねぇ。と言いたげな顔で溜息をついたライムがまずは野草から始めましょうか。と言いながら今日の晩御飯は期待出来なさそうですね、と今から絶望の顔で何度目か分からないため息をつく。
「勇者ナツ、センさん、あまり離れないでください」
ライムの声にわかっているのかわかっていないのか元気な2人の返事が返ってくるが立ち止まる気配は無い。
そんな2人に慣れているキーとライムが諦めたようにそっと移動速度をあげたのを感じたゐぬが苦労してるんです?と小さく苦笑した。




