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Gaillardia・Coral   作者: 海花
花の国
74/105

◆フルール連合国⑦

「"報いの雨、復讐の刃、青い煌めき"《凍てつく矢(アイン)》!」


既に魔力を練り上げていたライムの詠唱が第一陣が刃を交える前に終わり、無数に生成されたペンほどの長さの氷の弾丸が矢のように一斉に盗賊団へ襲いかかる。


「リナリアとルルカリアは馬車の中にて守りを固めろ!

イリアは俺と来い背中は任せるぞ!

他は馬車を外から守れ!」


ガリウスの号令に黎明の黒翼のメンバーははい!と力強い声を上げ馬の速度を上げてライムの《凍てつく矢(アイン)》に多数の負傷者を出し混乱している盗賊達の中心へ従騎士のイリアを伴い飛び込んで行く。

続くイリアも一振で凄まじい数の盗賊を斬り伏せるガリウスの邪魔にならずしかし補助として機能する絶妙な位置取りでその動きをフォローし、ガリウスの背後を狙い奇襲をかけようとする者を一刀で斬り伏せて見せる。


「"冷たき棺、時の流れ、血の流れ"《激流(イフェリーラット)》」


ライムも周囲の瓦礫ごと魔法で生み出した大量の水がそこがまるで大河であるかの如く襲いかかり隠れていた弓などを持つ盗賊団を押し流していく。


「クソッ、こうりゃヤケだ!」


盗賊団の1人がガリウスに切られた腕を抑えながら馬車を睨みすえ、小さく口を動かす。


「"戦場の咆哮、撃滅の槍、蒼き閃光"《氷槍(ライネル)》」


「"《障壁(エレーヌ)》"」


詠唱速度で追いつけないと判断したライムが詠唱破棄して魔法結界を展開すると同時に人の3倍はありそうな大きさの氷の槍が馬車を狙って飛び出し、障壁にぶつかると結界を突破しようと回転しながらギャリギャリと嫌な音を立てる。


「防御魔法まで一流かよ」


織り込まれた魔力が尽きて回転が止まり霧散した氷の槍を見た盗賊団の男が諦めたように膝をついて乾いた笑いをこぼす。


「その評価は正確ではありません、月白レッフェンダーリィ様は防御魔法が超一流で攻撃魔法が一流なのですよ」


ガリウスの言葉が男が聞いた最後の言葉となり、襲いかかってきた盗賊団は一方的と言いたいほどの速度で殲滅させられてしまった。

辺りに広がるのは水と混ざった血液と多くの亡骸が広がり鉄に似た匂いと微かな刺激臭が漂う。


「"冷たき棺、時の流れ、血の流れ"《激流(イフェリーラット)》」


その匂いに顔を顰めたライムが再び杖を掲げると生み出された水が死体も血液も全てを押し流して辺りに泥濘だけが残される。


「……"星の恵、知恵の果実、堕天使の祝福、《原初の種火(スフィル)》"」


馬車の車輪のとられそうな泥濘に小さくため息をついたライムが面倒くさそうに呪文を唱えると暖かな風が駆け抜け地面があっという間に乾燥し馬車も問題なく進めそうな程に固まる。


「これは……火属性の適性が必要と聞いた気がするのですが……」


「火属性適性があれば楽に発動できますけど、それだけです、必須ではありません」


発動した魔法に跳ねた泥汚れのついたマントを払いながら驚いたように目を開くガリウスを軽く流したライムが先に進みましょう促して馬車が動き出す。

顔を出していいと言われてなかった馬車の中で馬車は動かないものとして待機していたナツとセンが頭をぶつけたようでくぐもった悲鳴が外に響いて馬車はカラカラと音を立てて先を急いだ。

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