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Gaillardia・Coral   作者: 海花
花の国
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◆フルール連合国③

「ライム、あれ!」


や追撃とばかりに口を開き渦巻く魔力が光を放っているドラゴンを指差したナツが空から一方的にやられる!と悲鳴を上げる。


「ほんっと、やる事が雑なんですよ!

大丈夫ですよ、ナツ。

あの空飛ぶ爬虫類なら問題ありません」


ちらりと空を見たライムの言葉にユリウス達の顔がまさか、と期待するように輝くが蒼天に翼を広げる巨大なドラゴンはライムの空飛ぶ爬虫類の発言に抗議するように巨大な炎弾をライムの展開した障壁ごと焼き尽くすように雨のごとく降り注がせる。


「ライムさん、あのドラゴンってもしかして……」


「はい、漆黒ディービィです」


騎士団の声に肯定したライムの言葉に歓喜の声が上がる。

下位種族とされるワイバーンすらその存在そのものが災害として語られるほど強大な生き物で、その上位種族であるドラゴンの火球の雨にナツ達がやべぇな。とドン引きした顔をうかべる


「ほんと、もうちょっと丁寧に仕事して欲しいですけどね」


ドラゴンが飛び去り、炎の海が消え去り視界が開けると荒廃していたが、原型を留めていた広場はライムが障壁を展開した場所以外は更地へと姿を変え、灰も残らずに焼き尽くされ、地面は溶けたガラス質が傾き始めた太陽の光を受けてキラキラと黄金色に輝いていた。


「綺麗……だけど、会いに行ったらあの火で焼かれたりしない、よね……?」


「……大丈夫です、殺されはしないはずです」


光に輝く地面に引きつった顔でライムに確認するナツに目を逸らしたライムが自信なさげに返す。


「死なない程度に焼かれる可能性はあるのか……」


その会話を聞いたキーの呟きにセンとゐぬがこわ、とドン引き顔で呟く。


「……漆黒ディービィの機嫌次第、ですけどちょっと火をけしかけられる位はあるかもしれません。

私が居るので怪我はさせませんけど……少なくとも今日は行けませんね、とても機嫌が悪そうです」


はぁぁ……と重たい息を吐いたライムが疲れたようにガックリと頭ごと肩を落とす。

そんなライムに機嫌の悪い時は恐ろしい人ですからねとガリウスが慰めるように肩を叩く。

その様子に過去に被害にあったことがあるのか騎士団のメンバーも苦笑いを浮かべつつ今日はここで野営にしましょうか、と提案する。

ライムとガリウスが同意を示せばもう今日は馬車に乗らなくていいと理解したナツがやったぁ!と手を挙げてセンとキーも安堵の息をつき、ゐぬは明日の行軍を思ってまだつかないんですね、と溜息を吐いた。

ガラス質の地面にはテントを張れないのでライムが守った噴水広場に野営準備を始めていく。

もうすぐやってくる夜を超えるために。

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