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Gaillardia・Coral   作者: 海花
森の国
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◆リーファス家の屋敷にて①

「あぁー、おわったぁ……父さんの説教より母さんの説教の方が精神的に疲れるんだよなぁ……」


センの実家である領主館に帰った後、事情説明と受け入れ作業を行い、両親にこってり絞られたセンが、ナツとライムが休んでいる部屋に入ってくるなりぐったりとソファへへたり込む。


「私の方はセンガいつもやらかしてたおかげでお咎め無しだったがな」


メイドに紅茶を頼んだキーがセンに続いて苦笑しながら入室するなり、へたりこんでいるセンを見て

また母親に怒られるぞ。と窘める。

うへぇ。と嫌そうな声とともに緩慢な動きでソファに座ったセンが落ち着くのを待ってライムが口を開く。


「それで、首尾はどうでしたか?」


「あー、そこはばっちり

なんならあいつらうちらへの襲撃が1番犯罪らしい犯罪だったよ。

生きるために商隊襲ったみたいな事言ってたけど、あいつら襲ってたの商隊じゃなくて盗賊団だったからあいつらよく報復受けなかったな。って思うよ」


ライムの言葉に私も気になる!と言う視線を向けたナツを見たセンがゆるっとした所作で親指を立てて見せる。


「襲ってきたら殲滅しますけどね、盗賊に人権はありませんし

盗賊から盗んでたなら無罪放免ですね」


「盗賊の人に人権は無い……え、犯罪者にも人権って一応あったよね?」


出された紅茶を啜ったライムの言葉に傭兵が商人を襲って盗賊が盗賊で……?と首を傾げて分かりやすく混乱していたナツがライムの言葉を繰り返してからハッと我に返ったように首を傾げる。


「盗賊だけはありません」


「マジの盗賊に関しては人じゃなくてケモノだから人権なんてないんだよ、勇者」


「盗難だけならまだ人権があるかもしれないが、盗賊は殺人、誘拐、強姦、恐喝なんて感じで他の人の人生終わらせちゃってるから盗賊には人権ありますよって言うのは無いんだよ。

人の事好き勝手したんだからお前達も好き勝手されて良いんだよな。って事だね」


首を傾げるナツにライムとキーは端的に、センは因果応報ってやつだな、とケラケラと笑いながら答える。


「追い詰められて盗賊になった人も……例外無く……?」


「追い詰められたからと言って他人の人生を終わらせてしまった時点で何を言ってもそれは正当な理由にはならないんですよ。

それともあなたは正当な理由があれば何をしてもいいと思っているんですか?」


あの人達みたいに、と言ったナツに溜息をついたライムがすっと冷えた目を向ける。


「え、いや……さすがに殺すのとかはダメだと思うけど……食べ物を少し貰うくらいなら……」


「じゃあその食べ物が人道支援だった場合は?

盗賊数十人が少しだけ、って貰った結果飢えて死にそうだった村の助かるはずの子供が死んでもそれは仕方ないことだと言えますか?

命の危険があるから支援を取りやめる、と商人が決めてしまったら?

その村の人間全員が飢えて死ぬ事も有り得るのですが、ヤースガーフン皇国の王族はそれでも盗賊を許容するという事ですか?」


ライムの射すくめるような殺気の籠った瞳と一言一言言い含めるように訊ねる言葉にナツとセンがヒェッと小さく悲鳴をあげてどちらからともなく手を握り、身を寄せて小さく震える。


「王位継承権を放棄しているとは言え王族の言葉と言うのはそれだけで人の命を左右するんです。

迂闊なこと言わないでください」


震えるナツとセンに目を閉じて王族の教育どうなってるんですか、とボヤいたライムが告れば2人がコクコクと頷くのを見ていたお茶の用意をしていたキーが苦労するなぁと言う顔で同情気味にライムを見てそれから戸棚から丁寧に梱包されたお菓子を1つライムの前に置く。


「あ、それ……!」


「センのは無いぞ」


ライムの怒り方母さんと似てるんだよなぁ、と震えていたセンはしかし、キーが置いたお菓子に目ざとく反応するが、キーにピシャリと断られる。

目に見えて落ち込むセンに譲ろうとしたライムにキーが迷惑料だと思って食べて。と肩を竦め、センとナツには別のお菓子を用意してる、とカートに入っていたクッキーを配膳する。


「これは……琥珀糖ですか?」


「それは、ただの琥珀糖じゃないよ

近くの森でしか取れない金剛花の根から取れる金剛糖を使った琥珀糖!

普通の琥珀糖よりも甘くて透明度が高いからこれで作られたお菓子は本物の鉱石のように光り輝くって言われてるんだ」


個包装を解いたライムがキラキラと光を受けて輝くコロンとしたお菓子を見つめて記憶にあるものと違う、と言いたげにライムが首をかしげればセンがドヤ顔でそのお菓子について説明する。


「金剛糖の琥珀糖!?」


その説明に目を見開いて息を飲んだライムの脳内の言葉を代弁するようにクッキーに手を伸ばしかけていたナツが素っ頓狂な声を上げた。


「こ、金剛糖ってあれだよね

同じ重さのダイヤモンドと交換されてるって言う……」


青い顔のナツとライムにキーがさすがにそこまでてまは、と訂正しようと口を開く前にセンが爆笑する。


「昔はそうだったらしいけど今はそんなに高くないよ、森の中の条件の揃ったところなら栽培できるようになったし

普通の砂糖の3倍くらいの値段で買えるよ」


カラカラと笑うセンに砂糖1キロで金貨1枚くらいだったよなぁと思い出したナツとライムが顔を見合せてそれでもおいそれとは買えない、と頷きあった。

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