◆交渉②
ライムが提示した条件と言うのが花の国までの臨時パーティ参加とガリウス達【黎明の黒翼】によるナツの剣術指南、ゐぬには最短で安全な旅の提案であった。
「そちらのお嬢さんの剣の指南ですか?
若輩者の私達で宜しければお受けしましょう。
ライムさんのお役に立てるのでしたら私の仲間も喜んで粉骨砕身、全身全霊を持って指導にあたる事でしょう」
「【黎明の黒翼】が着いてくるなら秘境レベルでも十分安全な旅のはずですが、正気です?」
憧れの冒険者であるライムにお願いごとをされた、と若干嬉しそうなガリウスとあまりに自分たちに有利な提案に何か裏があるのではと勘ぐるゐぬが正反対の表情を浮かべる。
「こちらとしても戦力強化は最重要項目かつ緊急案件なんです。
一応聖王国からの勇者パーティという名目ですので、【黎明の黒翼】のおまけで、という訳にもいかないのです。
勇者パーティとして成立させるためにもなるべく稽古の時間を確保したいので安全な経路も必要なのですよ」
「なるほど、それなりの理由があるのは理解出来ました、でもそれなら絶対防御の異名を持つ金剛級がいる以上、他の戦力なんてゴミでもどうにかなるのではないんです?」
ライムの説明に頷いたゐぬがそんなに必要ですか、戦力。と言いたげに首を傾げる。
「金剛級といってもピンキリですよ。
私は青金剛ですから防御特化型で戦力としては微妙なところです。
攻撃等級としては白金級程度しかありません
ぶっちゃけ魔族やちょっと強い魔獣や魔物との戦闘になったら勝ち目はありません」
「金剛級でもやはり魔族相手は厳しいですか……?」
ライムが自嘲気味に笑いながら告げた言葉に厳しい表情のガリウスが唸るようにライムに訪ねる。
「同じ金剛級でもそうですね… …黄金剛や紅金剛、橙金剛辺りなら攻撃も重視されますからそちらでしたら多少足手まといになるようなパーティメンバーが居ても問題なく撃破出来ると思いますが、私は青金剛、防御するだけなら可能ですが迎撃となると無理、としか言えません。
そもそも、攻撃しようと思ったらその瞬間は完全な無防備になってしまいます。
それでも傷をつける程度がせいぜいでしょう」
金剛級を過信すぎでは?と言いたげなライムの言葉にガリウスがおや?と言いたげに首を傾げる。
「以前に我が国から魔物の大侵攻の際に漆黒様が行っていたような魔法の並行展開でも難しいですか?」
「真性の化け物みたいな身内と一緒にされても困ります。
漆黒みたいな魔法の使い方した10人いる金剛級の半分は数秒も持たずに魔力欠乏症で即座に命に関わってくる重症を負いますからね、あんなデタラメな生き物を基準にしないでください」
前に漆黒の戦闘を見たことがあったらしいガリウスの言葉にライムの眉間に深い皺が寄る。
あんまりなライムの物言いに何を言っているのかさっぱり分かっていなかったセンとキーはお互いに顔を見合せ、仲が悪いのかな?と首を傾げる。
よく分からないけど難しい話をしてるとせっかくの食事が冷めてしまうと食事を進めていたナツは既にメインを食べ切り、デザートのゼリーを口に含みながらライムと漆黒は別に仲が悪いわけではなさそうだったのになぁ。と少し前の湖での出来事をぼんやりと思い出して首を傾げる。
ゐぬとガリウスも怪訝そうな顔で同じパーティーじゃなかったか?と言いたげにライムを見る。
「まぁ、防衛特化に攻撃を期待しないでください、って事です。
それで、私の条件は飲んで頂けますか?」
微妙な空気になったテーブルを見回したライムが小さくため息をついてから空気を変えるようにぱちん、と手を叩いてゐぬとガリウスを真っ直ぐに見た。
大変お待たせしました。
久々の更新になります。
スランプになってた間にポケモンが出たのでポケモンやってたらこんなに時間がたってました。
リザードンレイド楽しかったです、次のエースバーンくんレイド楽しみですね。
まだスランプ気味なので年内の更新はこれが最後になるかなと思いますが、もう1話くらい投稿したいと思っています。
投稿、できるかな……?
投稿できなかったら笑って許してください。
それでは皆様、良いお年を




