◆黎明の黒翼
「真偽はどうであれ、花の国へ向かうのでしたら、女性だけで山越えは厳しいと思うので少し迂回しますが、乗合馬車がありますからそちらに乗られては如何です?」
夕食にゐぬのおすすめの路地裏にある少し落ち着いた雰囲気の古い宿屋を改装した半地下の広い食事処で落ち合ったナツ達は中から上級冒険者と思われる武装しているが騒ぐことも無く食事を楽しんでいる人々で溢れている食事処は賑やか、と言う表現がピッタリの騒がしくない適度に落ち着いており、直ぐに馴染んだナツが元気に山盛りカレーを食べている最中にセンやキーとのカード話が一段落したゐぬが思い出したように提案する。
その提案に全員が意外そうな顔を浮かべる。
「情報屋なのにそんなこと話していいの?」
「情報屋をなんだと思ってるんです?」
ナツの悪気のない一言にゐぬが糸目なのに器用にジト目でナツを見やる。
そんなゐぬにナツは悪気のない顔でお得情報を売る人?と首を傾げて応える。
そのナツに間違ってないな、とセンが大爆笑し、キーとライムは頭痛がする、とばかりに側頭部を抑える。
「私だって人間ですから知り合いがみすみす死ぬようなことがないように提案するくらいはしますよ?」
そもそも街の人に聞けば誰でも教えてくれるようなことは売りません、とため息混じりに説明する。
「ゐぬ……君って親切でいい人だね!」
情報屋なのに親切に教えてくれるんだもん!と目を輝かせるナツに話聞いていました?とゐぬも頭が痛そうに側頭部を抑える。
「まぁ、でも知らないかもしれない。って教えてくれるあたりは親切で良い奴ってのは間違ってないと思うよ。
実際、私たちは知らなかったわけだし」
そんな面々を見回して付いてきて正解だったと愉快そうに笑うセンがありがとう。とゐぬに告げればどことなく居心地の悪そうなゐぬが同志のよしみですし?と小さく呟く。
「あの、もしかしてそこにいらっしゃるのは絶対防御の魔法使い、月白様ではいらっしゃいませんか」
ワイワイと賑わうナツ達の会話にするりと入り込むように掛けられた声にライム以外のメンバーはキョトンとして声をかけた人物へ顔を向け、ライムだけは面倒事の気配がする、という顔でゆっくりと声をかけてきた人物へ目を向け、確かに私のことです。と小さく首肯する。
「あぁ、やはり!
はじめまして、になりますね。
私、騎士の国、国家騎士団員兼冒険者パーティ【黎明の黒翼】のリーダーのガリウスと申します」
全身を白金の甲冑で包んだ騎士が片膝をつき、その右手の拳を左胸に当てて貴人へするように恭しく頭を下げて自己紹介をした。
突然の寒さで手足が死人の如く冷たくなってますが私は元気です。
先日、誕生日に珈琲メーカーを貰ったので最強の珈琲生活してます( *˙ω˙*)و グッ!
読者の皆様も体調に気をつけて生き残ってくださいね。
秋は死んだんだ。




