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Gaillardia・Coral   作者: 海花
森の国
50/105

◆情報屋⑤

「……え、裏切った?

いや、まぁ……見た目的にも性格的にも使用魔術的にも……どの面を切り取っても漆黒(ディービィ)は確かに魔王軍って感じですけど……そんなまさか……だって彼女は……いえ、これは私も詳細は分かりませんが……魔王という存在を心の底から憎んでいたはずです。

それに、そもそも裏切るなら辺境に飛ばされてすぐ実行していたでしょうし、わざわざこの時期に裏切るなんて有り得ません……絶対に」


情報屋の青年がもたらした、今最前線となっている魔王領との境界国である花の国、フルール連合国の守護を任じられているはずのライムの旧友であり、災厄の魔女の2つ名を持つ漆黒(ディービィ)が魔王軍へ寝返ったと言う噂だった。

その噂にワナワナと震えるライムはその噂を即座に否定する。


「じゃあさ実際に会いに行けばいいんじゃない?

その漆黒(ディービィ)って魔女に」


情報屋の青年の話とライムの反応を見ていたセンはあっけらかんとした表情で会えば全部はっきりするでしょ、と気楽に告げる。


漆黒(ディービィ)……ってあの湖にいた幽霊もどきの子だよね?」


あの湖に行けば会えるんじゃない?とナツは上手く行けば自宅に一旦帰れるかもしれないと淡い期待を込めて提案する。


「会いに……そうですね。

もし、漆黒(ディービィ)が魔王軍に付いたなら……旧友のよしみで私の手で始末をつけます……たとえ刺し違えてでも、止めます」


会いに行けばいいと言うセンとナツの言葉に本の数秒目を閉じて考え込んだライムが覚悟を決めた表情で顔を上げる。


「勇者ナツ。

次の目的地をフルール連合国の薔薇の国(ローゾッド)へ定めたいと思います、構いませんか?」


姿勢を正したライムがナツに確認するとえ、私に確認するの?と言いたげなナツが反射的にいいよ。と応えると

ライムがセンとキーに確認を取る前に拳を突き上げたセンがうっし、と気合を入れるような声を出す。


「次の目的地は花の国、フルール連合国って決まったなら明日から準備しないとね」


はなから好きにしてくれ、と諦めモードのキーはセンの言葉に小さくため息をつきつつも準備なぁ、と零す。


「あ、そうだ。

情報屋の……えーっと何某くん!」


「別に情報屋、でいいですよ?」


じゃあ、自分はこれで。と立ち去ろうとした情報屋の青年の腕を掴んだのはナツ。

呼びにくいから名前を教えてよ、とせがむナツの圧に押し負けたように小さくゐぬ、と名乗る。


「犬?」


キョトンとした顔で繰り返したナツにこれだから言いたくなかったんだ、と言うように溜息をついた情報屋の青年ことゐぬが今度こそお暇します、と歩き出そうとしたのをセンが立ち塞ぐ。


「なんのマネです?」


「夕飯、予定がないなら一緒に食べようぜ。

ゐぬって札術師(デュエリスト)だろ?

私も昔、兄貴たちとそれで遊んでたから懐かしくってさ」


「え、なに?

お前、札術師(デュエリスト)なの?

使ってる組札(デッキ)は?」


好奇心を隠しもしないセンの(カード)の話しようぜ!という声に気づいたキーまで興味無さそうにゲームをしていた手を止めてゐぬに歩み寄る。

そのキーの圧に負けたように目を逸らしたゐぬが小さく妖精幻想(ティル・ナ・ノーグ)と答えれば無言で逃げ腰のゐぬの手を掴む


「同志か……!

妖精幻想組札(ティル・ナ・ノーグシリーズ)でデッキを組むと一昔前は浪漫デッキなんて呼ばれてたけど今じゃあ最強の一角だもんな

うちの推し札は偉大なる女主人、ダナ」


「母なる女神ブリギッドとの組み合わせは鬼札です」


キーの言葉にゐぬの方からも話がわかるやつだとばかりに手を握り返す。


「おすすめの食堂があるのでそこでいかがです?」


話が盛り上がったセンとキーを気に入ったらしいゐぬがもう少し如何です?と言うように誘いノリと勢いで生きてそうなセンがいいね、情報屋オススメの店!とテンションを上げた。

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