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Gaillardia・Coral   作者: 海花
森の国
40/105

◆異常発生④

「……魔力、大丈夫か?」


「問題ありません。

それよりも、今のうちに合図を!

一気に叩いて数を減らしましょう」


平原の中央よりもやや手前、街の方へ向かって走ってきた魔物達がある地点に到達した時点で何故か横一列全てが一斉に転倒した。

その様子に先程の魔法だろうと検討をつけたキーがライムに声をかければ緩く首を振ったライムが戦場になるであろう平原を見下ろして鋭い声を上げる。


「多少の無理は助力を願った手前止めないが、無茶はするなよ」


「これくらいなら問題ありませんよ。

私は王国の盾と呼ばれる最高峰の魔法使いですから」


腰に装備していた折りたたみ式のボウガンを一振で広げたキーが真上へ向けて特殊な閃光弾を打ち上げる。

派手な音を立てながら夜の平原を明るく照らし出す。

その様子を見ながら声をかけるキーにライムが小さく笑って心配不要です、と返す。


「できるだけ早く片付けましょう。

街に被害が及ばないように……!」


ライムが深く帽子を被り直し、杖を構え歌うように呪文を紡いでいく。


「"戦場の咆哮、撃滅の槍、蒼き閃光

重ねて、朽ち果てよ、戒めの庭、静かなる森

更に重ねて、巨人の拳、女神の涙、最果ての竜呪"

《凍結氷槍雨(ウェイフィル・ライネル·グラウ)》」


ライムが声高に紡いだのは三重詠唱。

一般には二重詠唱すら高等技術であると言われている魔法呪文の中でさらにもう一つ重ねたライムの呪文に平原の上空に氷の塊が形成されそれがひとりでに砕けては氷柱のように鋭利な氷の欠片が雨のように戦場に降り注ぎ後方のモンスター達に突き刺さり凍てつかせ、走ってくる後ろのモンスターがぶつかって砕け散る。


「すげぇな……これが噂の王国の盾の実力か……」


「さすがに乱発は厳しいですけど、前線の方々の負担は減るはずですよ」


ライムの実力に息を飲んだキーに苦笑したライムが再び魔法を放つ為に息を整える。


「まぁ、私らも任せっぱなしは良くないよな……。

黎明の黒、叫びの赫、鎮静の青、《鮫時雨(シャーリング)》」


キーがボウガンを構えてはじめて会った時と同じように呪文を唱えながら矢の番えられていないボウガンを上空へ向けて構えると引き金を引く。

その瞬間にふわりと輝く光の矢が空へ打ち上げられ散開して雨のように降り注ぐ。

その眼下に白い集団がモンスターとぶつかり踏み潰していく。


「あれは……?」


「吊りチキン……センの手勢の魔鶏だ。

最初にセンが暴走させて追いかけ回されてたあの生き物だよ」


明らかに人ではないシルエットになんだあれは、と視線が険しくなるライムにキーがあぁ、アレか。と言うような声で答える。

その言葉にライムが昼間の出来事を思い出したのかあぁ……と小さく息をこぼした。


「……つまり、今最前線にはセンさんが?」


「基本的には統括してるから敵がいる限りはセンは吊りチキンの後ろにいると思う」


追いかけ回されていた光景を思い出したライムが小柄に見えるセンが先陣を切っているのかと目を凝らすがそれないよ。とキーが首を振る。

それを肯定するように街の方から爆音が響いた後草原の一部が吹き飛び、大地が深く抉れる。


「今のがセンの攻撃だから、心配しなくて大丈夫」


「え、とんでもない威力でしたよね……センさんにそんなに魔力があるように見えなかったんですけど……」


「センの武器は魔法武器でもないし、センは魔法使いでもないからな……ただのバズーカだよ」


キーの説明にライムがそれでも威力が可笑しいんですけど……、と訳が分からないと言う表情を浮かべた。

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