◆奇祭④
「セン、説明を省くな」
「あはは、ごめんねー。
さっきびっくりさせちゃったし、キーが蹴飛ばしちゃったからお詫びに家で晩御飯でもどうかな?って話なんだけど……どうかな?
まぁ、断られると私が父さん達に絞られること間違いなしだから断らないで欲しいんだけどさぁ」
やれやれという態度のキーと呼ばれた少女に謝る気のない謝罪をしたセンが人懐っこそうな声音で2人に事情を説明する。
「晩御飯!
ライム、今日のご飯ご馳走してくれるって!行くよね?」
「そうですね。
まぁ、そういう事でしたら……それにこちらとしては来た所で右も左も分からないので出来ればその後に宿なども紹介していただけるとありがたいです。」
鳥人間!とビビっていたのはどこへやら、晩御飯をご馳走するの言葉にナツがパッと目を輝かせ、それを見たライムがまだ食べるんです?と言いたげな顔でナツを見た後、期待に満ちたその顔に諦めたように溜息をつき、センに向き直ると了承したことを伝えるために頷いたあと、ついでだとばかりに困り事を一気に解決してしまおうと言葉を重ねる。
「へぇ、2人は外の国から来たんだ。
良いよ、おすすめの宿と簡単に街の紹介してあげる、その代わりそっちの国のことも教えてよ。
これは興味本位なんだけど2人はどこから来たの?」
よし、これでこれ以上は怒られないぞ、と呟いて頭の後ろで手を組んだセンが軽く請け負ったあと好奇心に満ちた声で2人に訊ねる。
「どこって……家から?」
「そりゃあそうだ」
「ヤースガーフン皇国……聖女の国です」
キョトンとした顔で応えたナツに質問したセンが大爆笑し、ライムが呆れた顔で正しい答えを返す。
「あー、あそこか。
前に来た人が家に"ステンドグラス"ってやつでできたランタンを置いていったけど、壊すから触るなって言われて良く見れてないんだね。
そういうのいっぱいある国なの?」
ライムの言葉に話だけは聞いたことあるよ、と言う様子のセンの言葉に教会とお土産屋に置いてるくらいですよ、と苦笑したライムが返す。
「そう言えば、お祭りって聞いたけど……どういうお祭りなのか全く知らないんだけど、教えて貰ってもいい?」
センとライムの話が盛り上がっているので2人の後ろについて歩き出したキーに並ぶ形になったナツがキーに話を振るとこいつ、マジか。と言いたげな顔でナツを一瞥したキーがめんどくせぇ、と小さく溜息をつく。
「この祭りは私達の祖先を導いた精霊達に感謝する祭りだ。」




