◆サンバルト海域⑤
あれから3日、何事もなく航海が続いている。
船の探索し尽くしてしまい、他にお客さんも居るので剣を振り回して練習する訳にもいかず
かと言ってタダで乗せて貰ってる上にそこまで資金のない状態で他のお客さんのように娯楽施設で遊ぶのも気が引け、未成年なので酒場にもいけない。
見渡す限りの青い海は太陽の光を受けてギラギラと目に優しくない輝きを放つばかりで何も無い。
そんな状態にナツは完全に船旅に飽きていた。
部屋ではライムが勉強をしているのか本を広げて熱心に読んでいるが1度横から少し覗き見たもののナツには何が書いてあるかちんぷんかんぷんだった上、勉強中のライムに話しかけるのも気が引けるナツは結果として部屋でベッドの上でひたすらだらけていた。
「ひまで死んでしまうってこの事か……こんなことならポータブルゲームのひとつでも持ってくるんだった……」
枕に顔を埋めて呻くナツに気づいたライムがふと顔を上げる。
「魔法の練習をしたらどうですか?」
「魔法の……?」
ナツの姿に思うところがあるのか、ふむ。と呟いたあとで静かに提案したライムの言葉にナツが首を傾げる。
「攻撃魔法や防御魔法のように実際に発動させると危ないので魔力を魔力のまま体を循環させるという訓練があります。
それなら集中力を使いますし、何より失敗しても異常に疲れるということ以外は何も無いので周りに被害を及ぼすこともありません。
瞑想してもいいと思いますが、向かなさそうなので、魔力循環訓練されるのがよろしいかと」
「魔力循環訓練……うん、やってみようかな」
ライムの説明になるほど、と頷いたナツがベッドから起き上がりそのまま胡座をかいて、ちょっと楽しそう、と目を閉じる。
それを見届けたライムが再び書物に目を落とす。
しかし、数行も読まないうちに視線を感じて顔を上げたライムの視線の先で困ったような顔でライムをじっと見つめるナツと目が合う。
「……どうかしましたか?」
「私、魔力の循環訓練なんてやった事ないからよくわかんない……そもそも、魔力ってどうすれば使えるの……?」
ライムが一瞬面倒くさそうな表情を浮かべたあと仕方ないという顔でため息をついて声をかけるとナツが助かった、という顔でライムに助けを求める。
そのナツの表情に分かりやすく顔を顰めたライムが大きく深いため息をついてナツに魔力の循環のさせ方を教える為に本を閉じて立ち上がった。
週末になると体調不良で数時間しか起きていられないのにやりたいこととやらないと行けない事が山盛りてんこ盛りで死にそうです。
ちびちび進める予定ではいるのでまだしばらくお付き合い下さい。
次から新しい国の話になる予定ですので、もう少しテンポよく進むかな、と思います。
頑張りますので見捨てないでください、読者数が今の心の支えなんです……!




