◆サンバルト海域①
あれから騎士団や自警団の人達に事情調査という聞き取りがなされ、深夜にようやく解放され、
これから宿を探すか野宿かな。とため息をついたナツだが、シィ、ことシイラとルドウィンの勤めている【白鯨商会】がライムさんとそのお連れ様なら!と宿を提供してくれた上で晩御飯に盛大な宴会を開くと申し出てくれたのだ。
ライムがこの時間から宴会は勘弁してください。と疲れた声で断ると管理しているホテルのスイートルームに送られその翌日に迎えが来たと思ったら瞬く間に船に案内される。
その船上で【白鯨商会】の昨日の夜催されるはずだった宴は船上パーティに変わった旨が通達され、
事前に知っていたライムは落ち着いていたが、何が何だか分からないまま船の上に乗せられたナツは事態を理解するまで10分ほど放心していた。
そんなナツが我に返った時には陸地はちょっと泳いで戻るには無理な距離へと離れており
ナツとライムは海上で緩やかに揺れる船に揺られていた。
「何がどうなってこうなったんだ……」
「【白鯨商会】とは昔、縁がありましたからね、それで乗せて貰えたんですよ。
それより、夕方からパーティですけど、食事とれますか?」
頭を抱えるナツに何を不思議そうに、と言いたげなライムが船酔いを心配して声をかけるとナツがご飯!と目を輝かせる。
「船のご飯ってどんなのが出てくるんだろう……、楽しみだなぁ」
「大丈夫そうですね……」
昨日の夜は遅かった事もあり、部屋に用意されていたお菓子を軽くつまんだ程度で、朝もフルーツの盛り合わせを軽く食べただけのナツは船上パーティで出るであろう食事に思いを馳せてやっぱり海鮮かなぁと呟く。
その生き生きした様子に心配して損した、と言わんばかりのライムがナツとは反対にげんなりした表情で重たいため息をつく。
何が出ると思う?私は大きい魚が食べたい!と盛り上がった様子で話を振ってくるナツに遠い目をしたライムがそうですね、と適当に相槌を打っているとゴンッ、と言う大きな鈍い音と共に船体が大きく傾く。
何かにぶつかったのだろうかと客室の窓から外を確認したライムが白い何かが窓の外を横切るのを見る。
同時に鳴り響いた警鐘と乗組員達の怒号のような声、俄に慌ただしくなる船内にナツが不安そうにライムを見た時には長杖を片手にライムが部屋を飛び出していく背中が見えるばかりだった。
「ちょっと待ってよ、ライムー!
一体何があったって言うのさー!!」
よく状況の分からないまま大剣を抱えてナツもライムの後を追いかけて客室を飛び出した。
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これからもちまちま更新になりますが、最後まで走り抜けられるように頑張ります( *˙ω˙*)و グッ!




