◆奴隷船④
「私は勇者だから大丈夫!っていうのはなんか違うよね……、裏切られたら怖いのは分かるし……
うーん……私が勇者だからかっこよく助けてあげたいのはやまやまなんだけど……私、ダメダメだからなぁ……」
剣なんて当たらないし、当たったと思ったらライムの魔法切っちゃうし……もしかしなくても私、ライムの足を引っ張ってるんじゃ……?
私、居ない方が早く魔王倒せるんじゃない?とナツが自己嫌悪の海に沈んでいく様を眺めていたシィの背後にいた幼い子供達がおずおずとナツに近づくと、がんばって、げんきだして。と落ち込んでいくナツを励ましにかかる。
「ありがとう、私、頑張る。
まずは……この枷を引きちぎるところからかな!」
「「え」」
「え?」
どう見ても金属の枷を引きちぎると宣言したナツに周囲にいた子供達が理解できないと言う顔で声を上げ、ナツもその声に変なこと言ったかな?と首を傾げる。
「おねぇちゃん、それ、まふうじのうでわ。
まほう、つかえないよ……?」
「魔法が使えなくても力いっぱい引っ張ったらちぎれそうだから、行ける気がする!
なぜなら勇者は力持ちだから!」
「ごめん、ちょっとよく分からないのだけれど。
どうしてそういう理屈になるの……」
魔封じの腕輪で魔法が使えないことを忘れてるのだろうと指摘したまとわりつくように先程までナツを慰めてくれていた幼い少女が魔封じの腕輪を指さしてナツに伝えるがナツは頑張ればちぎれる気がする!と自信満々に胸を張り、それを見たシィが額を抑えて膝から崩れ落ちる。
「肩肘張ってるのが馬鹿らしくなる」
はぁ。とため息をついたシィが歩み寄るとこれ、普通に開けられそう。とナツの髪に付いていたヘアピンを借りる。と外すとそのままかがみ込みナツの手首を子供達に命じてしっかり抑えさせるとなになになに?と怯えるナツの手首に嵌められた魔封じの腕輪をじっと観察しながら鍵穴にヘアピンを突っ込み耳を当てながらしばらく細かく動かしていく。
「ん、おしまい」
ややしてシィが顔を上げるとガシャン、とやや重ためな音を立ててナツの手首に嵌められていた魔封じの腕輪が床に落ちている。
「これが、リアル鍵開け……」
自由になった両手をぐっぱ、と閉じたり開いたりしたナツが凄い!と目を輝かせると別に……、とシィが照れたように顔を背ける。
さぁ、これであとは逃げるだけだぞ。と意気込むナツが早速檻を破壊しようと立ち上がった瞬間にコツコツと複数人が誰かが歩いてくる音が響いてくる。
何かはよく分からないが話し声もしている。
「やば、ちび共は奥に」
「私が絶対に守ってあげる。」
目立たぬように子供達を隅へ急いで移動させたシィが子供達を庇うように両手を広げて音の方向を睨むその前に立ったナツが震える手を握りしめて私は勇者だぞ。と気合を入れるように呟いた。




