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Gaillardia・Coral   作者: 海花
花の国
103/105

◆薔薇の国、黒薔薇の館、応接室③

ナイトと呼ばれた夜色の髪の執事が入れた紅茶を飲みみながら懊悩する勇者一行を眺めていた漆黒ディービィだが、ナイアーと呼ばれた褐色肌の執事が木箱を持ってくると手にしていたティーカップをテーブルに置く。

そばに置かれた木箱には細長い瓶と赤黒い手のひらサイズの小箱が無造作に収められている。

それらを適当に手に取り、細長いガラス管にコルク栓された黒くきらきら光る黒曜石の粉末のようなものと赤黒い箱が机の上に並べる。


「これは……?」


「こっちの試験管……細長い瓶は古龍の鱗をちょっと特殊な処理をしてから粉末にしたものよ。

瓶の中身をぶちまける形か土に混ぜたり、浅い場所なら埋めてしまってもいいけど、鼻が利く魔物ならこの匂いで大抵は近寄らなくなるわ」


それを見たガリウスの問い掛けに細いガラス管の方を手に取って中身をコルク栓を抜いて手のひらに広げて見せた漆黒ディービィの動作にガリウス達 《黎明の黒翼》メンバーと情報屋のゐぬ、交易都市に身を置くキーとセンが目を見開く。

よくわかっていないナツは小さく首をかしげ、ライムに至っては呆れた顔を向けている。


「こ、こここ……」


「なぁに、鶏の真似かしら?」


古龍の鱗と言うワードにそれが持つ価値を正しく理解しているゐぬが声を零すと漆黒ディービィが獲物を見つけた獣のように目を細める。

笑顔にも見えるがその雰囲気はあまり上機嫌そうではないと感じたナツが小さく身震いをする。


「古龍の鱗、と言えば今や全ての富が集まってると言っても過言ではないヤースガーフン皇国でも国宝レベルになる素材で、1枚で侯爵のタウンハウス買ったってお釣りが来るレベルなのに一体こんな量をどこで手に入れたんです??」


普段ほぼ閉じているような糸目を開いて身を乗り出すゐぬの様子にまぁ、そうなりますよね。という顔のライムとは別にそういう扱いなんだ。みたいな意外そうな顔をした漆黒ディービィが身動きを止めて意外そうにパチパチと数回瞬きを繰り返した後で小さく首を傾げる。


「鱗なんて時期になればいっぱい落ちるじゃない」


「古龍自体が目撃情報がここ500年は無いのにいっぱいあるわけない、知らないんです?」


「じゃあ僕の運が良かった、って事で」


キョトンとした顔で返す漆黒ディービィがゐぬの言葉でそれは知らなかったな。という顔で肩を竦めたあとで適当にはぐらかす。


「効果時間は下がるけど燃やしたら効果は上がるよ。

芳香もあるからスーの部屋ではお香代わりにしてもいいかもね」


手のひらに乗せた粉末を一摘み掴んだ漆黒ディービィがその指先に火を灯す。

値段を聞いていたガリウス達やゐぬ、センとキーが小さく悲鳴をあげる。

価格のよくわかってないナツは指先に無詠唱で灯されたオレンジ混じりの紅い炎をじっと見つめ、事情を知っているらしいライムは他人の寿命縮むような事するのをやめてあげて欲しい。という顔で溜息を吐く。

火に炙られてふわりと香る芳香に真っ先に気付いたナツがわぁ。と声を零した。

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