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炎陽の退魔師~炎の刃を振う少年は白面金毛九尾の少女と共に妖怪を狩る~  作者: 河原 机宏
第一章 出逢い

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保健の先生がやたらと俺に迫って来た件

 学校を去る当日、本当に今更な感じがしたが保健室にて俺のカウンセリングが実施された。

 保健室の責任者である明海あけみ智恵ちえ先生が生徒たちのカウンセリングを引き受けており、鬼に襲われショックを受けていた彼らにも少しずつ笑顔が戻っていった。


「式守君は紅茶とコーヒー、どっちが好みかしら?」


「明海先生、俺はまだ授業中なんでお菓子食べたりお茶は飲めないんですが」


 苦笑いする俺の前には沢山のお菓子が置かれていた。この部屋を訪れて早々にカウンセリングは必要ないねという話になり、俺は先生とお喋りをしていた。


「あら、式守君は意外と真面目なのねぇ。先生、真面目な子は好きよ」


 ニコッと屈託のない笑みを見せてくれる明海先生。視線を下方にずらすと、そこには藻香や楪さんにも負けない豊かな双丘がぷるぷる震えている。

 白衣の下に着ている服は胸元が開いていて、少しかがんだりすると見事な谷間が姿を見せてくれる。


「式守君は自分に正直ね」


「――え、どういうことでしょうか?」


「さっきから、私の胸ばかり見ているわよ」


「すみません。――でも、登山家が山を登るのはそこに山があるからだって言うじゃないですか。だから俺が胸を見るのは、そこに胸があるからなんです。そうでしょう!?」


 凄む俺を見て、明海先生は爆笑しながらコーヒーを淹れ、俺の前に置く。


「一応コーヒーを置いておくわね。――そうねぇ、式守君ぐらいの年齢の男性は特に性欲が強い時期だから仕方がないけど、そう言うことは外で言ってはダメよ。女性に白い目で見られちゃうわよ」


「その事でしたらお構いなく。既に白い目で見られています」


 明海先生は呆れながら椅子に座るとコーヒーを飲みつつ足を組む。その美しくも色気のある所作を自然と目が追ってしまう。

 タイトなミニスカートに加えて、黒ストッキングと長くて綺麗なおみ足の組み合わせはすんごい破壊力だった。

 俺、今まで女性の胸にばかり興味が向かっていたけれど、脚フェチにも目覚めそう。


 藻香や楪さんと一線を画する大人の女性の色香はハンパじゃない。

 俺の視線に気づいたのか、明海先生は再びクスッと笑うと見せびらかすように大きい動作で綺麗な脚を組み替える。

 そんな大胆な動きだったので、当然ストッキング越しに彼女のショーツがお披露目される。

 時間にして数秒ほど姿を見せていたそれは、引き締まった太腿の向こうにお隠れになってしまった。

 脚を組み替えている間は無表情だった明海先生が妖しい笑みを俺に投げかける。

 

「本当に凄いわね。今一瞬も目を離さなかったわよ」


「こんな貴重な体験が出来るのは一生に一度あるか無いかなので。ほら、俺空を飛べるようになって一週間ぐらいしか生きられないので」


「君はいつから蛍になったのかしら?」


 冗談を言い合いながら先生はコーヒーをお代わりする。

 何故かは分からないが彼女はかがんだ姿勢を取っているため、突き出されたお尻が左右にふりふり動いている。

 ――ナニコレ。さっきからこの先生は自分の身体を使ってセクシーアピールしまくって来るんですが気のせいですか?

 例に違わず俺がお尻を凝視していると、突然こっちを振りむきニッと悪戯に笑って見せる。


「本当に式守君って面白いわぁ。こんなに面白い子だと分かっていたら、もっと前から色々とお話したのに残念ね」


「俺は明日にはこの街からいなくなりますからね」


「確か、『六波羅陰陽退魔塾』の一級退魔師なのよね。その年齢でそんな上級の階位に上り詰めるなんて凄いわ。そこまでになるのに相当な努力をしてきたはず。私、そういう努力家で向上心のある男性って凄く好みなの。それでいて、君のようにその裏にある努力や心の痛みをおくびにも出さず、人知れず懸命に戦い続ける男性なんて――考えただけでもゾクゾクしちゃうわ。ほら、今私が物凄く興奮しているの分かる?」


 明海先生は俺の目の間にあるテーブルに片手を付き、前かがみになって胸を強調させながら迫って来る。

 頬は赤く吐息は少しずつ荒くなっていき目が潤んでいる。

 女性特有の甘い香りが俺の鼻孔をくすぐり、こっちの興奮を高めていく。これ以上ここにいれば、この女性と大人の関係を持ってしまうかもしれない。

 

「明海先生、俺はあなたには相応しくありませんよ。俺は今日この学校を去りますし、そうなればあなたと会う機会も無くなるでしょう。それなのに、こんなタイミングで親密な関係になったら後で色々辛いですし、そういう刹那的なのは俺嫌なんで」


「あら、残念。あなたが知らない経験を色々とさせてあげるのに――本当にいいの? 後悔しない?」


「大丈夫です。先生からそれを教わったら、変な性癖に目覚めそうだから止めておきます。それじゃ、さようなら。お元気で!」


 俺は椅子から勢いよく立ち上がり、明海先生を振り返ることなく保健室を出ていった。とても後ろ髪を引かれる思いだったが、仕方がないのだ。

 だって俺は男子高校生だから。少し仲良くなったからと言っていきなりそんな大人の関係を結ぶとかハードルが高すぎる。

 その日、俺は泣く泣く最後の学校を後にしたのであった。

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