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歴史小説

一炊の夢~もえ萌え戦国絵巻~

作者: 山本大介
掲載日:2021/01/08

 敵は本能寺にあり。


 紅蓮の炎が周りを包み、彼は己の最期を覚悟した。

 その怒りに満ちた澄んだ目を閉じ、ゆっくりと舞う。


 人間五十年、

 下天のうちを比ぶれば、

 夢幻の如くなり、

 一度生も享け、

 滅せぬもののあるべきか


 織田信長・・・ここに死す。

 ・・・はずだった・・・。



「おい、信っち、信っち」


(誰だ。ワシの名を呼ぶのは)


「信っちって!」


「五月蠅い!」


 信長は目を覚ました。

 その前には少女・・・二次元の。


「なんじゃ!絵御伽草子から飛び出しおって!貴様、物の怪かっ!」


「ちゃう、ちゃう、おだん(俺は)は西国無双と呼ばれた立花宗茂たい」


「知らん」


「さもありなん。おだんは、秀吉様と家康様に仕えた戦国大名やけん」


「・・・戦国大名?絵巻女子(おなご)の貴様が?」


「ああ、そげんたい」


「訛りの激しい女子じゃ」


「おなご、おなごっち、あーたも、女子よ」


「はっ、何を馬鹿馬鹿しい」


「見て、見んしゃい!ちっご(筑後)川の水面を」


 信長は流れ緩やかな川の水面を見た。

 ・・・映った姿は・・・。


「どひゃー!」


「それみんしゃい」


 信長は二次元萌え女の子キャラとなっていた。

 面長な顔にくりっとした瞳で鼻や口は線で描かれ、一見幼そうに見えるが、胸やお尻などでているところは出ている。

 しかも、やたら露出度の高い鎧を着ている。


「なんということだ!」


 もう一度水面を見る。


「なんじゃ、この身体は、幼い娘のような顔をしていて、乳が異常に大きいではないか、これではバテレンの女子の大きさじゃ、なんというちんちくりんで面妖な・・・ワシ・・・」


「まぁ、まぁ、信っち、慌てないで」


「これが、慌てずにいられるかっ!」


「かの世界では、この姿が喜ばれるち」


「どの世界だ!」


「さぁ?聞いた話では日の本の未来げな」


「馬鹿馬鹿しい。ワシは行くぞ」


「待て、待てっち。秀吉っちが呼んどるばい」


「秀吉・・・サルか?」


「そげんたい」


「どこだ」


「信長・・・たまー!」


 遠くから手を振りながら叫びながら、走って来る。

 二次元萌えの女の子。

猿のような毛並みの茶色のぼさぼさ髪に、幼な顔、低身長・・・しかし、出るところは出ている。腰にはひょうたんを提げ、襦袢のような薄手の着物を纏っている。


「ひょうたん?あれはサルか・・・なんともはや」


「信っち、人の事言えんよ」


 宗茂はツッコミを入れた。


「さもありなん、さもありなんよ!」


 信長はキレ気味で答えた。


「信長たまー!信長たま!」


「なんじゃ、たまとは!サルお主も絵巻童女と化したか」


「そんなことより、信長たま、無事で何よりだぎゃあ」


 秀吉は号泣しながら、信長に抱きつき、頬と頬をつけ、すりすりする。


「だあーっ!やめろ、うっとおしい!」


 信長は、秀吉を背負い投げした。


「良かった。良かった。のう、宗茂」


「おだんは秀っちが喜んでくれて嬉しかとよ」


 秀吉と宗茂は手を取り合って喜ぶ。


「もうよい!とにかく状況を説明せよ」


「おだんが思うに、ここは別の戦国時代」


「遠き先の日の本は、何かと萌えという文化が蔓延り、歴史の偉人をこんな風にする傾向にあるとか・・・我々もしかり・・・その代表「戦国〇女」「戦国コ〇クシ〇ン」「織田信〇の野望」「戦国〇姫」「信長の○び」そして、あやかるこの作品」


 秀吉は真顔で言う。


「パ〇ンコ、パ〇スロ、アニメばかりで御座ろう」


 宗茂はそう言い頷く。


「だはははっ!」


 秀吉と宗茂は一緒に笑った。


「やめい、やめい、その説明は・・・つまり・・・ワシは生きておるのだな」


「はい、お館たま」


「はたしてそげなこつかな」


「なんで、そこ意見が矛盾しておる」


 信長は溜息をついた。


「で、信長たま、如何いたしますか」


「信っち、どうするん?」


「急にグイグイ来るな・・・しれたこと、光秀を討つのよ」


「さすが、信長たま」


「信っちなら、そう言うと思ったばい」


 

織田信長、豊臣秀吉、立花宗茂は九州の一大勢力島津を打倒平定し、割愛に次ぐ割愛で中国地方へ戦いの場を進めた。

相手は毛利元就とその息子三兄弟だ。


信長達はそんな最中、懐かしい人物と出会う。


「お久しぶりですう、兄上い・・・お姉様あ」


 葵の紋の入った軽装の鎧甲冑に身を包み、肩まで届く長い髪の毛に、頭に鉢巻き、目はくりっとしていて、鼻と口が線描き、やや丸顔、ぼでぃは出ているところはでて、鎧の横から、ふくよかな膨らみがはみ出している。


「家康か・・・貴様も女体化したのか」


「お兄様・・・って、お姉様あ、生きてらしたのねえ、本当に良かったああ・・・ちっ」


「今、舌打ちしなかったか」


「いえ、にっくき、逆賊、明智光秀共に討ち果たしましょう」


「よく言った家康っ!」


 そんな訳で、萌え萌え四人娘は、毛利一族と対峙する。

 手短に済ませる都合上、四対四の一騎打ちだ。 



「では、私が行くう」


 家康が進み出る。


「小早川隆景参る。宿怨に終止符を打つ」


 ガチ萌え隆景は瞳に怨嗟の炎を燃やす。


「ふふふ、まだまだ小早川にはお世話になるのですう」


「笑止、死ねぃ」


 すらりと鞘から剣を抜き、家康目がけ走り出す隆景。

 すーっ、家康は息を吸い込み構える。


「究極集中、葵の息継ぎ、究極零式、葵之舞(あおいのまい)!」


 円舞、舞いながら無数の太刀が隆景を斬り刻む。

 勝負はあった。



「毛利家、吉川元春参る」


 毛利の猛将とは思えないくらい、激萌えっ子元春が、自慢の長槍を身構える。


「んじゃ、おだんがいくばい」


 西国無双宗茂が大槍をブンブンと振り回し、対峙する。

 互いが睨み合い、間合いをとりあう。

 一撃必殺の機会を狙う。


「ガチしばいたる」


「おだんは、強よかとよ」


 二人は同時に飛び出す。

 元春は渾身の一撃を繰り出すが、宗茂は寸前で顔を背けかわす。


無双豪槍撃(むそうごうそうげき)!」


 槍に無数の捻り回転を加えた必殺の一撃が元春の左肩を貫いた。


「ぐっ!」


「おだんの勝ちばい」



「アタシ、がんばるよー」


 秀吉は信長に手を振る。

 しっしっと手を振り返す信長。


「毛利家嫡男、毛利隆元推参」


 萌え萌え隆元は油断する秀吉の背後を狙い斬りかかる。

 刹那に避け、素早い身のこなしで後ろへさがる。


「しとめきれんかったか」


「こらーっ、後ろからは卑怯よ」


「この戦国の世、正義も卑怯もない」


「・・・そうね、同感だわ」


 秀吉はぺろっと舌を舐め、小太刀を腰近くに身構え、重心をさげる。


天下人乃覇刃(てんかびとのはば)!」


 隆元の一撃を頭上すれすれでかわし、数本の髪が斬れ乱れ飛ぶ中、空いた胴に一撃を入れる。


「なっ!」


 隆元は倒れる。


「これが天に愛された者の宿縁」



「では、ワシの番か」


「毛利家当主、毛利元就じゃ」


 萌え人、元就が立ちはだかる。


「悪いが、ワシの覇業の妨げになる者はすべて斬る」


「第六天魔王信長、引導をお渡しする」


 元就は豪弓を持ち、大矢をつがえる。


「我が覇道に敵なし。業火布武斬(ごうかふぶざん)!」


 一閃した魔剣の一閃から、業火が現れ、放たれた大矢を焼き尽くし、元就を一瞬にして飲み込む。



「やりましたねお館たまっ!」


「さすがっ、信っち!」


「姉上見事!」


 信長は3人を見渡し、大きく頷いた。


「よしっ!次はいよいよ光秀っ!」






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 業火にまみれる本能寺。

 信長は目を覚ました。

「ふっ」

 苦笑をする。

 一炊の夢か・・・。


 人間五十年、

 化天のうちを比ぶれば、

 夢幻の如くなり、

 一度生も享け、

 滅せぬもののあるべきか



 逝くか。

 業火に飲まれ信長は消えて行った。




 果たして、織田信長は。

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― 新着の感想 ―
[一言] これは面白いです。 いやぁ〜傑作ですねー。 どうしてみなさん歴史の人物を萌え女体化するのでしょうかねー。はい。それは、そこに需要があるからですよねー。
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