表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/5

第3話:行きの車の中で

彼女、糸花才華いとはな さいかを助手席に乗せ、車を走らせる。


俺たちが住む研究所の寮は街のそばにあるが、研究所自体は少し離れた丘の上にある。寮といえば、すぐ近くにあるイメージだが、職員の生活環境、実験環境の二つを考えたところ、このような配置になったようだ。


車で約5分の距離。自転車や徒歩で通うものもいる。だが、俺は車を使ってる。特に深い意味はない。自転車も気持ちいいと思う。徒歩も健康に良い影響を及ぼすだろう。だが、惰性で車を使ってる。それは彼女と二人きりのこの空間が心地良いというのもあるかもしれない。


家とも研究室とも違う。周りは動き続けるのに2人の距離だけは変わらないこの空間が特別に感じてる。不思議なものだ。


「なあ、才華。今日の予定はどんな感じなんだ?」


毎日同じ言葉をかける。バディとして必要なことだ。バディとは同じ研究方法を用いる研究者同士のペアのことで、二人で一つの研究室を使ってる。情報共有を怠ると、同じ研究方法なので実験に必要な機材をバディが使っていて、必要なタイミングで使えないということが起こりうる。だから毎朝、こうやってきいている。


「今日は午前中は黒病患者の脳波の解析だ。午後は明日以降必要な試薬の調整の予定だ」


「了解。俺は一日かけて白病マウスの体からサンプリングを行う予定だ」


「ん」


才華はいつも行きの車の中で仕事のメールのやり取りをしてる。時間の有効活用だ。


「おい、着いたぞ」


「了解、ありがとう」


そういって才華は車から降り、まっすぐに研究所に向かう。その背を数歩後ろから追いかける。


仕事が始まる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ