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第5話 少女はダメ教師を信じて学校へ行く

 数分経ち椎名は泣きつかれて雛から離れて校長室のソファで寝てしまった。


 「それで、これはいったいどういうことだ?」


 雛は手に持っていたカメラを渡した。


 「この中にこいつがいじめられているという証拠がある、それともう一つ、椎名のクラスに隠しカメラを設置しといた、それを行使していじめっ子グループを退学に追い込んでくれ」


 昨日、雛は椎名を追い出した後にあらかじめ持ってきておいた隠しカメラを鞄から取り出して椎名のクラスに取り付けた、他にも椎名をできるだけ目の届く範囲にいてもらいたかったためにカメラを校舎内に数十台設置しておいた。

 

 そのため椎名がいじめにあっているタイミングを計りカメラで一部始終を撮ることができたのだ。


 雛は考えていないようでどうしたらこの状況を脱する事ができるか椎名に会うまでにもずっと考えていたのだ。


 「これを証拠に私が彼女らを退学させろと?」


 「まぁ、そういうことだ。」


 「そこまでしなくても良いんじゃないか?、停学とかでも良いんじゃ...」


 「ダメだ!、知ってるか、もうこの学年には椎名の味方になるやつは数人程度しかいねぇーんだよ、あいつらが停学になっただけならいじめは終息しない、退学という人生の負け組になる宣告をして他のやつらに知らしめないとあいつはまたいじめられちまう。」


 雛の顔は真剣だった、今考えてることは椎名のことだけだろうと思うくらいに考えているのだ雛は。


 「分かった、だけどこちらにも準備というものがある、せめて明日まで待ってくれないか。」


 「明日か...なら俺からクラスに言いたい事もあるから俺に任せてくれないか、退学届けの事も俺から言うからさ。」


 雛は不気味に微笑んでいた。


 「おま、あまり変なことは起こさないでくれよ、こっちも面倒なのはごめんだからな」


 「あぁ、一応肝に命じておくよ」


 死んだ目をしていた雛の顔は不気味な微笑みでよりいっそ、気持ち悪くなっていた。


 その後雛はいじめっ子グループを撒きながら眠っている椎名をおぶって家まで送っていき、自分も家に帰り、その日は終わりを迎えた。


 次の日


 椎名は家に送ってもらった後も眠ってしまっていて、次の日を迎えてしまった。今日も椎名は学校へ行くために準備をしていた、なぜだろうか、行かないという選択肢が椎名にはなかったのだ、行かないとはいじめっ子達に敗北を認めているようで嫌だったのだろう。


 椎名は準備を終え、急いで学校へ向かった、時間的にギリギリ間に合うくらいの時間帯だった。

  

 学校についた、だが生徒は一人も下駄箱にいなかった、チャイムも鳴っていないのにどうしてだろうと、思いながらも上履きに履き替えると体育館から声が聞こえた、聞き覚えのある声だった。


 椎名は体育館へ向かって行ってみるとそこにはステージに一人立っていた雛だった。

  

 「ちわーす、臨時教師の雛でぇ~す。」


 それはとてつもなくやる気のない挨拶だった。


 「すまんな、ホームルームの時間を俺にくれて、」

 

 どうやら雛は椎名以外の生徒を体育館に集合させるように言っていたようだ、周囲はざわめきながら雛の方を見ていた。


 「今日は私から退学者のお知らせをしたいなと、思って集まってもらいました。まずこちらをご覧ください。」


 雛はそう言うとスクリーンをだして椎名がいじめられている映像をスクリーンに写し出した。

 

 「はい、スト~プ」

 

 そう雛が言って止まった場面は椎名の机がなくなってる場面だった。

 

 「うっわ、ひっでぇ~、なんだこれ、机を外に出すとかどんだけだよ、わろけてくるわ」


 次に再生し止まった所は椎名が襟を掴まれドアに叩きつけられてるところだった。


 「痛そぉ~、もしかしたら肩、脱臼してたかもね」


 そして映像は終了し、写真をスクリーンに写し出した。その写真は椎名が殴られそうになってる写真だった。


 「暴力行為発見、こりゃいじめ確定だな」


 言いたい放題言った後に雛はスクリーンを戻してマイクでいじめていたグループの名前を呼び上げステージに立たせた。


 「ちッ!おめぇ、昨日のやつだよなぁ」


 一人が舌打ちをしながら雛に向かってガンをつけてきた。

  

 「うわぁ~怖い怖い」


 思ってもいないことを棒読みでそういった後にある紙を取り出した。


 「あんたら、これ見えるか?、見えないやついるといけないから言ってやるよ、お前らゴミくずを退学させる事を学校は決めたのではよ出ていけだとよ」


 「なんだよそれ、誰に向かって言ってんだよ」


 「お前らゴミ野郎全員だよ!、さっさと出ていけくそがぁ!」


 大きな声で雛はいじめっ子に向かって言った。


 「いやいや、私ら遊んでただけだし、ちょっとしたジョークだよジョーク」


 「は?どこがジョークだよ、あんなんやられた本人からしたらジョークでもなんでもねーんだよ、そんなのも分かんねぇのかよ」


 雛の顔はどんどん険しくなっている


 「いや、でもおかしいだろ退学はさぁ」


 「そうだよなぁ、けど恨むならこの学校の生徒全員を恨め」


 「どういうことだよ」


 「お前らはこいつらのいじめっ子代表だ、お前らは今まで椎名や他のやつをいじめたやつらの分を全部を込めての退学なんだよ」


 「はぁ?意味わかんねぇーし」


 「分かんなくて良いさ、どっちにしろ退学なんだからよ」


 雛はそう言うとステージを降りながらマイクで前世とに言った。


 「もし、これからいじめとかそう言うのを俺が見つけた場合そいつら退学にするからよろしく、後、見てないと思うなよ、俺は全部を知ってるんだからな」

  

 そう言うと雛はマイクを後ろに放り投げてステージに落とした。


 ステージにはただただ唖然して何も言えないいじめっ子グループだけが残っていた。


 「よぉ!椎名、お前来てたんだな。」


 「雛さんこれって」


 「見せしめだよ見せしめ、これでお前をいじめるやつはいなくなったと思う、今日からは安心して学校生活を送るんだな。」


 そう言って雛は椎名の肩をポンと叩いて体育館を後にした。


 それからと言うもの放課後になるまで椎名をいじめるやつは一人もいなかった、雛の言葉に怯えた他の生徒は椎名と関わりをもちたくないとでも思っているのだろう。  


 放課後になり、椎名は雛がいるであろう特別実習室へと足を運んだ。

  

 「よぉ、椎名、どうだった、今日1日」


 相変わらず死んだ顔で聞いてきた。

  

 「いじめる人がいませんでした。」


 「そうか、そりゃあ、良かったな」


 「はい」


 「それで、お前はこれからどうするんだ?」


 雛はなんとなく聞いてみた。


 「そうですね、普通に学校生活を送っていくことにします、後...」


 「あと?」


 「雛さんの恩返しもかねて、ここにいる間は私も雛さんのお供としてついていきます!」

 

 「はい?、今なんて?お供だって?」


 「はい!ダメでしょうか?」


 「別にいんじゃね、けど、明日からもお前みたいなやつを助けるために何かするだけだぞ、面白いどころか辛くなるぞ」


 「分かってます、雛さんが私を助けてくれたように私も同じような人を助けたいんです。」


 「そうか、ならしっかりと俺のお供としての役割を果たしてもらうぞ、そうだなジュースでも買ってこい」


 「それ、ただのパシりじゃ」


 「ジョークだよジョーク」


 そんなことを言いながら今日は終わっていき。


 次の日を迎えようとしていたのだ。

 

 少女は平穏な日常を取り戻し臨時教師はいつものように誰かを助けるための策を考えるのだった。

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