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秋の夕暮れ
ススキの海を赤トンボが泳いでく
黄昏の空をカラスが悲しんでいる
この光景を見て君の瞳が
涙で潤んでいた
まるで赤い絵の具を撒いたように
真っ赤に染まる空
血のようだけど鉄臭くない
懐かしい匂いがする
君と一緒に見た景色
正反対な僕たち
だけどこのときだけは
同じことを考えていた
不意に大きな声で叫びたくなった
時間を止めてくれだとか
この瞬間を留めてくれだとか
通俗な願い事
やがて訪れる夜
暗闇のカーテンが下りる
僕たちは手をつないでいた
このときを忘れないように