真実
セルフ半殺しランニングから帰ってきた最強伝説。
小屋に戻ると、いい香りがする朝ごはんが出来上がっていた。
『お帰りっ さいきょ。』
『ただいまっ うまそー‼ もう腹へっちまってさー いただきます‼』
最強伝説の凄い食べっぷりに圧倒されるアルハ。
食事を終え、アルハにディエゴについて知っているか聞くことにした。
『勿論しってるよ。ディエゴさんは有名人だからね』
『そなの?まぁただ者ではないオーラと不思議な術を使っていたしな。』
最強伝説はディエゴの元に行きアルトゥーレの世界の事をもっと詳しく知りたかったので訪ねたいと考えていたのだ。
アルハに聞こうともしたが何か訳ありの様な感じを受けたので最強伝説はためらって聞き出せずにいた。
ディエゴにならどんな事も質問できると、檻の中で約束していたからだ。
『アルハ、ディエゴさんは何処に住んでいるの?知ってる?』
『知ってるよ。お昼なったら一緒に行こうか』
『すまん!助かるよ。』
お昼になり二人でディエゴ宅へ向かった。
二時間程歩いた所に大きな町があった、まただが町の中に入ろうとすると門番がやってきて『通行証』を見せろと言われたのでアルハがサッとポケットから通行証をとりだし見せた時である。
兵士が言う
『もう1人の通行証は?』
アルハが応答する
『彼の手首の糸を見てください。ディエゴさんに用があってきたんです。』
『それは!?なるほど そういう事なら通ってよし』
最強伝説とアルハはディエゴの住んでいる町に入る事が出来たのだ。
本当に大きな町である、
『ここに住んでいるのは皆魔族なんだなぁー へー ほー』
『不思議がっている時間はあまりないよ、町に滞在出来る時間は限られているからね、用事があるならさっさと済ませておいでよ。僕は買い物でもしてくるからさ。』
最強伝説はアルハからディエゴの家の場所を教えてもらい、まっすぐ向かう事にした。
『ここか... 』
ドンドンッ
『すいませーん、さいきょです‼』
ガチャ
『はて?だれかのぅ?』
『え!?』
最強伝説は驚いた。
『嘘じゃよ、さいきょ中に入りなさい』
ディエゴの、おじじジョークに苦笑いを浮かべる最強伝説。
『ディエゴさん、アルトゥーレについての全てを話して貰えますか?』
『ふむ。わかっとるよ』
アルトゥーレ... 最強伝説がいた世界とは異なるもうひとつの世界... 魔族と、そうでない者が別れて暮らすには意味がある。
魔力の源は自らの体内にあり、それを使い魔術を使うのだが、もうひとつ魔力を自分意外から練りだす事が出来る方法がある。
それが魔力耐性を持たない者の生命エネルギーを使うと言うことだ。
昔の事、アルトゥーレでは魔力を持たない者は劣等種と呼ばれ、虐げられていた。だが1人の召喚師によってその差別は区別へと変わっていったのだ。
召喚師はアルトゥーレとは異なる世界から異世界人を呼び寄せ、魔力を持たない者でありながらも地球のアルトゥーレより発達した文明をもたらした事により、魔術だけが全てではなく『知恵』
もまた、魔力に匹敵するチカラだという事を証明してみせたのだ。
それから差別はなくなり、それでも魔術師の近くに平民がいすぎると生命エネルギーを搾取されてしまうという理由で、魔族と平民は別々に生活を送る事になったのだ。
しかし何故、平民は町で暮らす事を許してもらえず魔族だけが、にぎやかな場所で住んでいる事にも理由があるという。
それは、魔物だ。
魔物は魔力に引き寄せられる傾向があるので、1ヶ所に魔力を持つ魔族が集まって暮らす事により、魔物を何処に分布させるかを判断しやすくするためでもある。
そして魔物を狩るのは魔族の勤めでもあるため、ただ見ているだけの平民とはねぎらいの意味も兼ねて栄えている町にすむ権利があるという訳だ。
平民達は今までまともに人としても見てもらえてなかったので、もう差別がなくなりさえするならば、喜んで別々に暮らす条件を飲んだのだった。
その召喚師こそが、このおじじのディエゴなどであった...
『ディエゴさん、その呼び寄せた異世界人はどうなったんですか?』
『魔物になったのぉ』
!?
『これは本当の事だ、ワシが呼び寄せた異世界人は自ら自我を持つ魔物になること選んだじゃよ、』
『何でですか??』
『探求心とでも言おうか... そしてワシの前から姿を消した...
』
『元の世界に帰す事も出来たんですよね?何故魔物なんかに...
』
『その者は言っておった『強くなりたいと』そう言葉を残し、いなくなったのぉ』
最強伝説はディエゴに別れを告げ また訪ねにやってきますと言って家をあとにしアルハとの集合場所へと駆けていった。