出会い
特に夢を見たわけでもない 眠りから覚めた最強伝説...
やはり傍らには荷物しかなく 元の世界に戻れてる訳でもなかった...
最強伝説は孤独となってしまったのだ、だがしかし この男は孤独に馴れている
それはあえて語るまでもない
今までただ生きるという事じたいが孤独そのものの様な人生を送ってきたからだ。
最強伝説は考えた
取り合えず近くに町なり村なりかがないかを探す事にした。
そしたら警察みたいな人達に助けを求めればいいと思い付いたからだ。
狭い林に小さな小屋... どの方向に行けばいいのかは簡単だ。
小屋の青年が帰ってきた方向に 道を辿れば物を買える町があると考えた最強伝説は、のらりくらりと歩くのではなく、駆け足で道を走っていった。
途中でお爺さんらしき人とすれ違い
『おはようござまーすっ』
と、いつもの癖で挨拶をデカデカとした声でついしてしまった。
するとそのお爺さんは ニッコリと笑い会釈をしてくれた
最強伝説は、そんなお爺さんの笑顔に この世界を知るための勇気を貰えたきがしたのだ。
ある程度走ったら大きな教会であろう十字架が建っている町が見えてきた
最強伝説は早速、町の中に入ろうとしたが 門番の様な人達に止められたのだ
なにか、こっちに向かって喋っているのはわかるが 何を言っているのかが分からない...
すると、言葉が通じないとわかった門番達は最強伝説を町の中の何処かに連行しようとしてきたので ここは素直にしたがった方が得策ではないかと思い 引っ張られるまま町に入ることにした。
町の中は色んなお店や、屋台やでにぎわっていた
しかし最強伝説が連れていかれたのは如何にも刑務所の様な外観をした建物だった
門番達の何を言っているかわからないやりとりを聞かされた後、最強伝説は牢屋にいれられたのだ。
檻に入れられてはいるが、粗末な扱いを受けたわけでもないし むしろ『今はここに取り合えずいてくれ』といわんばかりの態度ではあった。
1時間たった頃、さっきの門番の中の1人がやってきて 一生懸命ジェスチャーで何かを伝えてくる...
何となくだが『明日になるまで寝て待っていろ』と言いたいのだろうという意志が伝わってきた。
最強伝説は相手に何か言い返す訳でもなく、素直に従う事にした。
最強伝説は牢屋の中で、いつもの日課でもあるトレーニングをしたりストレッチなどをして時間を潰した。
見張りの兵士には変な目で見られていたが、おかまいなしに黙々とトレーニングメニューを消化していく。
夜が来て、やる事も無くなったので寝る事にした。
あくる日目覚めると、パンと牛乳を兵士の人が持ってきてくれた 二日ぶりのメシにむさぼりつく最強伝説
食事が終わる頃位になると、兵士と共に1人のお爺さんが連れられてやって来た
そのお爺さんは最初の林を町に向かって走っていった時にすれ違った人だった。
兵士が牢屋の鍵を開け、お爺さんが中に入ってきた 人差し指に長い黒い糸を結んである。 それを最強伝説の人差し指にも結べとジェスチャーをしてきたので、素直に従う。
!?
すると、さっきまで何を言っているのかが全く分からなかった言葉が理解出来る様になったのだ。
しかし、それは黒い糸で結びあっているお爺さんの言葉だけが分かるのであって門番や兵士の言葉はちんぷんかんぷんのままだ。
『お爺さん!あなたは何者なんですか?』
『何者?まず、お主は自分がこの世界で何者かを知っているのかのぉ』
『どういことですか?』
『はっきりと言おう、お主はこの世界、アルトゥーレの召喚を使う者に転生された異世界人なんじゃよ』
『アルトゥーレ?異世界人?』
『アルトゥーレとはこの世界の名前、異世界人といのはお主の様なアルトゥーレとは異なる世界から呼び寄せられた者のことじゃよ』
『何で自分が召喚とやらに選ばれたのですか?』
『それは実際に召喚術を使った者にしかわからん、今お主に私がしてやれるのは言葉を理解出来る魔法をかけてやる事だけじゃ』
『そんなことしてもらえるんですか?ありがとうございます‼ あー そのお名前は?』
『ディエゴじゃ、お主の名は?』
最強伝説は名を名乗るが苦手だった... ので、あだ名であった『さいきょ』といいますと言った。
この世界... アルトゥーレにきてから初めてまともに会話が出来た事もあり最強伝説はすこし気持ちがやわらいだ。
しかし、悩まさせられる事があまりにもたくさんあったが取り合えず言葉を理解出来る術をかけてもらう事にした。
『ディエゴさん、あなたは異世界人に言葉を理解させるための役割を担った人なんですか?』
『それもあるのぉ、他の事は追い追い話すとしよう。1度に全てを話すと頭が爆発してしまいそうだからのぉ』
確かにディエゴさんの言う通り、今最強伝説の頭の中は軽くパンデミックをおこしていたからだ。
物事の整理をつけるには少し時間が欲しかったからだ。
ディエゴさんは黒い糸を最強伝説の手首に巻いて、何か呪文を唱えた...
『さいきょよ、兵士に話しかけてみぃ』
『兵士の人あの~』
最強伝説はおもむろに話し掛けた。
『ん?儀式は終わったのか? ならよかった。手荒な真似をしてすまなかったな、異世界人よ』
どうやら悪い人ではなかったようだ...
『兵士さん、自分はここから出してもらえるんですか?』
『勿論だ、ただ幾つか質問に答えてもらわなければならないがな。なぁに、この世界 アルトゥーレのルールについてだけだ』
『解りました。 それと、ディエゴさん本当にありがとうございました。』
『なぁに、また近々会うことになろうから その時にさいきょにワシが知り得るアルトゥーレの全てを話そう。』
ディエゴはあのとき笑顔で最強伝説にひとまずの別れを告げた。