プロローグ
ここはクラウド・バニッシュが治める王国、デルトムア王国である。市場には魔界から様々な物が並び、商人達の勢いのよい声掛けに集まる客により活気があふれ、中央広場の噴水から魔法によって作り出された水の形は、魔界で一番美しいと大変評判で、国民達の憩いの場となっていた。 そして、レンガ作りの美しい街並みの中央にそびえ立つのが、クラウド王が住むデルトムア城がある。
一見平和な国だが、ここ、デルトムア王国は、周囲の国々から大変恐れられていた。
それはクラウド王の持つ強大な力である。
過去に何度か他の国々があらゆる方法で攻め入ったが、ことごとく撃退され、難関不落の王国とささやかれていた。
クラウド王の力は、全てを破壊し、吹き飛ばす。そしてあらゆる攻撃を通さない強力な防壁を生み出せる力であった。
攻撃はさることながら、この強力な防壁が最大の難関で、攻め入る者達を拒み、たとえ侵入を許しても、防壁の力でクラウド王に傷一つつけた者は一人もいなかった。
そんなクラウド王を誰もが討ち取れる者はいないと思っていたが、そんなデルトムア王国に、ある怪しげな噂が広まる。
その噂は瞬く間に国民達の間で広まると、ついにがクラウド王の耳にも届いたのだった。