ファースト・コンタクト ―たぶんいろいろあるんだろうな―
「よう」
「よう。毎晩、来た途端にチューナーをいじってもしょうがないだろ」
「そこは、ほら、やっぱり楽しみの一つだからな」
「分かるけどさ」
「し!」
「Zz Zz 」
「おい」
「Zz Zz Zz 」
「黙ってろ」
「Zz Zz Zz Zz Zz 」
「その信号は」
「Zz Zz Zz Zz Zz Zz Zz Zz 」
「ち、素数じゃない、ってそんなわけあるか」
「Zz Zz Zz Zz Zz Zz Zz Zz Zz Zz Zz Zz Zz 」
「フィボナッチ数か?」
「だろうな。記録はできてるようだ。アラート鳴らせ」
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「電波の方向は確認できました。信号は、素数とフィボナッチ数が各々数個先行し、それに一定長のデータが続く形でブロックになっています。ただし、データ本体はさほど大きなものではありません。データのある程度はビットマップのようです。ともかく見ていただきたい」
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「以上です。"a"シリーズの画像と"c"シリーズの画像は番号ごとにおそらく同じ意味であり、これらは移動を意味していると考えています」
「移動? 何かがやって来るのか?」
「えぇ、何かがやって来るのでしょう。また、おそらく我々自身の移動も意味していると考えています」
「移動と言ってもどういう… いや、考えてみれば、電波での送信であることを考えると、そのやって来る者とて光速の壁を超えられないということではないのか? そうでないなら、さっさと顔を見せればいい話だろう」
「そうかもしれません。ですが、送信した者とやって来る者が異なる可能性もあります。だとしたら、これを送信した者はこちらがこのあたりに居ることを知っているものの、やって来る者はこちらがどこにいるのかを知らないのかもしれません」
「それでは、送信した者がこちらの居場所を教えたことになるではないか」
「その危険があっても知らせなければならなかったのかもしれません」
「仮に危険があるとしよう。だが、太陽系外への脱出などどうしろと言うのだ」
「心当たりがないでもありませんが」
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「どんな様子?」
「たまに探査機らしき物を打ち上げているだけですね」
「これはあれかな? 最悪、技術がないとか。あってもメッセージを誤解されて、探査機を増やしてこちらを探してる感じ?」
「そうかもしれないですね」
「それじゃ全艦ゆーっくり前進。ヘリオスフィアに勝手に入るのはマナー違反だけど、こういう場合は仕方がない」
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「おっと、連中が最近打ち上げた物の一個、ロストしました。」
「え? 軌道は?」
「おおまかにこっちを向いてましたね」
「念のため、干渉フィールドてん」
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「1号艦大破しました」
「以後の指揮は2号艦が引き継ぐ。1号艦は事故だ。後続班、生存者の収容および艦の回収を行なえ。1号艦は事故だ」
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「転移先にて大規模な爆発を確認。大質量に重なって出現したようです」
「え?」
「今の爆発の影響で、周囲に艦隊とおぼしきものを確認しました」
「え? 攻撃したことになっちゃうの?」
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地球のいくつもの大都市の上空に巨大な宇宙船が現れた。地球人の半分は熱狂し、半分は恐れながら見上げた。
「えー、テス、テス。翻訳できてる? もう音、出てるの? そういうことは先に言ってよ。地球の皆さんこんにちは」
地球人は驚いて、目をしばたいた。
「三年ほど前に、こちらから信号を送りましたが、うまく通じなかったようなので、改めてやってまいりました。これについては、座標の確認により他星系が背後にあったことが分かりました。そのために誤解があったかもしれません。この点については謝罪いたします。なお、もしかしたらこちらからの信号のことそのものが、皆さんは初耳かもしれません」
地球人は驚いて、唾を飲んだ。
「一年半ほど前に、地球の超光速航行の実験機と思われるものにより、こちらの艦が大破いたしました」
地球人はパニックになった。
「それは事故であると認識しています。ですが、FTLは空間と時間に干渉する技術です。皆さんの技術は境界線上にあり、注意が必要な状態にあります。ともかく、落ち着いて頂くために先に要望を述べます」
地球人のほとんどは聞いていなかった。
「まず、技術面について私たちの指導下に入って頂くこと」
地球人のうち、まだ聞いていた人たちの1/4は嘆き、1/4は怒った。
「それから、これが私たちの本来の要望ですが、情報における、特に文化面における交易を希望します。物資の交易は検疫などなどいろいろ面倒ですので」
まだなんとか冷静だった地球人が、一様に安堵した。
「詳しくはwebで。え? 翻訳ミスってる? 詳しくはこちらの技術資料に基づいてお問い合わせください。なお、回線が混みあうことも予想されますので、その際はあしからずご了承ください」
宇宙船の下に、技術資料が表示された。




