第1話
僕の名前はスサノウ第1部隊隊長として今マリア本部で待機していた
僕は内心ため息をもらす、大体このマリアで本部待機ということはろくなことがない
このマリアでは本部待機=本部からの呼び出しということだ
そして本部からの呼び出しは大体降格関連がほとんどだ
つまり、このままだと僕は隊長から副隊長になってしまうということだ
「どうぞ、会議室に入ってください、私がご案内しますので」
僕は後ろから突然声を掛けられ驚く、いくら油断していたとはいえ、背後を取られたのは初めてだったからだ、しかも背後を取ったのはまだ歳いくばくかの少女だったからだ
その少女はいやらしい笑みをうかべ肩まで伸びた黒髪をかき上げた、よく彼女を見てみると、服には星マークに2と書かれていた
つまり第2部隊隊長ということだ、僕はあろうことか自分より下の部隊長に背後をとられたのだ
「貴様ぁ僕の背後にいつ現れたァ!?」
僕が叫ぶとその少女はさらにニヤニヤと人を嘲笑う、こいつは一体何者なんだ
「何時ってほんの少し前です、そんなことより、早く行きません?」
「そんなことだとッ!おい待て」
僕の言葉を無視して少女はそそくさと会議室へ向かって歩き出す
コイツどうして僕を無視する、僕は貴様より上の立場にいるんだなのに
僕がいろいろ思考を巡らせているうちに会議室につく
会議室には数人の幹部が待っていた、そして少女も幹部の横で静かに立っていた
「おい、貴様らこんな役たたずの案内人をどうして俺に手配させた」
「ああ違うよ、彼女は案内人じゃないよ、彼女の名前はイツラ、挑戦者だ」
挑戦者システム、簡単に言えば道場破りのようなものだ
自分に力があると思った愚か者が僕たち上のものに刃向かい負けていくシステムのことだ
僕はこのシステムが嫌いだ、負けたら降格になるのに勝ってもなにもないからだ
申し訳程度に負けた挑戦者を部隊に入れることが出来るがいつも殺してしまう僕には関係ない
「わかりました、挑戦者の挑戦うけましょう、イツラ、もちろん死ぬ覚悟は出来てるよね」
「はい、もちろんです、死ぬ覚悟がないとあなたを殺せませんから」
彼女は相変わらずニヤニヤと笑っている
幹部たちはもう既に安全な場所へ避難していた、どうやらここで戦わすつもりらしい
「へえー君おもしろいね、いいよすごくいいよ、凄く殺したい、イツラぁ死んでも怨まないでね」
「死んだら怨めませんから、今のうちに怨んでおいたほうがいいですよ」
「下の分際で、この僕に口答えしやがって」
「ああっ、最高です、この強気の姿勢がいつ恐怖と苦悩で歪むのかと思うと震えが止まりません」
「コイツ、ええい、死ね、」
ぼくはイツラにむかって斬りかかる、イツラはあたかも余裕の表情で応対する、何度も何度も剣と剣が交わるが一向に決着がつかない、仕方ないのでいったん距離を取る
このままでは戦いにならない、仕方ないので魔術を使うことにする
この世界では魔術を使うのは珍しくない、それぞれ火、水、雷、そして虚無の四種類に別れている
そして、僕はその中でもハイブリットといって水と雷が使えるのだ
僕は雷の塊を作り何度もイツラに投げ込む、うまいこと逃げ場を無くしていき、追い詰めていく
「ヒャハーッ!追い詰めたよ~」
アアッ!イイッ
なんだ、思ったより弱いじゃないか、ま、所詮付け刃程度しか実力がなかったということだ
「最後に言い残すことは無いか」
「怨みますよ」
僕はニヤニヤしながら雷の塊を操りイツラにぶつける
「ぐわああああああああああああ、ゲホッ、ガハッ」
叫び声をあげ、血を吐いたのはイツラではなく僕だった
なにが起きたんだ、どうして僕がやられているんだ
「もう~こんなによごして、汚いですよ~、スサノウさん、ヒヒッ」
なんでだ、なんで僕の後ろイツラがいるんだ、すこし前まで10mは離れていたはずなのに
そしてなんで、僕のお腹に鎌が刺さっているのだろう
「貴様ァァ!下の分際で!!」
僕はすぐ後ろを向くしかし、そこにイツラの姿は無い
「消えたとでもいうもか、そんな馬鹿なッ」
「消えてないですよ、ちゃんとここにいますよ~」
いきなり僕の前にイツラがあらわれ、鎌を振って来る、いつの間に現れたんだ
「まさかお前は虚無の能力者だというのかッ」
虚無の能力それは、火や水、雷等と違いこの世の原理の法則をこえた魔法能力のことを指す
虚無の能力の効果は千差万別で人によっては姿を消す能力だってありえる
ということは、イツラは姿を消すことができる能力だというのか、
いや、それならあの、後ろにいきなり現れたりする事の説明がつかない
選択肢を間違えるなアル・スサノウもっと冷静に考えろ
「ようやく分かったよ、イツラ、お前の能力は瞬間移動だな」
僕の言葉を聞いてイツラは笑い出す
「今気づいたんですかァああん、普通に分かるでしょう」
そういうと、イツラは瞬間移動で何度も僕の背後にまわる
僕は何度も後ろを振り返るがその頃には消えていた
「最高だよ!イツラ、もし僕が勝ったら、君は僕の部下だからね」
「ええ、いいですよ、その代わり私が勝ったら、あなたを蹂躙して、私の声を聞くだけで、恐怖と快感があなたを支配するようにしてあげます」
「うん、それサイコーだよ!、たのしみだなァ」
「大丈夫、もうこれで終わりですから」
また、目の前からイツラが消える、
「これで、ジ・エンドです!」
「いいや、始まりだよ、イツラの第一部隊編入のね」
それは一瞬だった、イツラが背後に来た瞬間、僕が剣で素早く斬りつけたのだ
「なッ!」
イツラはふらふらとしながら座り込む、どうやら降参したらしい
「こ、降参です、な、なんで私やられたんですか」
「理由は簡単だよ、君はずっと僕の真後ろにばかり瞬間移動してたからね、次の予測値点は簡単に計算できたさ」
「はは、さすがです、これからよろしく頼みます、アル隊長」
こうして僕は隊長の座を守ることが出来たのだ