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神と人と妖と・・・

作者: 美月

現在続きを書いていますが長い目で見ていただけるとありがたいです。

『不思議な出会いと日常との別れ』

それは夏の盆踊りでのこと、いつものようにお囃子が聞こえ子供たちがにぎやかにその舞をおどっていた。

瑞樹はいつもこの祭りを楽しみにしていた、子供の頃に一度出会った女の子を彼はずっと探しているのだ、

瑞樹はあの日の祭りのことを忘れずに十二年の歳月がたってもその日のことを鮮明に覚えていた。

そのこは、瑞樹がまだ小学一年生の頃のころ素敵な浴衣を着た女の子だった。水のように青い着物に夏の華をあしらった浴衣だったが少し大人っぽくそれでいてどこか子供のような笑顔を見せる彼女に彼は恋をしたのだ。瑞樹は彼女とほとんど会話はしていないその姿に恋をしたのだ。


その日の夜の祭り、瑞樹はものすごく驚くようなできごとに遭遇した。なんとあの時の女の子がその時の浴衣姿でその祭りにいるではないか、瑞樹はそんなことはあるわけないと頭をふるいながらも、その少女から目をそむけることはできなかった。

その女の子はこちらを一度見ると少しさびしそうな顔みせながら、人がいない方に向かってゆっくり足を進め暗闇の中にきえていった。

瑞樹はその女の子の後を急いで追いかけると、霧の中に進むかのように周りが見えなくなった・・・・一瞬目を閉じるとそこは見たことのない山道になってしまっていた、祭りからはお囃子も聞こえなくなり、瑞樹は急に不安に襲われた・・・

あわてて引き返そうと後ろを振り返るが、そこも山道になってしまい、瑞樹は進むことしか許されなくなってしまった・・・。


瑞樹はあきらめてその山道を登り始めた、周りは暗闇で何も見えないのだが、近くに川が流れているのだろうか、静寂の闇を切り裂いて安らぎを与える川のせせらぎを感じる。

 この闇の中を歩き始めてからどれくらい時が立ったのかわからない・・・

さらに闇の中を歩いていると、そこには人の気配こそないがかなり大きな神社らしき建物があった、思わず瑞樹は歩みを止めその神社を眺めているとさっきは誰もいなかったところに巫女装束の女性がたっていて。

「ここにきてしまったのであれば仕方がありません。あちらでご説明いたします。」

瑞樹はその女性の後に続いて歩き始めると女性がこちらをふりかえった。

「あちらに手水舎がありますそこでまず清めをお願い致します。」

瑞樹は両親が神社などに行くことが好きでよくつきそっていたので、きちんとした作法を覚えていた。

手水舎を右に柄杓を持ち左手を清め・次に右手、左手に水をとり、口の中をすすぐ、その後左手をもう一度清め柄杓に残った水を柄に流して持っていた部分を清める。


その動作が終わったとき、女性がふとした笑みを浮かべていたようだった。

「それではこちらへどうぞ。」

広い畳の部屋に通されるとそこには先ほど追いかけていた着物姿の女の子が、

少しばつの悪そうな顔をして部屋に座っていた。


「だからあれほど、人に交じって祭りに参加するときにはお気をつけてくださいと言っていたのに。」

少し冷めたような目で少女をしかりつける巫女。

「だって、小さい子に変化すると風船とかもらえるから・・・」

少女はまばゆい光につつまれると、綺麗な女性に姿をかえた。

 

その光景をみて唖然としている瑞樹に巫女の女性がこたえた。

「申し訳ありません。こちらは水の神様の一人でミツハ様です。ミツハ様はまつられている土地の祭りに紙の仕事ではなく人の子に化けて遊びに行くこともあるのですが、あなたが探していた女性も今日あとを追いかけた女性もミツハ様なのです。」

瑞樹は頭の中が混乱していた・・・

あの時の少女も先ほどの少女も同じこのミツハ様という女性でしかも神様なのだから瑞樹も訳が分からなくなる。瑞樹の混乱した意識を取り戻したのは、そのことを告げた巫女であった。


「私も神の世界に住んでいてミツハ様にお仕えしている眷属のひとりです。あなたに理解していただくために人の姿をしていますが、

本当はキツネであなた方の世界ではお稲荷様と呼ばれていますフミと申します。

いいにくいのですが、本日は一晩ここに泊まっていただきます。

私たちの世界とあなたたちとの世界をつなぐ境界が本日は閉じてしまいましたので明日境界を開きましたら現世にお連れします。」


その後、フミの説明によるとこの世界と現世の間には異界と呼ばれる何もない平面世界が存在しているらしい。

その世界に一時的に穴をあけて現世と神の世界(神界)をつなぐのだか神界のルールとして一人の神様が神界を開ける回数は日にちにより制限されているそうだ。

同じ場所で何度も異界を開けるほかの世界の住人が迷いこむ場合や、

あけた穴が広がってしまい広がった穴が閉じるときに、世界にひずみが生じ地震などの天災がおこるなどの理由もあるらしい。


そんな話を聞いている最中だったのだが・・・

「ぐぅ~~~・・・・」

瑞樹のおなかが大きな音をならしてしまい、思わず瑞樹は顔を赤くした途端フミが思わずわらったのだ。

「フフッ食事にしましょうか。食材はあなたの世界の神社でまつられた供物やそちらの世界に買い出しに行ったものなので、ご安心してください。」


瑞樹は不思議に思いきいてみた。漫画のように首をかしげながら聞いてみた。

「こっちの世界でかいものですか?」


「私たち神の世界の住人である程度の力を持った者は人間の姿で普通に生活している者たちもいるのですよ。私も人の世では巫女としてミツハ様のお社の管理をしていますので、その時に買い物をしているのです。では、食事を作ってきますね。」

しかし、先ほどからミツハ様はしゃべらないがどうしてだろう。瑞樹がミツハ様に目をやると少しうなだれて怯えているようにも見える。

フミが部屋から立ち去りしばらくするとミツハ様がしゃべり始めた。


「フミに絶対怒られる・・・・君のせいだからね・・・君がついてきたから・・・」

そんなことをいいながらミツハ様がこちらをにらんでいた。

「ごめんさない・・・思わず追いかけてしまって・・・それでミツハ様・・・」


「様をつけなくてもいいよ。神様ではあるけどもミツハって名前だしむず痒いどうしても何かつけるなら、ミツハさんとかミツハちゃんでいいから。」

こんなにざっくばらんな神様もいるんだなぁ~と思いながら、ご飯を待ちながら二人で話を続けていた。

 この世界のことや、祭りに来ていた時の事などいろいろな話を聞いているとフミさんが部屋に料理を運んできた。見たことのない料理やおいしそうな料理が運ばれてきたのだが・・・その中には瑞樹のきらいな生野菜のサラダがあったので、サラダ以外の料理を食べようとしているとフミが気づいたのか食べるようにうながしてきた。

「瑞樹さん・・・好き嫌いもせずに野菜をたべてください。」

気づかれた瑞樹は笑ってごまかそうとしていたのだが…すっと目を細め冷めたような視線でこちらを再度見ながら・・・

「そうですか、瑞樹さんは私が用意した食事が食べられないというのですね。

せっかく瑞樹さんのために作ったのに食べていただけないとはとても悲しいですねぇ・・・」


「うぅ・・・いただきます・・・・」

そんなやりとりをしているとミツハが笑いながら瑞樹に語りかけてきた。

「瑞樹、野菜も一つの命なのだから、きちんと食べなくてはいけないよ。世界の生き物は何かを食べ糧にすることで生きているの。食べてないように見えてもね♪」


「わかったよぉ~・・・うぅ・・・もぐっ・・もぐっ・・・おいしぃ!」

食材は自分たちの世界から購入したり供物だったりと言っていたが、別格でおいしいのだ。

美味しそうに食べている瑞樹を二人が笑ってみていた。

「この世界に来ると生命の活動が再開するので、ここの食材が生きている形になるので味がよくなり栄養価も高いのです。」


「でも、お肉とかも普通に食べるんですね。お寺とかで食べるのを禁止しているから神社でもそうなのかと思ってましたよ。」


ミツハさんが箸を止めながら話し始めた。

「こっちの世界ではそもそも食材の禁止もされていないんだよ。

だっておかしなことでしょ?

あれは食べちゃダメこれは食べていいというのは、命というものを差別しているのと同じことになるしね。

ただし、霊木やご神木などの実とか特殊なものは人に食べさせるのは禁止しているの。

間違って食べると加護が受けれる人もいれば、妖に体が変化してしまう人もいるのでね。」

そういいながら、見た目は普通の桃なのだが透き通ったガラスの器に入った食べ物を見せてくれた。

「これもそのひとつなのだけど、私たちはそのまま食べたり絞って調味料がわりに食材にいれたりするけども、私たちの潜在能力を引き上げるものでもあるの。

間違っても食べたりのんだりしないようにね。」

そういいながら、その桃を一つずつ手に取り二人は食事を続け、瑞樹も出された料理を食べ続けていると一匹の黒猫が部屋に入ってきた。


「ミツハ、久しぶり。おや・・・・人の子とは珍しいね。」

黒猫はミツハの隣りにすわるとゆっくりと人の姿になった。その姿は黒い服に黒いシャツ黒い髪に黒い瞳の40歳ぐらいの男性の姿になっていった。


「僕はクロ・ノワール 簡単に言うと死神だね。

死んだ人間の魂を泰山府君に引き渡したり、人に死をつたえるのが僕の役割だね。

元々僕は黒猫だったんだけどこの世界にきてからこんな仕事するようになったんだよ。」

泰山府君とはどうやら閻魔大王様のことらしく、死神というよりも道先案内人というのが一つの仕事らしい。

クロがしゃべっているとミツハが話をさえぎってきた。

「しゃべりすぎよ。それにあなたをここに招待した覚えはないわよ。」

ミツハはきつい口調でクロを直視することはせずに食事をつづけながら、クロが勝手に食べようとしているものを取りあげた。

そうするとクロが笑いながら立ち上がり、棚をあけてガラスの器に入った桃を食べだした。

「人間がこっちの世界に来たことはなしちゃおうか~。ミツハのおでかけ癖のせいで迷い込んだのがばれたら、現世に行くのは無期限禁止になるだろうなぁ~」


「クロ あまりミツハ様を苛めると元の猫の姿に戻しますよ。

そもそもあなたが猫の時に勝手に迷い込んで霊木の果実を盗み食いしたから、

死神になったのでしょ。それともまたお仕置きしましょうか。」

怖い笑みを浮かべながらフミのうしろにいくつもの火の玉が飛びはじめ、次の瞬間クロの周りを囲み炎の渦の中でクロを笑顔で脅していた。


「冗談が通じないなぁ~気ままな猫の不幽霊生活の方が楽だったから戻りたいだけだよ。

まぁ、戻ることはできないけどね。」

瑞樹にクロが自分の力を教えると彼は人の過去を覗き込み名前や大きな罪や穢れがないか判断することができるのだという。

黒猫にもどるためには自分の力を受け渡す相手をみつけるか、決められた年数働いて力を使い切るしかないのだが、どうやら無期限らしい。


「それで、クロはなんで私のところに来たのだ?

仕事がなければ私のところに来れないようにされたと聞いていたが?」


「昔仕事サボって一人の人間が死ぬはずだったのに生かしちゃったからそれからその子を見守るように言われてから彼につきっきりなんだよ。」

 

フミとミツハはお互いの顔を見合わせて驚いた顔で瑞樹の顔をまじまじとみた。

「それってもともと俺は死ぬはずの人間だったと??」

皆の空気が痛いなかでその言葉をはっしたのは瑞樹本人であった。


「実は君は幼稚園生ぐらいの頃に水の事故で死ぬ運命だったんだよ。

死ぬというよりは僕たちの世界で仕事をしてもらう予定の子だったんだ。パラレルワールドのほかの世界の住人に今の世界の状況を伝えるメッセンジャーになる予定だったのに、

僕がこっちに連れてくるのを忘れていてね。そうだ!いっそのことこのままこっちに来てしまおうよ。そうすれば僕もお役御免だし。」


フミ&ミツハ「だめ!・いけません!」

二人同時に怒ったので瑞樹はなにもいえず、自分の言葉を飲み込むのだった。

しばらくするとフミが立ち上がり瑞樹を別の部屋にに案内しようとした。

「とりあえず本日はお休みください。境界が開くのは明日の夜にしましょう。その方が境界がきちんと安定して通れるので人には危険が少なくなりますので・・・」


神社の長い廊下を漆黒の闇の中あるいてしばらくすると、障子の畳の部屋にとおされた。

新しい畳の香りがするその部屋には、けん玉・おはじき・ビー玉などが詰め込まれた、

おもちゃ箱が部屋の隅に置かれていて。昔ながらの幼い子供の人形が置かれていた・・・

子供の頃の懐かしいおもちゃが置かれたその部屋には布団がひかれていた。

「それでは、こちらでお休みください。

あとお手洗いですが、この部屋を出たら廊下を進んで突き当りにありますので・・・

そちらをご利用ください。」

フミはそういうと障子を閉め、ミツハのところに戻っていった。


瑞樹はひとりでクロに言われた事を思い返していた。

真っ暗な闇の中で虫の声だけが聞こえるその空間は人を不安な気持ちにさせ心を悩ませるのには十分な環境なのかもしれない。


その頃、フミとミツハそしてクロの三人で瑞樹のことを話していた。

「彼がここに来たことで、魂と肉体がこっちの世界に定着する可能性が出てきてしまった。

あの穴ぐらいのひずみで本来この世界に来ることはできなかった。

こちらにおいてある彼の魂の一部が肉体を引き寄せたんだろう。このままでは予定にない死をとげると平面世界の空間を壊す恐れがある。」


ミツハとフミは黙っていたが、彼を死なせてはいけないと思っていた。

なぜなら、ほんの少しの時間だが瑞樹と会話して彼に惹かれ始めてきたのだ。


「解決策は二つ。死なずにこちらの世界に来てもらって天命をまっとうする・・・

そうすれば彼は死ななくてすむ。

もう一つはこの世界の霊木の実を食べて僕のように超越者としてこの世界とあちらの世界の中間の生命として生きるかだね。」


しばらく黙っているとミツハが静寂を切り裂っき、一つため息をついた。

「本来はどちらも反対だが霊木の実を食べるしかないと思う。サクヤに相談するのはどうだろう。サクヤならこの世界の霊木の成長を見守りつづけてきたものだから、どの霊木の実を食べれば副作用が少ない実を選んでくれるやもしれぬ。」


フミもその方法しかないだろうと納得したように聞いていた。しかし問題はサクヤの居場所だった、不死の山と呼ばれる白くそして高い山の上に彼女は社を建て住んでいる。

人はその山を登りきらなければ会うことは許されないとされているのだ。


元々、サクヤは人に恋をし人の世界に行ったのだが、愛する男のことをどれだけ愛しているのか試すように自分がこちらに持ってきた神具を探させた。本来は一人の男性に5つの神具を渡すようにしたかったのだが、彼に好意を寄せたほかの4人の男たちが、自分が取ってきたと一人一つずつその神具を持ってきた。


サクヤはその日の夜に人の欲というものが怖くなり、神の世界に戻ってきたのだという。

それ以後、人に会うことを毛嫌いしているというのだ。


「瑞樹さんと一緒にこっちの不死の山を登るのでは彼の身体が持たないでしょう。

とりあえず明日瑞樹さんをあちらに戻した後にこのことはお話ししましょう。」

そういって、三人は各々自分の部屋に戻っていった。


その頃、瑞樹は未だ考えがまとまらず頭の中をよぎり眠れずにいた。どうしても眠れずに彼は何をすることもできずにおいてあった、青い甚平に着替えトイレに向った。



窓から外を見ると無数の星が夜の空を埋め尽くすように輝いてた。その星を眺めながらゆっくりした足取りでトイレに向っていると、左手に上に続く階段があるようだった。


ふと、そちらに目をやると髪の毛の長い女の子が着物姿の女の子がその階段から降りてきたのだ、不意に現れたその少女に驚きをかくせずにいると少女は笑ってすっと消えてしまった。

 

瑞樹はこの異様な状況に少し慣れてしまったのか、トイレに向っていたが昔同じようなことがあったのを心の中で思い出した。

それは昔、子供の頃家族と法事に行ったときのこと、古い民宿に泊まったことがあった。

そのときも、いまと同じようなくらい廊下を歩いていた。

上から裸電球がおりてきていたが電球は廊下の突き当たりにあり電気をつけることはできなかった。同じように左側に階段があり、

そこに少し神の長い女の子がいたのだ、当時はその子をお化けと思ってしまいかなり怖かったが、あとからその民宿の子だったということが分かったがあの日の夜も眠れなくなったなと懐かしがりながら思った。


トイレで用をたして部屋に戻ろうとするとさっきの女の子がけん玉を持って外にいた。

ふと、縁側に出てその子の遊んでいる様子を見るとその女の子が近づいてきて手に持っていたけん玉がもう一つ増えてにこっとわらってその子は瑞樹に渡してきた。瑞樹も一緒にけん玉を始めるがうまくいかないとその子は微笑みを浮かべなら上手にこなしていた。

その光景を廊下でフミが見ているなどきづかなかった。そしてさらにそこにミツハが通りかかった


「まさかあの子がこんなに早く人と遊ぶとはね。やはり瑞樹は人が忘れかけている優しさと慈悲の心があるんだろうね。」


「そうですね。

あの子もさびしがり屋ですが人の淋しさに寄り添い人の心をいやしてくれる子ですが。

あの子が座敷童になったころは人にもその姿が見えて一緒に遊んでいましたが、

今は子供でもあまり彼女を見ることができなくなっていますからね。」


彼女はミツハとフミが見ているのに気付くと顔赤らめてゆっくりと透明になり消えてしまった。その瞬間彼女の手に持っていたはずのけん玉がゆっくりと地面に落ちた。


ミツハは外に出てそのけん玉を拾った。


「あの子は座敷童の琴音というんだ。

琴音はここで私やフミと一緒にすごしているんだけどね、たまに来る妖達の前では恥ずかしがって出てこないんだよ。どんな魔法をつかったのかな♪」


瑞樹は少し困惑をしながらも少しうれしそうな顔をしていたが、

琴音がくれたけん玉をやめることはなかった。


「瑞樹。クロのいったことは気にすることはないよ。

時はいつでもその時その時に可能な限り君に答えを見せてくれる。それは君だけじゃない、人は知ろうとし知識と未来を求めれば、

必ずその答えを手に入れられるようになっているんだ。

それは私たち神にもわからない宇宙の記録と言ってもいい。

だから君は今を一生懸命に生きればいいんだよ。

求めればこの星はきっと君に答えてくれるから。」


瑞樹はそんなことを言って励ましてくれている。ミツハのことをじっと見つめていた。

彼女の瞳は漆黒の闇の中に映し出さされた星を映しこんでいて、とてもきれいだった。


「寝付けないのならみんなでお酒でも飲みましょうか。」

フミがいきなり話しかけお酒を取りに行こうとすると。僕の分もと庭の茂みの中からクロがすっと猫の姿で現れた。


フミがいたずらっ子のような顔で猫はお酒飲んではいけません・・そうたしなめると、

クロが笑いながら人の姿になりそれを見るとフミは少し小走りでお酒を取りに行った。


「ここでの記憶ってもって帰ってもいいの?

こういう世界に言った記憶ってなくなったりするってあるでしょ?

だから楽しい思いでも消えちゃうのかなぁ~っておもって・・・」


「それは、この土地の管理をしているミツハ次第かな・・・君は確かに今日一日で

沢山のことを知ってしまったよね。

それは君の世界に持って帰ってはいけない記憶かもしれない。

しかし、君の世界に持って行っても害を及ぼす可能性がなければ基本的に消されないよ。

持って帰っても夢でも見たのとあしらわれるしね。」


そういいながら、クロは縁側に腰掛けてフミが来るのを待っているようだった。

瑞樹は、そのことを聞きミツハの顔を見るとミツハは少し考えているようだった。

フミが今度はゆっくりとお酒やおつまみを持ってくると、その後ろから沢山の花火を抱えた琴音がついてきたのだ。


少し恥ずかしがりながら、でも、どこか嬉しそうにその花火を抱えてきた少女はとても穏やかで心の中をとても穏やかにさせてくれたその少女は、

瑞樹が忘れかけていた何かをきっと思い出させてくれたんだと思う。


月明かりの下でおこなわれたその宴はきっと瑞樹の心の中にずっと残っていくだろう。

瑞樹は宴が終わってから帰るまで時を忘れて楽しんでいた。そして、帰る時間が来た。


「これから空間を開きます。

時間をわざとずらすことであなたが追ってきた時間のあとに少し後にします。

こちらでの1日はあなたの世界で1年になっていますから。

実際、神隠しと呼ばれるものはこちらの世界にきて帰るまでに日がたちすぎてしまってそのうち自然に発生して穴から時間のずれを修正せず戻ることで神隠しとなるのです。」


「瑞樹ここでの出来事だけど・・・本当なら記憶を消してから戻った方がいいと思う。

ここでの記憶が瑞樹のことを変えてしまうと思うから・・これをみて。」

いろいろな形のグラスを目の前にだすと、今度はそのなかにゆっくりと空気の中の水分があつまりそして注がれていった。


そうするとこんどは、そのグラスがゆっくりと氷っていった。

グラスだけが朽ち果てのこったのは、冷えて先ほどのグラスの形に氷った水だけだった。


「水はそのままだといろいろな形になることができる。

でも、特別な環境になれてとどまればこの水のように形が固定されて自由ではなくなるの。

それが、大人になるということかもしれない。

そして、人が生きていく中で必要なことなのかもしれない。


でも、今回の出来事はちがう。本来起きてはいけないことだったの。

だから、君に決めてほしい。この記憶をそのままにするか、消すかどうか。」

3人はゆっくりと後ろに下がり瑞樹が答えを出すのを待っていた。どこか寂しそうにしている皆の顔をみつめて、瑞樹が答えを出そうとすると琴音が走ってきて、足にしがみついてきた。

その瞳には涙をためており、その手には昨日一緒に遊んだけん玉を持っていた。


人と遊ばなくなった長い時間、そして神界に来てからも一緒に遊ぶ子はいなかったのだろう、そしてまた昔のように人が自分のことを忘れようとしているとおもい急に淋しくなったのかと瑞樹が思った。


瑞樹は膝をつき琴音の頭をなでながら、ミツハの目を見つめた。

その時、周りには蛍が飛び瑞樹とミツハ達を明るく照らし出した。


「記憶はこのままがいい。皆と会った記憶をなくしたくない。

それに、また再会できたらみんなで花火をしよう。」


その言葉を聞くと、ミツハはふとため息をつきどこか優しそうな眼をしていた。

ミツハが近づき目を閉じるように促した。反論してしゃべろうとするが、押し切られふと目を閉じた。目を開けていいというまで閉じていてねと言われ閉じるが、一向に声がかけられない。


そして、目を開けるとそこはいつもどおりの光景だった。


何もお礼を言っていないのに戻されてしまった瑞樹その手には琴音が最後に持っていた、

けん玉をその手に持っていた。


「ちゃんとお礼ぐらい言わせてほしかったのに・・・」

そう一言ぼやくとどこからか声がした。

「ミツハ達は恥ずかしがり屋だからね。きっと君を返すのが淋しかったんだよ。」

驚き目を足元にやるとそこには、猫の姿のクロがいたのだ、思わず驚き飛び跳ねると、クロが笑っていた。

「ふふっ・・君を見守るのが僕の役目だからね♪しゃべってもよくなったし、これからはよろしくね。」

瑞樹はそんなクロの一言に笑いながらもこれからどうなっていくのか、期待を覚えながらも同時にこれからの生活をどうしていくのか悩むのであった。


『第1話 不思議な出会いと日常との別れ 完』


どうでしたでしょうか??

書いては修正しての繰り返しなのでその都度かわってくるかもしれません(^^;)


この少年は自分が実際に見た夢の話や

実体験であった金縛りの時の話などがあります。


それを、小説の中に織り込んでいます。


生きるということや自分が救われた言葉など様々な要素を入れてきたいと思います。

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