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第二話:仮面の下に這う魔物

人生を通して勉強会なるものを開いてテキトーに勉強した記憶はありますが、

勉強会の後に友人が車でドーンやったのはちょっと参ったww

怪我人ゼロ、車が大破しただけなのは運が良かったんだと思います。

 超次元ペルソナ。





「如月、今日ちょっとおれの家で勉強しないか?」

 古賀ちゃんのそんな言葉を聞いたのは、翌日の昼休みのことだった。

 場所は教室。新田から購買のパンを奢ってもらう約束をしたので、今日は弁当を作らずに済んで少しばかりほくほく気分だったのだが……雲行きが怪しくなってきた。

 ちなみに、僕の他には鮫島ひばりが同席していた。新田と相沢さんは当然のように二人きりで食事。どこで食っているのかは神のみぞ知る。

 さすがにね、バカップルの食卓に割って入る勇気はないですよ?

 藪から棒に僕を勉強に誘った古賀ちゃんは、にやりと口元を緩めた。

「今ならケーキを奢ってやろう。今月の新作ケーキの……廃棄品だけどな」

「なになに? なんの話? 古賀がケーキ奢ってくれんの?」

「おれ達は勉強ついでにケーキを食うだけだ。馬鹿には関係ねーよ?」

「はっきり馬鹿って言わないでもらえるっ!?」

 いや、馬鹿だろ。どう考えても馬鹿だろ。確実に馬鹿だろ。

 その言葉は言わないでおいた。彼女は馬鹿であることをいたく気にしている。

 鮫島ひばり。染色した金髪に黒目。ちょっとふっくらした顔立ち。目立つ化粧にネイルアート。ほんの少々香水を付けている。美人ではなく可愛い系。お洒落頑張ってる。スカート丈は短く目に優しい。身長は160センチ程度。スタイルは普通。

 まぁ……簡単に言えば、色気づいたお年頃の女の子である。

 脹れっ面になった鮫島は、僕と古賀ちゃんを交互に睨みつけた。

「大体、ケーキ囲んで勉強会とか……女子か!」

「うるせーよ。もうすぐ中間だけど、鮫島はどうせ勉強しないだろ?」

「してるわよ! 分からないだけで!」

 古賀ちゃんと鮫島はそんなに仲がよろしくない。口を開けば口喧嘩する仲だ。

 喧々諤々と騒がれても鬱陶しいので、僕はとりあえず仲裁に入ることにした。人の罵声や悲鳴は色々あって苦手なのだ。

「古賀ちゃん。中間って言ってもまだ時間はあるぜ? 新田じゃないんだからそこまで根詰めて勉強しなくても……っていうか、なんでまた急に勉強会を?」

「佐々木さんに勉強教えてくれってメールしたらOKもらった。……でも、二人きりだと絶対に警戒されるからな。あくまで『勉強会』という体を保ちたいんだ」

 行動が早い。そして、中々計算高い。

 まぁ……古賀ちゃんは一度決めたら迷わないタイプの男だ。思考と行動の迷いがないというのは、実に羨ましい。

 が、僕としては少しだけ躊躇する部分もあるわけで。

「なんで僕なのさ? 正人は絶対に駄目だとしても、他の面子でもいいだろ?」

「いや、水無月は誘おうとしたんだけど、今日予定があるんだとさ。他の連中も部活だの彼女だのバイトだので色々忙しいみたいだし……」

「……趣味と女と仕事が、僕達からダチ公を奪っていくなぁ」

「モテない男どもは大変ねぇ」

『………………』

 お喋り大好きな女子グループが一人また一人と男と付き合い出して、最後に独り取り残されて僕らと飯食ってるような女に言われたくはなかったが、僕らの自制心はそれを指摘することはできなかった。

 あの古賀ちゃんですら口を閉ざした。世の中には言ってはいけないことがあるのだ。

 まぁ……鮫島は世渡りが上手いのでいつもは別のグループに適当に混ざって食事をしているのだが、今日は食事が遅かったせいで僕らと一緒に飯食っているんだろうけど。

 それでも、僕と古賀ちゃんの食事に混ざってくるのは女子としてどうなのさ?

 コーヒー牛乳片手にそんなことを思っていると、鮫島は不意ににやりと笑った。

「で、今までの話から察するに……古賀に好きな女の子でもできたの?」

「好き……なのかは分からん。単に可愛いなーって思ってるだけで」

「明らかにラヴじゃん。好きじゃん。告っちゃえば?」

「嫌だよ。今言っても振られるじゃんよ。愛の伝道師こと如月も段階踏んで好感度上げた方がいいって言ってるし、この勉強会はその一環なんだよ」

「勉強会で上がる好感度なんてねぇー!」

「馬鹿限定の発言だな」

「馬鹿だけど、馬鹿って言うな! 単に授業と勉強に興味がないだけよ!」

 鮫島の馬鹿さ加減はともかく……僕のことを勝手に愛の伝道師呼ばわりするのは心底やめて欲しい。愛を伝道した覚えはこれっぽっちもねぇよ。

 少しだけ考えて、僕は口を開いた。

「鮫島も来る? 勉強会」

「んぬ?」

「おいおい、如月。馬鹿呼んでも仕方ないだろ?」

「毎度思うけど古賀ちゃんって真面目だよね……。勉強はメインじゃないからね?」

 ビニール袋からベーグルサンドを取り出し、僕は言葉を続ける。

「向こうにしてみればこっちは敵地(アウェー)なんだよ? さすがに男二人と勉強ってのは向こうも抵抗あるでしょ。タイプは違うだろうけど女子を一人間に挟むことによって安心感が出るし、中途半端に分からない所を教わっただけで勉強会終了なんてこともなくなる。飽きたら複数人でできるゲームでもやったらいいさ」

「なるほど……そりゃそうだ。我ながら気が回らなくて嫌になるな……」

「ちょっと、勝手に決めないでよね。私はまだ参加するとは言ってないし!」

「無料でケーキが食べれて、中間の点数もちょっと上がって、古賀ちゃんに貸しを作れて気分も良い。まぁ……鮫島のやる気次第みたいな所もあるけど」

「……ぐっ……」

 メリットだらけなんだけど、鮫島としては勉強会というのが気が進まないらしい。

 気持ちは分かる。僕も勉強は大嫌いだし、新田のような目的意識もない。

「ぬぐぐ……勉強したくない。放課後に勉強したくないっ……でも、あのヅラハゲの授業で当てられて答えられずにネチネチ言われるのは避けたい」

「あの人、なんであんなにしつこいんだろうなぁ……」

 ヅラハゲこと古関教諭の数学授業は、非常に評判が悪い。毎時間終了ごとに宿題を出す上に、やってこなかったり答えられないとネチネチ小言を言うせいだ。

 五十分しか授業時間がないのに、よく文句まで授業に織り込めるもんだと思う。

 鮫島はしばらく悩んでいたけど、不意にゆっくりと息を吐いた。

「仕方ないわね……古賀の好きな相手も気になるし、ちょっと協力してあげるわ」

「佐々木さん、隣のクラスだから見に行こうと思えば見に行けるんじゃないか?」

「女の性根は遠目じゃ分からないもんよ? 席を立ったら陰口くらいは序の口だもん」

「……怖いこと言うなよ」

 古賀ちゃんがちょっと引いていた。古賀ちゃん宅の女性陣はさっぱりとした方々ばかりなので、女性特有の執拗な陰湿さにはあまり触れてこなかったらしい。

 とはいえ、女性が陰口ばかり叩いていると思うのも早計だろう。陰口が死ぬほど嫌いで聞いた瞬間に引くという女性もいる。僕の妹とか、姉貴とか、知り合いとか。

 その方々は『殴るために拳を引く』のが問題なのだが。

 まぁ、それはともかく。話がまとまったところで、古賀ちゃんは息を吐いた。

「んじゃ、今日の放課後に俺の家に集合な。……とりあえず、前払いって言っちゃなんだけどジュースでも奢ってやろう。なにがいい?」

「梨ジュース。コンビニのでかいパックのやつ」

「んじゃ、私はカフェラテ。ちょっと高いやつね?」

「オメーら容赦なさすぎんだよ! 買ってくるから待ってろ!」

 冗談のつもりだったのだが、古賀ちゃんは律義にも買いに行ってしまった。

 ホント……フットワークが非常に軽い男だ。実に羨ましい。

 僕がぼんやりとそんなことを思っていると、鮫島は不意に悪戯っ子のように、にやりと口元を緩めた。

「古賀にもとうとう春が来たわね……如月には来ないの?」

「来るわけねーだろ」

「エロ本だのグラビアだの教室内で平気で読むくせに、なんで恋愛方面は奥手なのよ……水無月もそうだけど、如月の浮ついた話とかも、全く聞いたことないわよ?」

「正人はこの前、僕の妹と見合いしたよ」

「………………え? そ、そういう話って、軽く言っちゃっていいものなの?」

「見合いって言っても、正人の親父さんとウチの親父殿が仲良いから、じゃあ酒飲むついでに合わせてみようってだけのことだよ。正人にとっちゃ、簡単に異性から電話番号とメールアドレスがゲットできるラッキーイベントだぜ」

「……あ、ああ……そういうもんなのね……ふぅん……」

 馬鹿とは言ったが、それはあくまで成績面のことで、恋話と書いてコイバナと読む話題になると鮫島は妙なしつこさと鋭さを発揮する。ついでに言えば首も突っ込む。

 正人は教室にいないのだが、鮫島は周囲の様子を伺いながら、僕に顔を近づけて小声で言った。

「って、水無月はどーでもいいのよ。あいつ妙にモテるし。それより如月よ」

「いや……僕こそどーでもいいだろ」

「クラスに好みのタイプとかいないの?」

「たくさんいるよ」

「………………」

 鮫島の冷たい視線が突き刺さる。痛い痛い。ちょっと気持ちいいけど痛い。

 鮫島はゆっくりと息を吐いて、僕の顔を覗き込むように、睨みつけた。

「……つまり、誰でもいいってこと?」

「そういう男子は結構多いし、誰でもいいから付き合いたいってのは転じて『誰でもいいから愛して欲しい』ってことだと僕は思うけどね」

「だから、そういう『結構多い男子』の話はいいのよ。如月はどうなの?」

「………………」

 やけに食い下がる上に、話のすり替えにも応じてくれない。

 僕の話は重くなるのであんまり話したくはないし……昼休みに話すことでもない。

 古賀ちゃんがタイミング良く帰って来る気配は、当然のことながらありゃしない。

 仕方なく、少しだけ本音を話すことにした。

「僕は僕だけで手一杯だから、恋愛とか……そういうのはいいや」

「なにじじくさいこと言ってんのよ! 今恋愛しないで、いつ恋愛しろってのよ!? あの古賀ですら色気づいてんのに!」

「古賀ですらって……古賀ちゃんは慎重なだけで、スペックは相当高いぞ?」

「……どこが?」

「背は低いけど運動能力は高いからバスケ……ドリブルで切り込んだりとか、パス回しとかですげぇ活躍するし、知っての通り成績もかなりのもんだ。親しい相手には結構気を使うタイプだし、場の空気を読んで配慮することもできる。家がケーキ屋やってるせいか、甘いものに対する知識が半端ない。みんなは毒舌毒舌言うけど、言うべきことをはっきり言えるのは好感が持てる。僕は言うべきじゃない時に言って反感買うからね」

「いや、それ絶対に褒め過ぎ。古賀はもっと小憎たらしい奴よ?」

「鮫島は女子の中じゃ懐かれてる方だよ。本気で嫌ってる時は、古賀ちゃんは毒舌すら言わない。無視もしないけど、対応は事務的で冷ややかだね」

「そ……そうなの?」

「そういうもんだよ」

 誰だってコンプレックスを刺激され続ければ、卑屈にも慎重にもなる。

 毒舌くらいならご愛嬌ってもんだろう。

 僕の意見に、鮫島はあまり納得がいかないのか、渋い顔になって目を細めた。

「でも、人のことを馬鹿馬鹿言うのはいかんと思うわ。私だって、好きで頭悪いわけじゃないのよ? 単に学校の勉強に付いていけないだけで」

「古賀ちゃんは女の子には容赦ないからね。ただまぁ……鮫島は成績悪い所以外は、突っ込む隙がないから。意外と器用だしね」

「器用? どこがよ? むしろ不器用ってよく言われるわよ?」

「以前、水面の体操着に小さく穴が開いてた時とか、ソーイングセットでちゃちゃっと直してたじゃん? あれは素直にすごいと思ったよ。化粧とかネイルアートも自己顕示が際立たない程度に、綺麗に仕上がってるしさ」

「そっちの器用は、私の求めている『器用』じゃねー! なんかこう……もっとスタイリッシュかつアクティブに、彼氏とか簡単に作っちゃえる格好良い女になりたいのよ!」

「目指す先が峰不二子とかすげーな。とりあえず寝言は巨乳になってから言え」

「巨乳は無理よ……もう誰でも良いから彼氏が欲しい……」

「切実だなぁ。つい最近までは新田と古賀ちゃんはオススメだったんだけどね。あとは野村君、剛力、結崎、天野君、植草……くらいかな?」

「ラインナップがヘタレ、チビ、地味、筋肉、眼鏡、陰険、駄目男って……」

「誰でも良いで恋ができたら、誰も苦労しねぇわな」

「…………そーね」

 机に突っ伏して、鮫島は溜息を吐いた。

 そんなこんなで昼休みという退廃的な時間は過ぎて行くのだった。



 二人きりかと思ったら、そんなことはなかった。

 ドギマギしながら古賀の家を訪れた桜子だったが、招かれた客間にいた他二名の顔を見てなんとなくがっかりし、内心で少しだけ安心していた。

(複雑過ぎるわ……)

 一人は目が真っ黒な少年。名前は如月与一。彼は三日月と一緒にいるのでよく見る。

 一人は染色した金髪の少女。名前は鮫島ひばり。あまり見たことはないが、古賀と仲が良いのかもしれないと思うと少しだけ胸がちくりとした。

「勉強教えるだけなのに、ケーキ御馳走してもらっちゃっていいのかしら?」

「いいのいいの。廃棄品の始末を手伝ってもらっちゃってる感じだし。佐々木さん、ケーキはなに食べる? おれのオススメはこっちの……」

「なにこれすごい美味しそう! 私このチョコっぽいやつね!」

「教わる側のくせに図々しいなテメーは!」

 三日月は、鮫島ひばりとは打ち解けている感じだった。桜子と話している時のようなぎこちなさがない。いかにも自然で遠慮がない対応だった。

 そのことにほんの少しだけ胸を痛め『あんな風に打ち解けた感じになりたいなぁ』と思いながらも、長年培った鉄面皮は崩れることはなかった。

「えっと……それじゃあ、古賀君のオススメがいいな……」

「はい、どうぞ」

 皿に盛りつけられた和栗のモンブランは、一度味わったことがあるが美味しかった。

 飲み物は水出し紅茶で、三日月の店で出しているものだ。

 各人の皿にケーキを盛りつけ、三日月は苦笑を浮かべた。

「まぁ……お袋が作ったもんを素直に褒めたくはないが、味は保証するよ」

「古賀君の家のケーキ、すごく美味しいのよね」

「ケーキに関しちゃ、お袋のセンスが良いだけなんだけどな。……おれにやたら女装させるのはやめて欲しいけどさ。この前なんてフリフリエプロンだったし」

 いや、絶対にやめないで欲しい。あのエプロンも最高だったもの。

 真顔でそんな言葉を言いかけて、危うい所で桜子は留まった。

 このように毎度毎度危ない橋を渡りながら、それでも口には出さない桜子である。

 ケーキを頬張りながら、不意に鮫島が口を開いた。

「古賀の女装ってマジで違和感ないわよね……文化祭の時は体操着だっけ?」

「うるせーよ。新田と水無月もそこそこ似合ってたじゃねーか」

「いっそ、そのうざったい三つ編み切っちゃったら? すっきりするかもよ?」

「床屋嫌いなんだよ。……なんとなくだけどさ」

 古賀君は床屋が嫌い。桜子は一瞬で脳内に情報を刻み付ける。

 こうやって三日月の交友関係を覗くのも悪くないと、桜子は思い始めていた。自分では見れない彼の顔を見ることができる。

 それはともかく、三つ編みを切るのは絶対にあり得ないが。

 ショートケーキを美味しそうに頬張りながら、与一は口を開いた。

「もう今日はこのままケーキパーティとかでいいんじゃないかな?」

「おい、如月。頼むからふざけるな。お前までふざけだしたら現状ツッコミがおれしかいなくなるだろーが。そういうのはツッコミが他にいる時にやれ」

「とりあえず、僕が鮫島担当、佐々木さんは古賀ちゃんをよろしく。歴史あたりは僕もちょっと不得意だから、古賀ちゃんと一緒に教えて欲しいかな?」

「あ……うん。分かったわ」

 分かったわではなく、ありがとうと言いかけたのだが、そこは堪えた。

 意図してのことか、意図してないことか、あるいは与一がひばりに気があるのかは知らないが、桜子にとっては好都合極まりない。

(……嬉しいんだけど、どうしたらいいのかしら?)

 ストーキングをしていたくらいである。男の子と仲良くする術など知らない。

 ましてや、お付き合いをする方法はおろか、好感度を上げる方法すら知らない。

 顔は笑顔のまま、心は不安感で一杯になりつつ、勉強会は始まった。

 三日月は教科書とノートを開いて、桜子に見せた。

「で、ここの証明問題なんだけどさ……っていうか、証明問題苦手でさ……」

「ああ……うん、ここはね……」

 テストの最後に出てきそうな面倒な問題だが、桜子は証明問題は得意だった。

 丁寧に説明する自信はなかったが、一つ一つ順序を追っていく。

「ここで公式を使って……」

「なるほど……その公式さ、意外と複雑で計算間違いしそうなんだよな……」

 三日月は苦い表情を浮かべながら、桜子の説明に集中しているようだった。

 自然と距離が近くなる。

(……可愛いなぁ。首筋噛みたい)

 口と表情と指先は自動的に説明を続けながら、思考だけは別のことを考える。

 同学年の男の子に対し、その感想はかなり失礼なことは分かっていたが、それでも桜子はそう思っていた。

 さらに深く自覚している。この感情は小動物的なものに向ける『それ』ではない。

 異性として完全に意識している。

 胸の高鳴りを抑えるために紅茶を飲んで、桜子は口を緩めた。

「古賀君って飲み込みいいけど、もしかして数学得意なんじゃないかしら?」

「ピンポイントで苦手な部分があるんだよ。証明とか、関数とか……図形も苦手だ。佐々木さんは苦手な分野とかねーの? 数学以外でもなんでもいいけど」

「んー……強いて挙げるなら、戦国時代かなぁ? 武田と織田は好きなんだけど、信長公が亡くなってから、漁夫の利合戦になっちゃうし」

「ある意味戦国時代の『取りたい奴が取る』って風潮を如実に反映してるのかもな。おれは徳川に煮え湯を飲ませ続けた真田とか、燃えるエピソードが満載だから好きだな」

「古賀ちゃんは知略向きだなぁ。僕は首取り捻じりもぎ取り島津とか好き」

「真田とか島津とか……どこよ? 私は長宗我部が好きだわ」

 全員見事にバラバラだった。中でも与一は微妙な表情を浮かべていた。恐らく長宗我部家直系の滅亡した遠因が、島津家にあるからだろう。

 もちろん、桜子はそのエピソードを知っているが、なにも言わなかった。

 好きな物は好きで良いのだ。余計な知識や言葉を差し挟むことはないだろう。

(長宗我部家の嫡男が、島津家に殺されて元親さんが完全に腑抜けたとか……知らなくてもいいエピソードよねぇ)

 そんなことを思いながら、数学の問題を解いていく。

「古賀君。ここの答えってこんな感じでいいかな?」

「ん? えっと……あれ? ここ計算間違いしてない?」

「あ……本当だ。なんか解答に違和感があると思ったのよね。ありがとう、古賀君」

「さっき証明問題教えてもらったし、こんなもんで良けりゃいくらでも」

「見ろ、鮫島。あれができる奴らの数学だ」

「うぐぐ……数学嫌い……数字嫌い……公式大嫌い……数学なんて滅びればいいのに」

「数学が滅んだら世界が破滅するよ」

 頭を抱えるひばりとは対照的に、与一は涼しい顔をしていた。

 場の雰囲気に少しずつ慣れてきたのか、桜子にも周囲を見回す余裕が出てきた。

(良い子(古賀君)、悪い子(鮫島さん)、普通の子(如月君)って感じ……ぱっと見だと如月君がダントツで悪い子っぽいけど。成績は古賀君≧如月君>>>>>鮫島さんかな?)

 なんとなくそんな感じに当たりをつけて、試しに聞いてみることにした。

「三人は同じクラスの友達なのよね?」

「いつもつるんでるわけじゃないけど……如月は、えっと……水無月正人って奴知ってるかな? すげぇモテる奴なんだけど、そいつと卯月水面って女子とよくつるんでる」

「ああ……水無月君に近い人なんだ?」

 水無月正人。桜子のクラスでも有名人である。専ら悪い意味で。

 告白した女子をことごとく振るので、ホモじゃないか? とすら言われている。

 しかし、そこまで悪い噂が立っているのに、上級生下級生同級生問わず……桜子のクラスも例外ではなく、告白する女子が絶えることはない。

 ちなみに、桜子の趣味ではない。格好良い男子は嫌いではないしむしろ好きではあるのだが……なんとなく……本当になんとなくではあるが、自分に近しい物を感じるのだ。

 同族嫌悪的なものかもしれない。

 少し気にはなったが、気にする前に与一は口を開いた。

「古賀ちゃんはあっちこっちのグループを行ったり来たりだよね。放課後はさっさと帰って店番とかやってるんでしょ?」

「バイト代が出るからな。今の所使い道は、園芸くらいしかないけどさ」

 三日月の趣味が園芸であることは、前々から知っていた。

 しかし、桜子の最近の趣味がストーキングということもあり、趣味については中々聞き出せなかったことではある。

 今日は勇気を出して、少しだけ突っ込んで聞いてみた。

「園芸って、なにを植えてるの?」

「店の表で咲いてる花とか……まぁ、汚くならないように気を使ってるくらいかな?」

 はにかむように三日月が言うと、オーバーヒートして頭を抱えていたひばりが、不意に口元を引きつらせて叫んだ。

「あれ、古賀が植えたのっ!? うっわ、なんか『綺麗な店先』とか思ってたのがすごいショックなんだけど!」

「うるせーよ、鮫島! だからあんまり大っぴらにしたくねぇんだよ!」

「大体、男が園芸趣味とかへヴんっ!?」

「人の趣味に口出して、自分の価値観押し付けちゃ、いけねぇよ?」

 与一はひばりの頭をわりと強く叩いた。意外と容赦がなかった。

 叩くと同時に与一はひばりの背後に回り、首に腕を回す。チョークスリーパーの要領で首を絞めつつ……ひばりが抵抗できる程度に力を調節しながら、与一は口を開いた。

「僕は趣味スノボみたいなチャラついた野郎より好きだけどね。自分が好きな花を、好きなように育てて綺麗にする。店先も綺麗になって、お客様も喜ぶ。誰もが得しかない趣味を頭から否定しちゃいかんよ? 実際、店先は綺麗だったし」

「むっ……ぐっ……そ、そんなことはねーよ?」

 しみじみとした口調で与一が口を挟むと、花を褒められたことがあまりないのか、三日月は顔を赤らめた。

(か……可愛い!)

 内心でガッツポーズを決める桜子である。与一については三日月の背後から抱きついたりと、色々やりたい放題なせいかあまり良い印象を抱いていなかったが、ここに来てそれが簡単にひっくり返った。

 いいぞ、もっとやれ! 古賀君の可愛い所をもっと見せてください!

 表向きには静かだが、桜子は今までにないほどヒートアップしていた。

 首を絞められるというより、後ろから抱き締められる形になったひばりは、顔を真っ赤にしながら暴れていた。

「つーか、女の子になにすんのよ如月! 触んなこらぁ!」

「はっはっは、誰かの趣味を馬鹿にした鮫島には『好きでもなんでもない男に後ろから首を微妙に絞められる』という訳の分からん極刑に処す。園芸とパチンコなら園芸の方が圧倒的に趣味として真っ当だと知るがいいさ」

「前に私の趣味がビーズ細工って言ったら古賀に散々馬鹿にされたんだけどっ!?」

「マジで!? んじゃ、古賀ちゃんも同じ目に遭わないとダメじゃん!」

「ぐあっ!? テメェやめろコラぁ!

 ひばりを放して三日月の首を同じように絞める与一。ひばりと同じく、実際には絞めてもいないので単に後ろから抱きついているだけである。

 羨ましかったが、間近で三日月が嫌がる様子が見れて桜子はかなり興奮した。

「いやぁ、鮫島にはマジで悪いことしちゃったな。ビーズ細工は園芸と同じくらい良い趣味だ。なんで目くそ鼻くそなのにお互い馬鹿にし合うか分からんなー」

「じゃあ、如月の趣味はなんなのよ?」

「ゲーム内でモンスターぶっ殺したり、人をぶっ殺したり、世界を救ったりしてるよ。あとは、温泉と弁当作りかな。温泉宿の人とちょっと仲良いんだぜ?」

「じじくさいっ! 前々から思ってたけど如月はじじくさいわよっ!?」

「世の平均的男子と一緒にするなよ。僕みたいな根暗と比べたら、古賀ちゃんはまだ十分平均的なほうだぜ? 古賀ちゃん、今度原付の免許取るって言ってなかったっけ?」

「お袋に相談したら『原付の免許取るくらいなら電動補助付き自転車買いなさい』だってさ。原付の方が圧倒的に便利な気がするんだけどなー……」

 原付。原動機付き二輪車のことである。

 桜子は少しだけ焦る。当たり前の話だが、徒歩以上の速度を出されるとストーキングができなくなってしまう。

(……あれ? でも、いいのかな?)

 ストーキングができなくなっても、今の状態なら普通に下校くらいはできるのではないだろうか? ふとそのことに思い当たったものの、どういう風に誘ったらいいのか分からず、結局内心の苛立ちを原付にぶつけることになった。

 口を開いた桜子の言葉は、内心とは異なり、いつも通りに平静そのものだった。

「原付って危ないんじゃないかしら? うちのクラスで学校に内緒で通勤に使ってた人が事故に遭って、一ヶ月くらい学校に来れなかったけど……」

「んー……釣りに行く時に便利そうなんだけど、それはちょっと怖いな。自分の力以外で動く乗り物には、ちょっと興味あるんだけど……」

「佐々木さんの言う通りやめておいた方がいいかもね。彼女を後ろに乗せて原付で調子に乗ってパーンの上に彼女が即死で自分は全身不随で寝たきりとか、よくある話だし」

「……原付の免許、取るのやめるわ」

 与一の言葉で、三日月はあっさりと引き下がった。

 青ざめて怯えた表情も可愛いと桜子は思ったが、それは決して口に出してはいけない言葉だろう。あと如月与一はそろそろ古賀君から離れるべきとも思ったが言わなかった。

(……嫌過ぎる女だわ、私……付き合ってもいないのに独占欲丸出しで)

 内心で溜息を吐くと同時に、与一は三日月から離れた。

 それを見てほっとする自分にますます自己嫌悪する。

 自己嫌悪しながらも、口と表情はまるで別物のように、普通のことを言った。

「お喋りも楽しいけど、そろそろ勉強に戻りましょうか?」

「如月のせいで脱線しちまったじゃねーか……」

「ごめんごめん。さて、鮫島。宿題の続きに戻ろうか?」

「これは真剣な提案なんだけど、もう勉強はやめて古賀の部屋漁りにいかない?」

「全くもう……仕方がない鮫島だな。あと一時間我慢したらだよ?」

「勝手に人の部屋を漁る算段を立ててんじゃねーよ!」

 三日月の罵声を聞きながら、桜子は口元を緩めて微笑んだ。

 こんな風に遠慮のない関係になりたいなぁと……心の底から、思った。

 思うだけだった。



 僕こと、如月与一は少しばかり反省をする。

 勉強会なら、いっそのこと僕の家でやってしまえば良かった。

 お付き合いというものには『二人きりの時間』というものがとても大切で、今回の勉強会にはそれがない。

 もちろん、それを狙って四人で勉強という形にしたんだけど……どうやら、見た感じでは佐々木桜子は古賀ちゃんに対してかなりの好感を持っているらしい。

 告白すれば付き合えるんじゃねーの? というくらいの好感度だ。

 それならいっそ僕の家で勉強会を開催し、帰宅時に二人きりにしてあげるのがベストだったんじゃないかと思う。鮫島ならなんやかんやで協力してくれるだろう。

 少なくとも、僕が鮫島を家まで送るような面倒なことは、しなくて良かったわけだ。

 まぁ、女の子を送迎するのが嫌というわけじゃないし、明日の僕はもっと上手くやってくれるだろう、たぶん。悪化させる可能性もなきにしもあらずだけど。

 そんなわけで……夕日が沈みかける頃、僕は眠気を堪えて鮫島と一緒に歩いていた。

「うーあー……やっぱり数学は駄目だわ。苦手っていうか、嫌い」

「嫌いでも赤点は付きまとうからね。やらなきゃいかんってのは結構キツいね」

「まぁ、数学はどーでもいいんだけどさ……古賀と佐々木さん、上手くいくと思う?」

「お互いに好き合ってる印象はある」

「そーね。ぶっちゃけ、見てて腹立ったわ。もうあれくっつく寸前じゃない?」

「………………」

 鮫島の言葉に対し、あえて答えずに僕は少しばかり考え事をする。

 大したことじゃないし、他人事だからどうでもいいっちゃどうでもいい。古賀ちゃんの恋路とはいえ、恋路ってのは基本的に本人のものだ。僕にとっては他人事に過ぎない。

 それでも……こうして気にしている、その理由は……。

「鮫島さ、佐々木さんのことどう思った?」

「あざといくらいに優等生ね。同じクラスなら交流がない感じ」

「隣のクラスでも同じみたいだね」

「ん?」

「交流は浅く広く。顔なじみは多いけど友達がいない。どこがで一線引いてて、深い人付き合いはしない。……佐々木桜子ってのは、そういう女子らしい。石村から聞いた」

「ますます優等生っぽいわねー……人付き合いよりお勉強が大事、みたいな?」

「そんな優等生が古賀ちゃんにだけ好意を抱くってのは、なんでだろうな?」

「別に人を好きになるのに理由は要らないでしょ。一目惚れかなんかじゃない?」

「……そーだな。その通りだ」

 確かに人を好きになるのに理由は要らない。鮫島の言う通りだ。

 しかし、問題はその後だ。

 人に告白をするのには、あるいは告白を受け入れるのには……理由が要る。

 そこまで考えて、思考を打ち切る。なんだかんだで非常に眠たいのでそれ以上考えるのはやめて、今日思ったことをそのまま口にした。

「僕は正直さ……佐々木さんはあんまり好きじゃねぇな」

「まぁ、如月好みじゃないかもね。胸のサイズはイマイチだったし」

「いや、僕は女の子の好みで胸のサイズはそこまで重要視してねぇよ? 確かに大切な要素で神聖なる部分だけど、最終的な好みは性格一点突破だからね?」

「男子って、ああいう大人しい優等生タイプの方が好きなんでしょ?」

「僕はそこまでじゃねぇよ」

「どーだか……新田も結局は優等生タイプの相沢さんとくっついてたし」

 不意に、鮫島は苦々しく笑った。

 目を細めて、口元を歪めて、渋面を作っていた。

 その表情の意味を聞いていいものかどうか迷って……結局、聞いてしまった。

「新田となんかあったの?」

「告られたのよ」

「……で、振ったら相沢さんとくっついて、すげぇ複雑な気分ってわけか?」

「そーゆーこと」

 鮫島は顔をしかめたままポールコーン(車道と歩道の区切りや、車線と車線の区切り部分に設置してある赤い棒)を、蹴り飛ばした。

 ポールコーンとしては不本意だろうが、車に踏まれたりするよりはましだろう。

「新田を振ったのは悪いと思うわよ。でもさ、振られたからすぐ次っておかしいでしょうが? あんたの想いはそんなもんだったのかって……思うじゃん?」

「そーだな。確かにひでぇわ」

「……如月は新田のこと応援してるんじゃないの?」

「応援してるよ。だからって、新田がやったことを全肯定するつもりはねぇよ」

 悩まず、すぐ次へ。それは確かにその通りだ。

 切り替えが早い方がもちろん良いし、振られたらすぐ次へってのも悪くない。

 それでも『すぐ次へ』をやったことで『軽く見られた』と思う人がいることも、忘れちゃいけないと、僕は思うのだ。

 実際には、新田は発端であり巻き込まれた側なんだけど、そんなことは鮫島には関係ない。鮫島の中の事実は『自分に告白した男が振られてすぐに別の彼女作った』である。

 鮫島は、珍しくしおらしく俯いて、口を開いた。

「私って……そんなに軽そうに見える?」

「うん」

「即答すんな! そこは気休めでも『そんなことないよ』って言っておきなさいよ!」

「軽そうだけど、話しやすいし、可愛いとは思うけどね」

「……え? なにそれ、口説いてんの?」

「口説いてはいねーよ」

 気休めは大好きだが、気休めじゃ鮫島は納得しないだろうし……僕は鮫島を納得させたいわけでもないし、新田の擁護をしたいわけでもない。

 僕は、僕が思うことをそのまま口に出した。

「新田を擁護するつもりはねーけどさ、あのヘタレの新田が告白するくらいだから、それなりに真剣だったんじゃないかと思うんだよね。少なくともさ……僕は、軽々しく告白できない程度の魅力は、鮫島にはあると思うよ?」

「……そ、そう? でも、それならなんですぐに相沢さんと付き合ってるのよ?」

「さぁね。例えば傷心の時に慰められて好きになったとか、そんな感じじゃない?」

 ありそうな理由をテキトーにでっち上げる。

 僕は新田と相沢さんが付き合うことになった事情を知っているし、一枚噛んでもいるけど、それは鮫島には関係のないことだ。

 口元を緩めて、言葉を続ける。

「ま、鮫島が怒るのも無理はないよな……。よし、新田の悪評を広めよう。石村に面白そうな話を吹き込めば、明日にでも広めてくれるだろう」

「いやいやいや! やり口が陰険過ぎるでしょ!」

「怒っててもそういう陰険なことをせずに愚痴で済ますあたり、鮫島はなんだかんだで良い奴だよな。新田が告白したのも、分かるような気がするよ」

「……むぅ……良い奴って評価はあんまり嬉しくないけど……」

「じゃあ、良い女で」

「………………っ」

 言い方を変えただけの同じ意味なのに、鮫島は頬を赤らめた。

 嬉しそうな、呆れているような、微妙な表情を浮かべながら、鮫島は溜息を吐いた。

「如月さ……あんまり思わせぶりなことばっかり言ってると、誤解されるよ?」

「思わせぶり?」

「だから、その……可愛いとか、良い女とか、魅力があるとかさ……」

「以後気を付けるよ。凹んでる奴を見ると、褒めたくなる性分でね」

「……ったく」

「そういえば、鮫島はなんで新田のこと振ったの?」

「私にも色々あるのよ」

「ってことは、別に新田のことが嫌いってわけじゃなくて、好きな男でもいるのか?」

「っ!?」

 鮫島は顔を真っ赤にして、滅茶苦茶驚いていた。

 口をぱくぱくさせ、顔色を青くしたり赤くしたり、少しの間混乱していたようだが、溜息を吐いて僕を睨みつけた。

「そーよ。……好きな男、いるわよ? だから新田を振ったけど!?」

「やっぱり、誰でもいいってわけにはいかねぇよな……。ま、応援してるよ」

「どうかしらね……絶対に振られそうな気がするわ」

「告ってみなきゃ分からないだろ? ちなみにどんな奴?」

「大人で優しい人。……私、年上好みなのよね」

「どんな人かは知らんけど、大人で優しいってのはあんまりいないから、早めにアプローチして好感度を上げることそオススメしよう」

「……そうしたいところだけど、こっちにも色々事情ってもんがあるのよ」

 そう言って、溜息を吐く鮫島の表情は……恋する乙女のそれだった。

 佐々木桜子と同じで、全然違う、恋する女の子の表情だった。



 人は『善良』という仮面を付ける。

 少なくとも、僕から見た佐々木桜子は、たくさんの仮面を付けていた。

 付けてさえいれば効果が発揮されるタイプの高性能な仮面を、本人も自覚せず意図せぬままに、付けて当たり前のように生きていた。

 それは悪くはない。誰もが仮面を付けるのだ。自分らしく、自分勝手に振舞わないように、他人に嫌われないように、飢えず渇えず心が死なないように。


 でも、だからこそ多分この先……彼女はきっと間違える。

 見当違いの確信を抱きつつも、僕はその思考を切り捨てた。

 他人の恋路だから……ではなく。


 古賀ちゃんの恋路だから―――古賀ちゃんなら大丈夫だと安心して、切り捨てた。

段々コメディ成分が薄くなっていくのに、なぜかコメディジャンルで頑張ってる

この物語。次回とか次の次の回くらいから段々ヤバくなっていくよ!


そういうわけで、次回に続きますw

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