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ERROR CODE:1x004 忘れられないモノ

数話書きためてから1000文字前後でぶつ切りにして投稿してるので短くなってしまいます。テンポ揃えて行きたいのでご容赦ください。

背中から伝わる感触が変わった。

目を開くと、さっきとは違う、クリーム色の暗い天井が広がっていた。首と足に伝わる感触から、これはソファーなのだろう。背もたれの反対側に顔を向けると、疲れた表情の男性がじっとこっちを見ていた。

「っ!」

この状況でだらりと寝ているなんて失礼、相手がどんな相手でもできないだろう。慌ててソファーに座り向き直る。髪が肩をなで、身体があのときのままだというのを実感して少し暗い気持ちになった。

「起きたね。」

物腰柔らかな声だった。

「怪しいものじゃない。自分はオオタロボティクス先行開発事業部本部長の武藤健吾だ。今は医療用霊魂操作機器の研究をしている。そしてここはオオタロボティクス東京事業所だ。」

「オオタ……ロボティクス?」

自己紹介されたが、どう返していいのかわからない。いろいろな驚きが一緒に来て初めて聞く社名に反応するのが精一杯だった。

「その様子だとだいぶ落ち着いているようだね、我々オオタロボティクスは独自のメカトロ工学研究に基づく産業機械を設計製造する会社で、大手家電メーカーで廃止された事業に勤めててリストラされた人たちが集まってやってるんだ。」

そこへもう一人、ちょっと老けた男性があの白い部屋にあったのと同じ金属製のラックを押して入ってきた。あのラック、キャスター付きだったのか。

「彼はオオタロボティクス先行開発事業部本部長補佐兼名誉技術顧問の佐藤俊夫だ。」

「よろしく。」

差し伸べられたゴツゴツした手に自分のか細く細い手を重ねる。彼らは何者なんだろう?

「じゃあね、私からこの状況について説明する前に、今までのことを教えてくれないか?その身体になる前の話だ。」

「え……わかりました。俺は坂田正治って言います。18です。スクーターの人に刺されたと思ったらこうなってました。」

「君、男だったのか!それは本当に申し訳なかった……」

「落ち着け。なるほど、そういうことだったのか。私からも謝罪させてもらう。本当に申し訳ない。」

二人で頭を下げてしまうと、こっちまで申し訳ないので自分も少し頭を下げる。

「さて、先ほどの説明でだいたい把握した。君の元の肉体は死体として既に回収、葬式も済んでいることと思う。」

頭を上げた男性の言葉に、俺は思わず絶句した。

「何から話せばいいやら私もわからんもので、ごちゃごちゃになってしまうかもしれないが勘弁してほしい。

まず君の身体のことだが、いちおう我々はこう呼んでいる。『半生体型高機動魂筐体試験機』と。」

「半生体……筐体?」

「要するに人間の霊魂を内包するアンドロイドだ。」

俺は、人間ですらなかったらしい。

説明によると、今のオオタロボティクス社員が大手につとめていた頃防衛庁の研究に参加し、戦闘用人間型高機動アンドロイドの開発に携わっていたのが『強すぎて中止』され、オオタロボティクス発足時から当時の資料を元に、佐藤さんの霊魂操作技術から人間の霊魂をもつアンドロイドを開発したのだという。

「ただし霊魂だけはどうしようもなくてね、どこかで行き場を失った霊魂を呼び込めないかということで、半年くらい前からこの東京事業所で霊魂の定着実験を行っていたんだ。」

武藤さんが続ける。

「それで、さっき言ってくれたように殺された君の霊魂が定着してみたいでね、しかも相当相性がいいらしい。」

「道理で違和感が少ないんですね?」

「そういうことさ。あとマシンスペックなんだけどね、4.6GHz CPU/4.0TB SSD/16GB RAMのメインユニットで霊魂の指令を身体全体に振り分け、外部情報を霊魂に伝達する。肉体の方は9800箇所のダンパーと4200個のマイクロモーターで身体制御を行う。メインフレームはマグネシウム鍛造材を炭素繊維強化樹脂で補強し、専用設計のフレキシブルジョイントで接合している。もちろん、動作は一般的な人間に比べ鋭敏かつ柔軟、もちろん機械的なかくつきは細かくチューニングしてすべて潰してある。

さっき半生体と言ったが、外から見える部分はメンテナンスハッチのフチを除き人工細胞から作成した生体組織で作っている。だから見ても触っても人間と変わらないし、ユニット電源も24000mAhのリチウムイオンバッテリーを4基積んでいるからどんなに酷使しても最低3日は持つ。おっと忘れていた。」

突然佐藤さんが話を切って立ち上がった。そしてさっきあの部屋で被っていたようなヘッドセットを持ってきた。でも少し小さい。

それを俺に被せ、伸びているコードをコンセントに差した。ピーという電子音が聞こえる。

「これが君の充電器だ。非接触式チップでの充電からかぶるだけでいい。USBによるコンピューターへの接続も可能だ。君のシステムにはWindows Embedded Compactをベースにしたものを採用しているからそのままつなげばいい。アプリケーションの追加も可能のはずだ。操作方法は知らないが。

あと充電が必要だが生体組織の維持に栄養分の摂取が必要なんだが、消化器官のスペースをユニットが占めてしまって君には消化器官がない。ウイダーでも飲んで栄養取ってくれ。多分それでいける。」

「もういい、そんな一気にやっても多分理解できない。」

武藤さんが佐藤さんを制止する。

「だが…」

「まずは彼女……いや彼の今後の身の振り方を考えろ。俺たちに責任があるんだ。」

アンドロイドというかロボットというか、このスペックで人間の思考についてこれるんですかね…?



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