ERROR CODE:1x002 何にもなれないモノ
やっとTSシーンです。
ピー。頭に響く機械音。まだもやがかかっているものの徐々にはっきりとしていく意識。しかし、体の感覚がない。
Reaction of spilit confirmed.
>Verify responce...(10240/10240)
=true(80sec)
>Detecting type...(360/360)
=Complete(20sec)
Loading Spilit core...(53040/53040)
Install Driver...(89/89)
Reboot
>Shutdown
>boot
Chkdsk Main:(100/100%)complete
Bootup Operating System...
booted
Wakeup Spilit...
...
...
熱が戻ってくる。重力を感じる。それも圧迫感のようなもの。
体の感覚が戻ってくるとともに意識のもやはどんどん晴れていく。そして、目を開く。
白い天井。
急速に記憶が戻ってくる。
そうだ、帰り道に突然後ろから来たスクーターの人に刺されたんだ。
貫通、してたと思うんだけどな…
今、身体には何の痛みもない。傷口がどうなっているか確認したかったが、腕が動かない。いや、それだけではない。体全体が金縛りにあったかのように動かない。
ピー。機械音がまた響く。
ふ、と体が軽くなる感触。指が、動く。腕が、動く。
そっと、腹に手をやってみる。何か薄い布、服なのだろうが被せられているが、それ越しに触れた腹にはそれらしき感触はなかった。むしろ、腹に伝わる手の感覚、その軽さが気になった。細い。持ち上げて視界に入れる……。
誰の手だろう。細く、繊細な印象の白い手。しかしそれは自分の思うままに動き、腕の重さは自分の肩にかかる。間違いなく、これは自分の手だ。
だとしたら?
ガバッと跳ね起きる。体が軽い。肩と顔にかかる黒いモノ、胸にかかる重さは髪と乳房か?何故俺にこんなモノがあるんだ?細い手で顔を触る。確かな感触、自分の顔も変わってしまったようだ。
さらなる予感を覚え、股関に手をやる。あるはずのものが、無かった。もっともこんな上半身でついていても怖いとは思うが。
脚もやはり細く、白くなっていた。
これは…女の身体?
頭を抱えようとした手に金属の感触が伝わる。触れてみると、それはヘルメットのようなもので、コードが大量についているようだった。そのコードは部屋の中にある様々な機械につなげられていた。その中で、一つ見覚えのあるデスクトップを持つディスプレイが目に留まる。ディスプレイがその一つしかないということは、きっとそれが操作盤なのだろう。
ゆっくりと身体を動かし、自分の寝かされていたベッドから立ち上がろうとする。ヘルメットのコードが邪魔なのでヘルメットを外そうとしたら簡単に外れたので枕元に置いておいた。作り付けの結構しっかりしたベッドだ。
立ち上がり、改めて自分の身体を見下ろすと、胸が視界を遮る。あまり小さくはないが大きくもないはずなのに、こうしてみると邪魔でしかないな、と冷静になってしまっている自分に苦笑する。ふふ、と声が漏れるその声も、今までとは違う高い声。夢ならば覚めて欲しいくらいの悪い冗談にも思えるが喉に伝わる声の振動がどこか達観してしまった自分を現実に引き戻す。
おぼつかない足元に気を配りながらディスプレイに近づくと、さっきはなかった「デバイス正常に取り外されました」のポップアップウィンドウが表示されている。ディスプレイの手前にあったマウスを操作してそのウィンドウを閉じると、タスクバーに最小化されたアプリケーションウィンドウがいくつか存在することに気付いた。
そこにあったのはActiveSyncやInternetExplorerといった見慣れたプログラムの他に、接続状態監視プログラムのようなものやタスクマネージャーのようなものだった。英語のアプリケーションだったのでよくわからなかったけれど。
画面を眺めていると右下に時刻が表示されている。04:35と表示している。多分朝なのだろう。
時計にカーソルを合わせ、日付を表示させる。
自分の事故の日から一週間も経っているじゃないか……!
よくわかりませんが、主人公も作者も状況を理解できてません