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第一話 長い夜

その夜は 瑠璃にとって長く悲しい夜の始まりだった。

気を失った瑠璃の横で 美帆と芹歌は瑠璃の夢が幸せな物であるように願うだけだった。




「イヤー」涙でグショグショになった瑠璃の姿は、美帆や芹歌だけでなく佳樹たちも 見ていられなかった。 このまま、瑠璃の命も消えてしまうんじゃないかとさえ思った。


 結局二日間、海の消息を探したがとうとう見つからなかった。

佳樹たちの落ち込みぶりは、目も当てられない状態だった。 最後まで、もう一度探してくれと警察や海保に交渉していたのも佳樹だ。 諦めきれない。 当たり前だろう。 

さっきまで 一緒に飯を食い、バカな冗談を言い合い、大好きなサーフィンをしていたのだ。

海の親でもいれば、もっとどうにかなっていたかも知れないが、海には家族がいなかった。

幼い頃に母親を、高校で父親をなくしていた。 それでも、海には父親の遺産と保険金があったため、この私立の大学でも通えるのだ。 そして・・・海には瑠璃がいた・・・から・・・




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 海が行方不明になってからというもの、瑠璃の部屋には美帆と芹歌が交代で泊まっていた。

そうでもしなければ、瑠璃は何も食べずそのまま死んでいきそうだったのだ。


 三ヶ月が過ぎ、瑠璃の周りでも変化が起こってきた。最後まで海と一緒に 波に乗っていた真司は日本からいなくなってしまった。苦しみに耐え切れなかったんだ。

渉は、大学を辞め新潟の実家の酒蔵を継いだ。 それぞれが苦しみを抱え、苦しんでいた。

瑠璃だけでは無く、六人全てに悲しみの根っこを残したまま、海は二度と戻らなかった・・・・


 死んだようになっていた瑠璃も、美帆と芹歌の献身的な介護のお陰でだんだんと 元気が出てきたように見えていた。 ・・そう・・・見えていたのだ・・・・


「ごめんね。 美帆にも芹歌にも迷惑掛けて・・もう、大丈夫だから・・・」

「本当? もう少しいるよ?」

「ううん。もう独りで大丈夫。 いい加減しっかりしなきゃ・・・ね?・・・」

「本当? じゃあ、大学も出てこれる?」

「うん。来週から出てみる・・」

痛々しいぐらい強がりを言っている。 瑠璃の心は、まだ海と一緒にいる。

ここにいる瑠璃は、海と一緒にいるときの瑠璃じゃない。


・・・瑠璃と海は、初めて逢った時から恋をしていた。

  たった一人の人だと感じた。  魂の片割れだと・・・・

   

 2人の周りにいる友人達は、彼らの姿に星と月を見つけていた。


独りでは、お互い全く輝かない。みんなといても、埋もれてしまって何処にいるかさえ気付かない。

   そんな存在だったのだ。

 けれど、2人でいるとお互いの心の琴線がふれあい、意も言われぬ輝きを増すのだ。

だから、友人達は2人でいる海と瑠璃を見るのが大好きだったのだ。

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