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つまり  作者: 石本公也
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つまり、そいつは転校生。11ページ

「あれ?猛どこに行くんだ?寮に帰るんじゃねぇのかよ」

何事も無く測定を終え、保健室から出た所で、ふと優太が俺に質問して来た。

「悪いな。これから俺は二周目だ」

保健室のすぐ近くの階段を登りながら俺は言う。目指すは二回、視聴覚室でやってる内科検診の部屋だ。

「は?二周目?どう言う事だ?」

全ての検診が終わったにも関わらず、修が俺の隣までやって来た。俺の顔を覗き込みながら、二階と一階の間の踊り場を通過する。

「だから、二周目だよ。もう一回、検診を受けるんだよ」

階段を登り、視聴覚室へと廊下を歩きながら、俺は言った。

「何でもう一回まわる必要があるんだよ?」

後ろから和樹の声も聞こえた。この調子だと、燕もついて来ているのだろう。質問してこないのは、理由がわかっているからだ。

「お前ら、ついて来るならここで待ってて」

視聴覚室の前にたどり着いた俺は、後ろについてきている人達に向かってそう言い、視聴覚室の中に入った。扉を閉める時に優太の声が聞こえたが、気にしない事とする。




しばらくして、本日二度目の内科検診を終えた俺は、静かに扉を開いた。

途端に、ああ、と言う、納得した様な声が上がる。

「なるほどな、二周目はかかりで測るのか」

「ああ、体は違うのだからかかりとしても測れってさ。正直めんどくさい。今日だけで身長測定器に二回も向かい合わないといけないだなんてな」

「別にそれは良いだろ?どうせ変わらないんだから」

「男で測っても伸びてなかったのに、女になって背が伸びてる訳ねぇだろ」

「うるせー」

皆の小言を流しながら、俺は廊下を歩き出した。早く終わらしたいので、ほんの少し早足になる。

二回目の眼科検診。二回目の聴力検査。二回目の耳鼻科検診と、俺は空いている所から回っていく。

ほとんどの生徒は全ての検査を終えているが、中には運悪く列に引っかかってしまったり、単純に寝坊してスタートが遅れた人達が、まだ校舎の中にいる。

だから、歩いているとやっぱり、奇異な目で見られたりもする。あと、体操服なので、そう言った視線もちらほら。

だが一年と言う歳月のおかげで、今では視線をスルーできる様になった俺は、視線を気にせず、髪を後ろに払って視力検査の列に並んだ。

「ふぅーっ」

列に並んで、長いため息を一つ。やはりこの声は耳に触るのか、俺の前に並んでいた男子が振り返った。と

「おや?君は……一度会ったよね?」

「……なんだ…………伊坂か」

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