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つまり  作者: 石本公也
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つまり、そいつは転校生。4ページ

ただあの転校生、見覚えがある。ってかよく覚えとる。あの顔は、一度みたら忘れることが出来ない。

「…………………」

新しいクラスメイト達が軽く引いている。それは無理も無いだろう。

昨日清涼学園にいたあの軽く引くくらいの美少年が、穏やかな微笑みを浮かべて教卓の前に立っていた。

「始めまして、今日からこの学校に通う事になりました、伊坂(いさか) 友晴(ともはる)です。皆さん宜しくお願いします」

これが共学校なら、きゃーッと黄色い声があちこちから上がることだろう。だがここは男子校で、女子はいるが、燕と言う元男と、俺という男女である。いや、今の俺の姿は男だから、女子は燕だけか。

そんな訳で教室から上がった声は、圧倒的敗北感から来るどよめきだけだった。

転校生伊坂は、教室を見渡してニコリと微笑んだあと、教師に示された自分の席へと向かっていく。

名前順を変えない為か、最初から廊下側の列の前から三番目にある不自然な空席、つまり俺の斜め前の席に姿勢良く着席した転校生伊坂は、周囲を軽く見渡して「宜しく」と少し声を抑えて言った。

「という訳で、新しいクラス新しい仲間とともに、この高校二年生を楽しみなさい」

田村先生はそう言って、二年生最初のホームルームは終了した。







「伊坂ってさぁ、前いた学校はどんなとこだったの?」

 いくら男子校でも転校生は転校生。休み時間になれば、俺の斜め前の席には人だかりが出来ていた。

「ここみたいな学校だったな。もっとも、前いたところは小等部まであったが」

 ッフっと、少々意味深に転校生伊坂は言った。言いながら前髪を払った行為はいらないと思ったが、いちいち決まっているので何も言えない。

「じゃ、じゃあ、その学校に女子はいたのか?」

「共学校だったからね。何百人もいたさ。……それはそうと……」

 伊坂はいったんここで言葉を切り、周囲を見渡す。これから何を言うつもりなのか、教室にいる連中は伊坂に注目を集める。

「ここは男子校だろ?どうして、ここに女子がいる?」

 伊坂がぽつりとそう言った瞬間、クラス全員の視線が、燕に集中した。

 元四組の人達の中には、一瞬俺を見た人もいたが、直ぐに燕に視線を移す。

「うえっ⁈」

素っ頓狂な声を上げ、驚いた表情で燕は固まった。

少し茶の掛かった髪は背中に流れ、山崎さん程ではないが大きな胸はブレザーの上からでも確認が出来、TVに出てるアイドル顔負けとまではいかないが、相当な美人顏。

まぁ確かに、男子校にはいないわな。

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