つまり、そいつは転校生。3ページ
新しく六組となった俺と燕と修と優太。飾は二組、和樹は五組となった。
「まさか優太も同じクラスとはな」
教室の扉に手をかけて俺は後ろを振り返りながらそう言った。
「別に不思議じゃ無いだろう?選んだのが同んなじだったんだから」
優太は軽く笑ってそう返す。
「確かに」
扉を開くと、結構な人がいた。まだ、最初のホームルームまでには時間があるのに、空いている席が少ない。
そして、俺達がやってきた途端、教室のあちこちからざわめきが起こった。
俺はざわめきに関しては特に気にせず、教室に入っていく。自分の席を確認して、早速席に着いた。
「神鎌、お前六組か」
不意に、横から声がかかる。見上げると、元四組、林がいた。林の周りには、元四組連中が居る。まだ始まったばかりだから、みんな元クラス連中で固まってんのか。
「へぇ、林君も六組か。って元四組多いな」
そんな事を考えていると、後ろから燕がやって来た。
「山瀬、自分の席はどうしたんだ?」
林が燕に話しかける。燕はや行だから、席はかなり窓際になるはずだ。
「一応、荷物を置いて、その周りに居る人たちと話してみたよ。……でも、あんな目を向けられたらね……」
燕は苦笑しながら答えた。林とその周りの四組連中は、はてなと首をかしげている。
「そりゃ気分は悪くなるだろうけど、諦めなよ。改善方法なんて無いんだから」
「それはそうだけど、うーん、せめてかかりで来てくれたらなぁ」
そう言って、チラリと俺を見る燕。
「後に検討しておこう」
そんな燕に、俺はぶっきらぼうにそう言った。
「後にってなにさ。『後に』って」
「後にだ」
そんな事をしていると不意に教室の扉が開いた。
扉を開けてやって来たのは、古典担当の田村先生。
「おいこら、お前ら席に付け!」
入って来るなり教卓をバシンと強打し、田村先生は着席を促した。教室にいる生徒達は、そそくさと自席に戻る。
「お前らは今日から二年生になる。エスカレーター式で大学に簡単に行けるからって手を抜くと、今の時代は生きてけねぇぞ」
田村先生は教師だな。先生の話を聞きながら、そんな事を思う。
「てなわけで、この学校へとはるばるやって来た転校生を紹介する。入って来てくれ!」
転校生、その単語に、新二年六組の生徒は全員反応する。色めきだったりはしないが、どんな奴がくるのかと興味はあるようだ。話し声が聞こえる。
「どんな奴が来ると思う?」
不意に後ろの席の人が話しかけて来た。えっと、確かこの人の名前は……
「意外と派手な奴かもな。いきなり生徒指導受けるような。そっちはどう思う?菊地?」
そう、菊地君だ。やっぱり接点無くても周辺の奴の名前くらい覚えとくべきだな。
ガラガラっと教室の扉がスライドされて、廊下から一人の少年が教室に入って来た。
「……………………」
教室に居る全ての生徒が、見事に絶句した。俺も絶句した。
やって来たのは、教室の誰より格好良く、下手をすればこの学校の誰より格好良いのでは?と疑ってしまう程の美少年だった。