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つまり  作者: 石本公也
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つまり、そいつは転校生。2ページ

「で?それが昨日あった事だと」

俺が何と無く話した事を、何と無く聞いていたであろう(つばめ)が、俺の話が終わると同時にそう言った。

「ああ。世の中あんなに反則的な顔してる奴がいるのかと驚いたよ」

校舎へと伸びる石畳みの道を歩きながら、俺はケラケラと笑う。

新学期一日目、新学年一日目の今日、新しく高等部に上がってきた一年生達の、ちょっとおどおどしながら歩いている姿が目に付く。と同時に、これまでこの道で暴れながら登校していた先輩達の姿は無い。

そんな時代の移り変わりを、高校生ながら小さく感じていると、ふと遠くにあるものが見えた。

「……なぁ(おさむ)

「なんだ(たける)

「……スカートって、目立つんだな。今までわからなかったや」

「……そっか」

この清涼学園(せいりょうがくえん)は、至って普通の男子校だ。そう、普通の男子校だ。

だが、普通から少しばかり外れてしまった変態達(ひとたち)がいない訳ではない。

そんな彼らは、なんとこの春休みに女子制服で登校する権利を勝ち取ったのだ。

清涼学園は男子校だ。本来、女子制服は存在しない。

だが去年、俺と燕の存在が、特例として認められた事で女子制服が作られた。

特例、と言う事で本来俺と燕しか着る事が出来ない女子制服。彼らはそれはおかしいと、実は去年の文化祭辺りから抗議していたらしい。そしてついに、この新学期に女子制服で登校する権利を勝ち取ったのだ!

そんな訳で、ごく少数、ごくごく少数の生徒がスカート姿で歩いているのか目に入る。あ、あの人、もしかすると女の俺より脚綺麗かもしれない。

「私達と同じ学年に、何人スカート男子がいると思う?」

そんな事を考えていたら、燕がふと問いかけてきた。こいつの女性特有の丸みを帯びた身体は、やっぱり制服の上からでも良く分かる。これが本物って奴だろう。

「うーん、四、五人位はいるんじゃないかな?」

俺は今視界に入ったスカートの数をカウントしながら、適当に答える。つか、それ以上いたら嫌だわ。普通に。

「それより、クラス分けがどうなったかだな」

前を歩いていた修が歩きながら言った。

「修、お前選択何選んだんだ?」

「あ?俺は物理と数学だったな」

「そうか、じゃあ一緒になるかもな。俺は物理と化学だから。燕は?」

「私?私も物理だよ。もう一つは……あっ地学だ」

二人の答を聞いてから、俺は一息ついて言った。


「じゃあ、この三人は一緒になるかもしれないのか」

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