つまり、忘れていた事と後付けと。2ページ
着替えを済ませ、軽く身だしなみを整え、思いっきり伸びをしてから、俺は飾達を招き入れた。どうして部屋にやって来たのかなんて聞かない。きっと暇だったからだ。
でも、俺達の所に来たからと言って、暇が紛れる訳では無いはずだ。せいぜい、床にゴロゴロと転がる人数が増えるだけだろう。
昨日ふざけて作ってみたパウンドケーキを用意しながら、俺はそんな事を考えていた。
それとも、俺達の所に来たのは、俺と燕を使って、何かするつもりなのか?だとしたら、用心しておこう。
「ほい、飲み物とお菓子」
そんなことを考えながら、俺はカーッペットの上に出した小さなテーブルにお菓子とペットボトルを置く。
「なんか美味そうなのが来たな。……ところで、燕は?」
優太が真っ先にケーキに手を伸ばして聞いてきた。そう言えば、と、俺もケーキをつまみながら思い出す。
「多分……トイレとかじゃないか?」
ケーキを一口かじり、飲み込んでから適当に答える。うん、ケーキの味は問題ないな。
その時、修が「あっ」っと短く声をあげた。部屋の鍵でもかけ忘れてきたのだろうか。そう思いながら、手に持っていた最後の一口を口の中に入れた。
「凄く今更なこと聞いていいか?」
修は、まっすぐに俺の方を見て聞いてきた
「なんだ?」
「お前ら二人って学校にいる時、どこでトイレしてんだ?」
修の口からその質問が放たれると、周りの和樹たちも「あっ」っと声をあげた
「本当にいまさら……しかもそんなことを……」
一方、俺は思いっきり脱力してしまう。そんなしょうもないこと、知ってどうする。第一、気になるような事か?
「いや……だって、清涼学園は男子校だぞ。どこに女子トイレがあるんだよ」
飾のこの言葉を聞いて、おれも「あっ」っと声をあげた。確かに、本人たち以外は謎だ
「あれ?それって昨日作ったパウンドケーキだよね?」
その時、普段着に着替えた燕がやってきた。
「おっ丁度良いところに来たな。燕、お前はいつもどこでトイレしてんだ?」
燕の姿を見るなり、和樹はいきなり質問をぶつけた。
「んなっ、何聞いてんの?」
「いやさ、男子校の清涼学園に女子トイレなんて無いだろ?」
「ああ、成る程ね……簡単な話だよ。ねぇかかり」
「なんで俺に振る……まぁ確かに、簡単な話だけど」
そう言って俺は首をすくめる。
「おい、早く答えてくれ」
そんな俺達を見て、修達が催促して来た。
「簡単な話だよ。職員用トイレと来客用トイレ。一階にしか無いけど、あそこを使わせて貰ってる」
あっさりと言うと周りから「ああ」と言う声が聞こえる。な?簡単な話しだろ?