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つまり  作者: 石本公也
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つまり、行事は重要で 3ページ

俺は今、この状況をどんな風に捉えようか考えている。派手で、とても綺麗な着物を着て、清らかに流れる小川を、桟橋から眺めている。清涼学園には、こんな所があったのか。

俺は周囲を見渡して、そんな事を考えた。

とその時



ーーーーカシャッ



耳に触るシャッター音。思わず溜息が出てしまう。だがーーーー

俺は再び周囲を見渡してみる。芝は青いが、所々はげていて、その上に立つ木々には、蕾しか無い。あるといっても、たった一本、紅梅が庭園の隅で咲いているぐらいだ。視界のはしで、こちらも和服を着た修達が、蹴鞠をしている。……上手いな。

桜の花びらが散っている訳でもなく、緑が生い茂っている訳でも無い。三月、清涼学園のこの庭園は、閑散としていた。

重たい着物を引きながら、俺は庭園の隅の紅梅の下に歩いて行った。真っ赤な花を、下から見上げる。

ーーーーカシャッ

「“梅とは春が来た事を知らせてくれる花”だっけ?」

何時の間にか、隣にやって来た燕が、同じ様に紅梅を見上げて呟いた。

「ああ、そんな言葉があったな…」

メジロどころか、小鳥の一匹も止まっていない木を眺めていると、後ろから、テーンテンと鞠が転がって来た。着物が崩れない様に、鞠を両手でひょいと拾い上げる。

「悪い。投げてくれ」

修達が、こっちに向かって手を降った。

ーーーーカシャッ

「鞠って思ったより重たいのな。おい!届くか分からないぞ。これ結構動きにくいんだからなっと」

俺は身体を捻って鞠を修達の方へと放った。鞠は放物線を描いて優太の所へ飛んでいく。優太は、その鞠をダイレクトで空高く蹴り上げた。……本当に上手いな、蹴鞠。

ーーーーカシャッ

その時、庭園の茂みから、ギリースーツに身を包み、カメラをその手に携えた山崎さんが出て来た。

「ん~良いのが撮れた。これで三ヶ月は持つわ。二人共、ありがとうね」

語尾にハートが付きそうな口調で、満足した笑みを浮かべる山崎さん。ほんっとに若いな。

そんな事を考えていると、山崎さんはギリースーツを脱ぎ捨て、芝生の上にシートを広げた。

「みんな~お昼にしましょ~。ちらし寿司も桃花酒も用意してあるから~」

シートの上に、大きな器と、酒瓶を置いて、修達に声をかける山崎さん。それに気付いた修達は、鞠を持って、俺たちの方へと近づいて来た。

俺は取り敢えずの体で、山崎さんに言った。

「桃花酒って、俺等未成年ですけど」

お気に入り50件突破!

改行、空白込みでジャスト1000文字!

何かキリが良くて、嬉しくて、読んでくれている人達に、魂からの感謝を‼




次回は、まだ未定です。

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